アルティメットエキサイティングファイターズ 〜集いし鋼鉄の勇者達〜
    〜第8話 勢力合併〜
    長い休憩を取っている一同。本当の休息という時間を過ごしている様子で、戦いで見せた
   表情は全く見られない。唯一表情が険しいのがビィルガの面々である。
リュウジ「一杯飲みたい気分だな。」
メアリス「今は我慢しなさい。」
   酒を飲もうとするリュウジだが、妻であるメアリスの凄みのある目線に飲むのを止めた。本編
   では見られなかった夫婦という間柄を垣間見れる。
ウィン「普段はこうなんだ。」
ラフィナ「だねぇ。」
レイシェム「フフッ、お父様とお母様らしい。」
   年輩夫婦の代表格のリュウジとメアリス。2人をよく知る面々は会話をしている姿に親しみを
   持っているようだ。
ミスターT「そうか、ロスレヴではリュウジとメアリスが一番古い夫婦なのか。」
   一服しているミスターTが改めて事情を窺った。普段は役割のキャラクターでしか存在しない
   本編、こうやって全てのキャラクターが合わさると事情は異なる。
    世界観が異なる面々からすれば、経過した年数がそのまま歴史になる。それが一番現れて
   いるのはフリハトの面々であろう。
ルデュファス「年代だけなら、絶対に負けませんよ。私達のお父様とお母様は数千年以上の夫婦仲
       ですから。」
   彼女の発言にロスレヴ系列の面々は驚愕する。また新3陣営の面々も同じく驚愕している。
   魔法などのイレギュラーな世界観が根強いフリハトの世界は、他の面々からは驚かされる一方
   である。
ユキヤM「そ・・それはまた・・・。」
ターリュS「魔法が存在するからさ〜、何でもアリじゃない。」
ミュックS「リュリアさんが羨ましいね〜。」
   逆に驚いた様子を見せないターリュSとミュックS、これはこれで驚きの言動であろうか。
   現実と非現実とを割り振っている大人達には、少々厳しいものであろう。
    言い換えれば子供の心を持ち続けているターリュとミュックの使用前使用後の人物、だから
   こそこういったどちらも認められる発言がでるのであろう。

リタナーシュ「ディルヴェズさん、魔法の系列でもどのようなものがあるん?」
ディルヴェズ「系列ですか、ふ〜む・・・。」
    未知の世界を知ってしまったからには、詳しく聞きたくなるのが人間というもの。魔法の
   詳細を聞きたいと、ロスレヴの面々から代表してリタナーシュが質問をする。相手は本編で
   魔法のスペシャリストとして位置付けのディルヴェズだ。
ディルヴェズ「大きくは攻撃・補助・回復の3つに分けられます。それから分けていくと更に掘り
       下げられます。攻撃魔法は、火炎・熱線・凍結・水流・電撃・旋風・閃光・生命・
       精神・破邪・時間・植物・召喚兵・召喚神・召喚・死亡・幻惑・月光・空間・神・
       エネルギー・全能・暗黒・土石・破壊。補助が歌・補助魔法、回復が回復・復活と
       なります。」
   述べられただけで29種類も存在する事に、ロスレヴ系列の面々は開いた口が塞がらない。
   言い出したら止まらないのか、続けるディルヴェズ。流石はマジックマスターであろう。
ディルヴェズ「魔法以外にもスキル・技術もありますが、こちらは武器による攻撃魔法とも言いま
       しょうか。攻撃技術は、剣撃・大剣撃・小剣撃・刀撃・槍撃・斧撃・棍棒&杖撃・
       弓撃・拳撃・連携撃ですね。こちらは相方のヴァルラームの方が詳しいので、詳細は
       彼女に聞いて下さい。」
   全ての魔法・全ての技術を伺った一同。案の定、聞き出したリタナーシュは引き気味である。
   しかし世界観を知るという事は、相手を知るという事になる。これはコミュニケーションとも
   なりうる。
ディーラ「ダンナ、神々の系図も述べておいては?」
    更に追撃と言わんばかりに、ディーラが別の内容を切り出した。それはフリハトの面々の
   世界にある、神々の存在の事のようだ。
ディルヴェズ「そうですね、了解です。先ほど述べた魔法や技術、これらには専用の守護神とも言う
       べき神々が存在します。マスターから伺った所、ロスレヴの方々の愛機でしたか。
       それらにも使われているようですね。」
デュリス「マスター、魔法関連の事なら私も少しはお伝えできますよ。」
ディルヴェズ「了解です。ここはデュリスさんに任せましょう。」
   ここで講師が変わる。フリハト系列のもう1人のマジックマスター、デュリスがディルヴェズ
   の代わりを買って出た。
デュリス「えー、では。神々の系図とは、魔法の守護神そのものです。こちらは物凄い長いものが
     数多く存在するので、割り合いさせて頂きます。ご了承のほど。それとミスターT殿から
     渡されたデータによると、皆様の愛機名の中にも存在します。炎神にシューヴァドゥナ・
     氷神にアドゥシェーサー・時神にキャンサルニーヴ・空神にタウシェルリース・雷神に
     ファルカスター・力神にフィーンヴェナスですか。雷神はメカノイドの方々の愛称でも
     ありますね。」
   神々の名前を愛機にしている面々は驚く。しかしそれらを設定したのはミスターTであり、
   パイロットでレイヴンである彼らが実際に名付けた訳ではない。
デュリス「こんな所でしょうか。」
リタナーシュ「頭がパンクしそうっす。」
   講義が終わり、リタナーシュや他のロスレヴの面々は参ったとばかりに悲鳴を挙げる。
    しかし自分達の世界観には、フリハトの面々の流れもあるという事。これには驚きを隠せず
   にいる。やはりフリハトの面々は自分達の原点であると思わざろう得ない。
ミスターT「第12陣などにいるディルヴォーヴルなど、彼女達はその神々の具現化だ。光神や闇神
      なども含まれる。近いうちに神々もここに召還しようとも思っているよ。もちろん神々
      と謳われるだけに、かなり強く設定するが。」
リタナーシュ「まあ仕方がないっしょマスター、何たって神様なんだもん。」
   この点は簡単に割り振れるとロスレヴの面々は思った。
    頂点的な存在、彼らの世界観でも過去において崇められし存在だった。それはどの世界観
   でも変わりはない。
ミスターT「ああ、ちなみに信仰の対称などはあまり考えていない。これだけの闘神がいるんだ、
      拠り所は溢れ返ってしまう。しかし魔法使いにとっては、これら神々の系図は重要で、
      彼女達と契約を結ばねば魔法が使えないというのは存在する。もちろんその契約は命を
      差し出すといったものではないがね。」
ディルヴェズ「言い換えれば精霊とも言いましょうか。万物のありとあらゆるものに存在するもの。
       それらを纏めているのが、ディルヴァールムやディルヴォーヴル達です。」
ユキヤ「ちょっと難しいですね。こちらの世界観ではあまり考えない事柄ですから。」
   兵器が全てを支えるというミリタリーな世界観のロスレヴ系列の面々。拠り所は力そのもので
   あり、頼れるのは己の力量だけだ。それがロスレヴ系列の世界である。
ミスターT「まあ、ディルの言葉を使えばこうか。種族間の壁など存在しない、だな。それぞれ独立
      した生命体。生命体という概念になるなら、全て平等で同じ存在だ。」
   その通りだと一同頷く。種族間の壁など存在しない。フリハト系列の面々が常日頃から心懸
   けているものだ。またそれらはロスレヴ系列の面々にも通ずるものがある。当然新3陣営の
   面々にもだ。
    この原点回帰に戻れば、争いなどは一切無くなる筈なのだが。そこは人間として・生命体と
   して生まれてきた業苦であろう。これは仕方がないものでもあった。

    魔法という超常的な力の内容では、究極的なインパクトはないだろうと思っていたロスレヴ
   系列の面々。しかし原点回帰は全て同じであり、そこに行き着いた事には喜びを感じたようで
   ある。

ゼラエル「ダンナ、フリハトの方々の悪陣営の面々の事で窺いたいのだが。」
    間隔空けずにゼラエルが質問をする。自分達とは違う世界のフリハトの面々。その世界での
   悪陣営の面々に関する事のようだ。
ミスターT「私よりかはディルに聞いた方がいい。」
ディルヴェズ「でもマスター、詳細な部分までは語れませんよ。」
   全知全能ではないとディルヴェズは語る。唯一可能な人物がいるとすれば、ミスターT以外に
   いない。ゼラエルが質問した相手は合理に適った人物だった。
ミスターT「陰の人物が表に出てはなぁ・・・。まあユキヤ達がそうだっから、黙認するしかない
      かな。」
ゼラエル「ヘヘッ、そういうこって。」
ミスターT「ロスレヴ系列でもリタレヴ・フュチャレヴなどで分けられるように、フリハト系列も
      3つの本編と5つの外伝で区分けができる。味方より敵の数の方が少ないが、それでも
      色濃い面々がいる。」
   改めて区分けがされている事を窺い知ったオールロスレヴの面々。フリハトの面々と言われて
   いたが、それだけでは所属する全員が大ストーリー内で登場する事になる。
   流石にそれはないだろうと思ってもいたらしく、創生者の発言で位置付けが確定したようだ。
ゼラエルG「印象的な好敵手は?」
ミスターT「好敵手か・・・、いい言葉を使うな。」
   やはり軍隊での規律や経験が言葉や行動を成長させる。ゼラエルGの言動は正しく将軍という
   風格をしていた。
ミスターT「まあ続けよう。私的には・・・最初の頃のデュウバしか考えられない。お前さん達と
      同じ名前のゼラエルというキャラもかなり印象深いがね。」
デュウバ「う〜・・・やはりそこに来てしまいますか。」
   同じ名前でも完全に180度異なるデュウバという悪役キャラ。ロスレヴの同名デュウバは
   苦笑いを浮かべるしかなかった。
ミスターT「今現在のディーラ達が所属する本編側でもデュウバと存在するが、それはロスレヴの
      本編が完成してから付け加えたものだ。彼の妹のデェルダを殺したジャオグの役も、
      以前はデュウバが行っていた。」
デュウバS「それで最後はどう始末されたの?」
   デュウバのクローンであるデュウバS、同じクローンとは思わない発言だ。その言葉にただ
   ただ苦い顔をするデュウバだった。
ミスターT「第1部最終決戦時に彼女の発言にキレたディルが、瞬殺の如く首を切り落とした。」
   驚愕の発言に無意識に首を触ってしまうデュウバとデュウバS。自分の首を触り、切り落と
   されていないかと確認してしまう。
ミスターT「ハハッ、お前さん達には直接な外傷はないよ。まあ何にせよ、完全にゼラエル達を超越
      する悪役だった事は事実だ。」
   自分の事ではなくとも、何故か落胆するデュウバ姉妹。悪かったとミスターTが2人の肩を
   軽く叩いて慰める。
ゼラエル「そうなるとビィルガの野郎なんざ、まだまだ甘いという事ですな。」
ミスターT「天と地がひっくり返ったって、同じ真似はできないよ。彼は彼で悪役でも、紳士な部分
      は持ち合わせている。弁える部分もしっかりある。しかし当時の彼女はそれすら持ち
      合わせていない。書いていた頃の私の現実の不満などを全て合わせた悪役キャラだった
      と言える。」
   格が違うとミスターTは答える。演じるという部分を通り越したキャラクターだという事が、
   ここにいる一同が知った。無論それはビィルガ達を含む。
ミスターT「もっとも、当時の悪役キャラ全てが私の不満や愚痴のはけ口だった。お恥ずかしい事
      だがね。」
   キャラクターの善悪も書く人間によって変わる、ミスターTは一同にそう告げた。

    キャラクターを生かすも殺すも全ては創生者次第。皮肉だが今の全員にとって、これはこの
   場に生まれた時から持って生まれた定めでもあった。
ミスターT「お前さん達はまだエキプロという世界で具現化されたからいい。まだ名前だけで存在
      すらしていない人物さえいる。全ては私の一念に掛かっていると思うと、非常に心が
      重い。特にディルとヴァルには大変迷惑を掛けた経歴がある。」
   自分達もGMもキャラクターも、創生者から生まれたもの。彼らを統括する創生者には、生み
   出した者としての重圧がある。そして不祥事で招いた事態に対しての責任も。
ミスターT「まあ、だからこそやる気になるんだがね。負けてられないと。それにディルの一件、
      逆を言えば有名人になった瞬間でもある。実に皮肉な話だがな。」
   一同に現実世界は厳しいと彼は伝える。それは彼らも無意識から感じ取っている事であろう。
ミスターT「案外、1000人作成など完成した日には伝説の男となるんじゃないかね。」
   冗談半分で語るミスターT。一同が完成して660人を越えたと語る。あと340人を完成
   させれば、エキプロ5という単体作品で1000人作成を達成した事になる。
ミスターT「ま、今はこちらを楽しむとするか。一同あってのこの戦場。主役は私などではなく、
      ここに集っている全員だ。」
   彼の言葉に一同頷く。創生者のミスターTがこの戦場を設けてくれた。それは紛れもない事実
   である。今はこの戦場で戦う事こそが、自分達が生まれてきた最大の理由だからだ。

    一同は彼に感謝すると同時に、戦わねば存在する意味がないと思った。戦う事こそが創生者
   の彼に対する最大の恩返しでもあると決意したようである。
   今はとにかく戦う事だけを考えて動く一同であった。

    食事や仮眠などの休憩を終えた一同。体力も問題ないと言わんばかりに熱気が溢れる。再び
   リングへと上がり、各々がスパーリングを開始しだした。

ライディル「マスター、防衛戦を展開します。」
ミスターT「了解、相手は誰かね?」
ライディル「フュチャレヴ所属のオルゼン氏・コウジ氏・コウキ氏です。」
    意外な発言に指摘された面々は驚く。どうやらこれはライディル達からの指名のようだ。
   待っていてもつまらないと考えたチャンピオン3人は、何と逆指名による防衛戦の展開を企画
   したようである。
コウキ「お・俺らっすか?」
コウジ「逆指名とは考えましたね。」
オルゼン「了解。お手合わせをお願いします。」
   選ばれた3人もトーマスW達と同じく、身長218cmを超えるスーパーレスラーである。
   勝敗が読めなさそうだが、魅力ある試合展開だけは十分に予測できる。
ターリュS「うぉ〜、おっちゃん頑張れ〜。」
ミュックS「兄ちゃん達も負けるな〜。」
   毎度の応援者のターリュとミュック達。度重なる応援はその勢いを増しており、下手をすれば
   彼女達が挑戦者となりかねない雰囲気だ。
ヴォリスTJ「では試合内容を告知するぞ。試合はイリミネーション・タッグ、内容はトルネード・
       6マンタッグ3対3だ。場所はヴェンジェンス、ルールはKO・ギブアップ・DQ・
       の3つが適応する。」
ライディル「OKです。」
   戦いに備えて準備をする6人。その周りには複数のターリュとミュックが声援を送っている。
   先程も述べたが、気迫からすれば今ここでライディル達を襲撃しかねないほどのものだろう。
   チャンピオンのライディル達は、薄々挑戦してくるだろうと予測しているようである。


イリミネーション・タッグチャンピオンバトル登場+試合動画

    (イリミネーション・タッグチャンピオンバトル終了)
    こちらも戦闘力からしては、オルゼン達の方が遥かに勝っていた。しかし戦う意気込みに
   関してはライディル達の方が一枚上手だったようである。
   辛うじて勝利したライディル達。だがトーマスW達の時以上に苦戦したのは言うまでもない。
コウキ「ダンナ方つえぇ・・・。」
サーベン「いやいや、俺らもまだまだっすよ・・・。」
   立つのがやっとという雰囲気で、6人とも体力回復を待っている。しかしいい試合を行った
   時は清々しいものであり、戦い終えた6人はいつになく表情は明るい。
    このような試合内容を毎回見せられては、複数のターリュやミュックが戦いたくなるのは
   言うまでもないだろう。
ターリュS「・・・今兄ちゃん達を襲えば、チャンピオンの座が・・・。」
   ふとターリュSが魔の囁きを口にする。それを聞いたライディル達はギョッと恐怖に慄いた。
   ニヤニヤする双子の姉妹が3人を威圧し、いつ取って食われるのではと内心怖がっている様子
   である。
ミスターT「まあ表向きはこうであっても、芯は正々同道を心懸けている。今の発言はお前さん達の
      反応を見たかっただけだろう。」
ミュックS「ヘヘッ、当たり〜。」
   ミスターTに内心を見透かされたターリュSとミュックS。はにかみながら笑顔で答え返す。
   この姉妹達には敵わないと、ライディル達は呆気に取られた。

メルアW「あら、戦うのなら私もお手伝いしましょうか。」
    休憩中の一同の元に、今度はメルアの使用前使用後の面々が現れる。またオルゼンの娘達で
   あるフィリミア・キュリムス・ロフリィス、コウジの娘であるイリュシェアと彼女の友人の
   セリシェムとフュリアも一緒である。
ターリュS「母ちゃんありがと〜。」
ミュックS「これで挑戦できるね〜。」
   怖いものを知らないといった3人。いや、命知らずといった方が正しいだろう。一見すると
   向こう見ずな風格だが、戦闘力は660人その他の面々・今後現れる面々の中で最強クラスで
   ある。
イリュシェア「父がお呼びになられたのなら、私も参加しませんと。」
セリシェム「いいねいいね〜。」
フュリア「祖母も戦っておいでなら、私も戦わないと張り合いがありません。」
フィリミア「私達もそうよ。」
キュリムス「頑張らないとね。」
ロフリィス「うんうん。」
   前者はエイラ達同様、3人とも身長213cmを超える巨漢ならぬ巨女だ。また後者は前者
   3人は及ばないが、それでも200cmを有する巨女である。
    ライディルの発案で指名形式に発展したサバイバルタッグチャンピオンバトル。それがこう
   いった更に強敵を呼びよせる。発案の彼は予想にもしていないようであった。

ミスターT「ふむ、面白くなりそうだな。しかし9人が一気に挑戦しては、ライディル達の身体が
      いくつあっても足りない。ここは9人3チームでロイヤルバトル形式のトーナメントを
      行い、勝ち上がった1チームとで対戦するというのはどうだ。」
    一気盛んに挑戦を望む9人3チーム。そこを撚りトーナメント形式で戦わせてはと、GMの
   ミスターTが持ち掛けた。
ターリュS「おお〜、いいじゃんそれ〜。」
フュリア「トーナメントとは考えましたね。」
ロフリィス「楽しそうですね。」
ミスターT「だが、そうなるとトーナメント形式に問題が生ずるか。」
   この持ち掛けに9人は絶賛した。それなら多少は楽だと、ライディル達は思っているようだ。
    しかしそこに至るまでの経過が大変だと、ミスターTは語りだす。瞬時に考えついた試合の
   プランを一同に紹介しだした。
ミスターT「一応プランとしては2通りある。1つは3チームとも内部で試合を行い、勝ち上がった
      人物が無差別でチームを組む。それでチャンピオンと対戦する型式だ。これなら簡単
      だろう。もう1つは3チームでトーナメントを行う形式だが、1位・2位・3位を決定
      させる試合方法がない。サバイバル形式でもトリプルスレットになってしまい、単純に
      1位しか決定できない。ここが問題でな、お勧めの試合だが実現が厳しい。明快な方法
      は3チームから代表を選抜し、ラダーなどを用いて1位を選ぶ。その人物が所属する
      チームがチャンピオンと対戦する。しかしつまらないトーナメントだがね。」
    語られた試合形式は3つあるが、実現が厳しいのが1つで他は単純明快である。特に最初に
   挙げられた試合形式は、無差別で選ばれた3人がチームとなり対戦する。これでは名乗りを
   挙げた9人3チームがチームとして成り立たない。
    一番簡単なのが3チームから代表を抜粋し、トリプルラダーバトルなどを行わせて勝利した
   人物が所属するチームが対戦権を取得するというもの。名乗りを挙げた9人3チームがチーム
   として成り立つが、面白みがないとミスターTも渋り気味である。
ターリュS「むう・・・難しいね・・・。」
セリシェム「2つ目のプランが望ましいですが、複雑な試合ですと時間が勿体ないですし。」
キュリムス「かといって代表選抜のラダーでは面白みがないですよね。」
チェブレ「いっその事、ラダーでチャンプを決めて戦った方が早いんじゃないかね。」
サーベン「でもそうすると、後で絶対後悔した戦いになりますよ。」
   体力を回復したライディル達も含めて、チャンピオンバトルの構想を練る一同。以前のような
   サイコロ形式で振れる試合なら簡単ではあるが、今の面々ではそれは少し難しいようだ。
ミスターT「1人補佐する人物を選んで、タッグラダーやタッグハードコアをと考えたが無理か。
      何分勝利チームしか選べないし順位の付けようがない。単純明快は代表選抜ラダーか、
      無差別人選によるチーム組みか。これは難しいな・・・。」
ライディル「とりあえず皆さんには一旦待って頂き、試合を決めてから改めて対決という事で。」
   策士と言わしめんような内容を切り出すミスターTでさえお手上げの現状。どうやらこれ以上
   の進展は望めなさそうである。
   そんな中、ライディルが代表してこの場を区切る。進展が望めない以上、今は別の試合などを
   観戦したり行った方が得策だからだ。
ミスターT「そうだな、今は保留という事にしてもらうか。折角名乗りを挙げてくれたのに申し訳
      ない。」
   恐縮気味に謝るミスターT。一同の一気盛んな意欲は十分理解しているからこそ、試合を打ち
   出せない己を恥じての詫びなのだろう。
フュリア「いえいえ、お気になさらずに。」
ミュックS「うん、マスターは悪くないよ〜。」
ターリュS「まだまだチャンスはあるしさ〜。」
   何げない顔で答えるターリュSとミュックS。しかし事の発端はこの双子の姉妹の発言だ。
   無責任すぎると言わんばかりに、一同を代表してメルアWが2人の首を掴む。
メルアW「元はといえばぁ〜・・・貴方達が対戦をせがむ発言をしたからでしょうっ。」
ターリュS「うわ〜、母ちゃんやめて〜。」
ミュックS「ご・ごめんなさい〜。」
   メルアWは2人の首を両肘に挟み、その小さな頭を胸に押し当ててヘッドロックをする。流石
   のお転婆双子も母親には敵わず、悲鳴をあげて降参した。
   その姿に一同は笑い合い、家族だからできる技だと頬笑ましい視線で見つめていた。そして
   一同は改めて思う。使用前使用後を問わず、この親子には誰も到底敵わないと。

    そんな中一際歓声が響くリングサイドがあった。ライディル達一同は何事かと向かいだす。
   どうやらゼラエル達とビィルガ達が再び抗争を開始したようであり、それを見ていた面々の
   歓声のようだった。
ビィルガ「再び行うとしようか、誰が統括者に相応しいかを。」
ゼラエル「望む所だ、受けて立ってやる。」
ビィルガ「正面決戦では負けるのは目に見えている。今度からは特殊環境下での試合形式を行う。」
   以前とは異なり、今度は運を味方にした試合方法に変えてきたようだ。意気込みは凄まじい
   ゼラエル達だが、肉弾戦ではない部分に不安を感じているようである。
ベロガヅィーブ「で、今回の勝者敗者の割り振りはどういった内容だ?」
ビィルガ「我々が負けた場合は今まで通りでいい。しかし我々が勝った場合は、悪陣営のGMを担う
     事にする。」
ライガス「へぇ、それは大層な事で。」
ゼラエル「私利私欲ならダンナが黙っていないぞ。」
   そう、問題はここにある。ビィルガ達が私利私欲で動くなら、悪陣営のGMといえどもそれは
   無効である。ミスターTが許す筈がない。しかし今回のビィルガは若干異なるようである。
ビィルガ「まあ私利私欲ではあるが、度が過ぎるものではない。GMとは言っても、ただ単に中心で
     動く人物に過ぎない。マスターが行っているものとは些か異なる。私が目的とするのは、
     悪陣営を総括し善陣営と戦う事にある。」
   彼はとんでもない事を切り出してきた。本当の目的は善陣営をの抗戦をという事らしい。
    彼が示すGMという役柄は、悪陣営を統括するというだけの存在らしい。ミスターTや他の
   GMが担うのとは異なるとも告げる。これはどうやら一部私利私欲があっても、最大の目的は
   抗争という一念に過ぎない。今までとは全く異なるものだ。
ゼラエル「それで、貴様が悪陣営を統括して善陣営の一同と戦うとする。その意味は何がある?」
ビィルガ「完全なる抗争、ただ一点に過ぎない。中立役としても、所詮は悪からは離れられないのが
     お前達だろう。ならば完全な悪として動いた方が、今まで通りで何ら問題はあるまい。」
   悪陣営の精神面を突いて来たビィルガ。悪陣営の面々はこれには反論ができない。
    どんなに中立を装っても、所詮は悪役である。本編では悪でもここでは異なると主張したい
   面々だが、現実は悪人に過ぎない。善人には絶対なれないのが実情だ。
   ならば悪として突き進むのが最良の策だと、ビィルガは彼らに語る。これには一里あると、
   悪陣営の面々からも同意の意見が出ている。
ビィルガ「今までの経緯を謝罪しても意味はない。むしろ今後どうするか、その行動で詫びれるの
     ならそちらの方がいい。それにこれなら活気付かせる事も十分可能だ。」
   あくまで紳士的に、ミスターTが語った通りである。ビィルガは中立故に悪人でも善人でも
   両方担える。決して絶対悪ではないというのが窺えよう。

    沈黙が辺りを包む。悪陣営の面々はビィルガの説得に悩んでいるようであった。一連の様子
   を窺っていたミスターT、彼らを押し進めるような発言をしだす。
ミスターT「いいんじゃないか、ビィルガの言う通りで。以前は完全にGMという権限を私利私欲で
      貪ろうとし、一同を駒のように見下した言動で反論し抗戦した。だが今回は事情が全く
      異なる。一同を活気付かせる行動であれば、私は喜んで賛成しよう。だが、度が過ぎ
      だしたら制裁は加える。それだけは覚悟するように。」
   GMお墨付きの発言を聞き、悪陣営の面々は踏ん切りが付いた様子。ここはビィルガ達が持ち
   掛けた提案を呑む事にしたようだ。
ゼラエル「分かった。お前の提案、呑むとしよう。」
ビィルガ「了解だ、では試合を行おうとしようか。」
ゼラエル「いや、試合はいい。お前が俺達を束ねろ。俺達は戦える環境があればそれで満足だ。」
   右手を差し出すゼラエル、それに応じて右手を重ねるビィルガ。中立だった悪陣営の面々が、
   再び悪役として舞い戻った瞬間だった。

    この出来事は善陣営の面々とフリハト・新3陣営の面々に衝撃を与えた。今の所試合に参加
   できない新3陣営の面々は後々合流するとして、これで勢力が変わった事になった。

    ロスレヴ系列の善陣営の面々と所属する面々全てが1つ。フリハト系列の面々と所属する
   面々全てが2つ。そしてロスレヴ系列とフリハト系列の悪陣営の面々と、ビィルガ達を含めた
   面々全てが3つ。よって三大勢力がここに誕生した事になる。

    戦闘力からすれば、ロスレヴ系列の面々が圧倒的に強い。次いでフリハトの面々が追随する
   形で、最後に悪陣営の面々となる。
   この予想にもしない勢力合併により、情勢はかなり変わったと言えよう。

    第9話へと続く。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

戻る