アルティメットエキサイティングファイターズ 〜集いし鋼鉄の勇者達〜
    〜第47話 三つ巴抗争〜
    ミスヒール率いる真敵役が新悪陣営とマジブレ陣営に襲い掛かる。それを窺ったビィルガ達
   も悪陣営から離れ、何とミスヒール陣営に所属する形になった。
   これは言わば動けず仕舞いにいた悪陣営の面々を立たせる役割を担うのと同時に、勢力的に
   一番弱い真敵役陣営を補佐する形になる。

    今後の戦略のイロハを十分伝授して貰った悪陣営の面々。ビィルガ達の一時の牽引に感謝
   していた。


イリミネーション・タッグバトル登場+試合動画



    (イリミネーション・タッグバトル終了)
    ミスヒール・エルスーヴ・レディアの3人は、以前デュウバD達と反撃戦として抗争を繰り
   広げたノーラFW・リーマW・シーラWと戦った。

    試合はイリミネーション・タッグ、形式はトルネード6マンタッグ3対3。リング設定は
   ノーマーシー、ルールはKO・ギブアップ・DQだった。

    結果はやはりノーラFW勝利。戦闘力の差ではかなりの開きがあった。マジブレ陣営と戦う
   場合、かなりの消耗戦になるのは言うまでもない。


ミスヒール「う〜む、強すぎるな・・・。」
デュウバD「真っ向勝負でも厳しいとなると、徹底抗戦しかなさそうだね。」
    ビィルガ達は試合の内容をリスト化、戦闘データを比較している。もはや彼らは陣営の頭脳
   とも言える。役割の手前でヒール役を演じていた彼らだったが、2250人に達成した時に
   それは消え失せている。
ビィルガ「どう頑張っても互角か敗退、それだけ相手の戦闘力が強すぎる。」
ハンニバル「総力戦の場合でも厳しいな。」
   数回に及ぶ試合データを目視し、溜め息を付くビィルガ達。今の現状は非常に辛いものだ。
ミスヒール「いいのかビィルガ。あのまま悪陣営にいれば、戦力的に十分すぎるものだった。態々
      抜け出しこちらに合流しなくてもよかったのでは?」
ビィルガ「我々は本来は中立陣営だ。それに貴方も真敵役から抜け出れば、中立に所属する。我らの
     属性は同じものよ。」
デュウバD「それに悪陣営には強力なブレインがいるしね。あたい達はあたい達で何とかするしか
      ないさ。」
ミスヒール「了解した。」
   毒牙を抜かれたビィルガ達は、完全に中立そのものだ。本当の真敵役のデュウバDでさえ、
   中立的雰囲気を醸し出している。
   やはり一同が変わったと言い切れるのは、ミスターTが作った風来坊の世界観だろう。嘘偽り
   ない生き様を刻む姿は彼らの魂を揺さ振り、あるべき本来の姿へと戻したのだ。
ビィルガ「我々の存在は作者が受け継がれれば永遠に生きる事ができる。しかし・・・マスターや
     ミスターには限りがある。私達が本当に成すべき事は、今の瞬間を爆発的に輝き動くしか
     ないからな。」
   ビィルガの言葉に一同力強く頷く。自分らしさを表し、自分ができる生き様を刻む。それこそ
   アルエキファイタの世界観であり、自分達の本当の使命でもあった。

    この思いに原点回帰したミスヒール達は、凄まじいほどの勢いが付いていった。その瞬間を
   大切にする彼らは、怒濤の勢いでマジブレ陣営に抗争を繰り広げていったのである。



ゼラエル「何か変わったよな、彼ら・・・。」
    位置付け的に真敵役のミスヒール。彼らを呼ぶには真敵役陣営と呼ぶのが相応しいだろう。
   その彼らとマジブレ陣営が総決戦している姿に、悪陣営の面々は呆気に取られていた。
ドクターT「本来あるべき姿に戻っただけですよ。」
シェガーヴァH「そうですね。我々も同じ心は持ち得ている。私達も負けてはいられません。」
アマギDA「よっしゃ〜、いっちょ乱入するかぁ!」
ライガス「フフッ、面白くなりそうだ。」
   真敵役陣営の勢いに当てられ、悪陣営もそれに便乗しだした。どちらにも荷担せず、双方を
   敵に回しての抗争。それは正しく三つ巴である。

    今となってはどの陣営にも強力なブレインが存在する。ただ単に攻めるだけではなく、頭脳
   プレイも心得ていた。この3つの陣営が織り成す抗争は、凄まじい勢いを増していった。


ラダーバトル登場+試合動画



    (ラダーバトル終了)
    3つの陣営の代表者を選抜し、ラバーバトルを行った。試合形式は問わず、とにかく戦いの
   一点を集約して動いている。
   選ばれた面々は、ギラガス&デュルガ・メルディス&ジェス・ジャック&ロジャーである。

    試合はラダー、形式はトリプルスレットトルネードタッグ2対2対2。リング設定は前回と
   同じノーマーシー。ルールは試合設定によりない。

    運が絡む試合であるラダーは、誰が勝者になってもおかしくない。そこで各陣営共に普段は
   出せない人物を排出していた。強さだけが勝負ではないのがラダーであるからだ。

    勝者は悪陣営陣営のジャックとロジャーだった。勢いに任せて突き進む彼らは、勝利を運と
   共にもぎ取ったと言ってよい。

    その後も続く抗争は、より激化の一途を辿っていった。純粋に試合に投じれる自分達に歓喜
   が湧き、その瞬間を大いに満喫していくのである。



ユキヤ「マスター、このような試合・・・というか構図はどうでしょうか?」
    リングサイドは大いに盛り上がっている。それに当てられない筈がない。ロスレヴ陣営と
   フリハト陣営、そして新陣営の代表がミスターTの元へ訪れる。
ミスターT「エシェラTBとエシェラTAはどうしたんだ、彼女達の役割だろうに。」
ミスターM「そこは素直に受け取りなよ。彼女達は確かに真のGMだが、それは陣営としての位置
      付けに他ならない。全てを統括するのは俺達の役目だ。」
ミスターT「そうですね、申し訳ない。」
   改めてユキヤが手に持つ資料を目視するミスターT。彼の傍にはディルヴェズとデュシアEが
   いた。この3人も陣営を代表するヘッドである。
ミスターT「うむ、いいんじゃないか。今の三つ巴の抗争を刺激しそうで。」
ディルヴェズ「とはいっても、我々の殆どが極ベビーです。彼らのように動き出す事は厳しいのが
       現状で。」
ミスターT「そこで私に白羽の矢か。」
   3人が相談しに来た内容は、先方3陣営の三つ巴抗争を行うための了承ではなかった。後続の
   彼らがどうしても成し得ないヒール役を、ミスターTに願い出たのである。
ミスターM「面白そうじゃないか。臨時の創生者役は俺が引き受けるから、君が率先して彼らを盛り
      上げなよ。」
ミスターT「了解です。」
エシェラ「今回は待機側に回ります。その代わりダークさんとダークTMさんを付けますので、思う
     存分暴れて下さい。」
   本当は一緒に暴れたいエシェラだが、娘達の手前では無理は禁物である。彼女達がまだこの場
   に慣れていないため、サポートに回るしかない。ターリュSやミュックSに全てを押し付ける
   訳にはいかないと思っているようだった。


    早速動き出すロスレヴ・フリハト・新陣営連合の3陣営。規模だけでは先方3陣営を遥かに
   凌駕する。この陣営が本気で動いたとなれば、間違いなく無類の強さを発揮するだろう。

    先方3陣営とは別に抗争を開始する後続3陣営。こちらは既に世界観が定まったロスレヴと
   フリハト陣営が新陣営連合を引っ張っての抗争となる。

    規模が異なる後続3陣営の勢いに、先方3陣営は圧倒された。世界観が定まっているため、
   思い切った流れができるのだ。


ミスターT「やはり圧倒されているな。」
    後続3陣営の抗争は、ストーリー展開を用いた。先方3陣営はどちらからともなく抗争を
   繰り返すだけだったが、こちらはしっかりと考えた流れを汲んでいる。
ミスターT「お前さん達にはまた力を借りるよ。」
ダーク「光栄です。」
ダークTM「何なりとお申し付け下さい。」
   この2人は本陣から離れた独立部隊。ダークは悪陣営・ダークTMはGM陣営にそれぞれ所属
   している。そこからエシェラによって抜粋されて配属された。
   先のリアルサバイバルバトルの影響もあってか、ミスターTの顔をまともに見れない2人。
   それだけ彼を好いてしまったという事だろう。
ミスターT「今度の休憩時に散歩でもするか。」
ダーク「え・・そ・・そんな・・・恐れ多い事を・・・。」
ダークTM「貴方を独占しては周りが黙っていませんよ・・・。」
ミスターT「そこは押し通す、これに限る。」
   2人の心を和ませるため、あえて口説きの発言をする。それに慌てふためく彼女達だが、彼の
   決めた事は突き通されるだろう。

ミスターT「さて・・・やりますかね。」
    和やかな雰囲気が一変して、切り詰めた緊張感に変わる。一瞬にして気迫が豹変した彼に、
   2人も緊張感に襲われた。



    突如襲撃を開始しだしたミスターT達。今度は誕生して間もない新陣営連合にターゲットを
   向ける。襲われたのは6陣営からなるヘッドのデュシアE。護衛するエルシェス・リオデュラ
   の2人も併せての戦いとなった。

    試合はイリミネーション・タッグ、形式はトルネード6マンタッグ3対3。リング設定は
   サマースラム。ルールはDQのみ。


イリミネーション・タッグバトル登場+試合動画



    (イリミネーション・タッグバトル終了)
    全ての試合で禁断覚醒を用いるミスターT、勝敗は自ずと彼の方に挙がった。しかしヒール
   役としては充分な出来栄えで、後続3陣営からは大ブーイングの嵐である。

セリア「何て事を!」
    セリアはダウンしたデュシアE・エルシェス・リオデュラの安否を気遣う。しかし既に体力
   強制回復を施されているため、ただ倒れる仕草をする彼ら。何時の間にその行動をしたのかと
   目を白黒して驚いているセリアだった。
ティア「今度は私達が相手だっ!」
リュナ「覚悟しろっ!」
   瞬時にその場の役割を担おうとするが、どうしても帽読みになってしまうティアとリュナ。
   その2人に軽くウインクをするミスターT。それで顔を赤くしてしまうのだが、心にあった
   不安感は一瞬にして取り除かれる。
ミスターT「いいだろう、来い小娘共っ!」
   言葉は厳しいが、表情は爽やか。それに心を躍らせるティアとリュナ。今自分ができる事は
   目の前の戦いをこなす事だ。負傷した状態のデュシアE達をリング外に運び出すと、セリアも
   便乗して臨戦体制に入った。

    試合はイリミネーション・タッグ、形式はトルネード6マンタッグ3対3。リング設定は
   サマースラム。ルールはDQのみ。先のデュシアE達の時と同じである。


イリミネーション・タッグバトル登場+試合動画



    (イリミネーション・タッグバトル終了)
    結果は同じだった、ミスターT達の圧勝である。圧倒的大差で敗退したティア・リュナ・
   セリアだったが、ダウンしている最中に体力強制回復を施されている。
   その手際の良さを改めて知ったセリアは感銘し、ティアとリュナは心中では喜んでいた。

ミスターT「どうした、その程度か。」
    役割方、ダウンしているティアとリュナを蹴飛ばす仕草を見せるミスターT。しかし実際に
   蹴られた後に体力強制回復が施されているため、痛みは全く皆無である。
デュシアT「やめがやれっ、今度は俺が相手だっ!」
ウインド「彼女達が受けた屈辱を、その身を以て味わうんだな。」
ダークH「覚悟しな!」
   元来から超熱血漢のデュシアT。その彼と接する事により、自分達も超熱血漢へと変貌した
   ウインドとダークH。この2人が駆け込み参戦を行ってきた。
    ミスターT達は連戦で疲労しているという部分から、追撃が厳しいと踏んだ彼らだった。
   だがそれを覆すのが彼の生き様、直ぐに試合に応じだしてきた。

    周りは驚いた。幾ら体力強制回復を用いたとしても、精神的にはダメージを受けている筈
   だと思っている。しかしそれを物ともしないミスターT達。気迫で突き動く象徴とも言えた。

    試合はイリミネーション・タッグ、形式はトルネード6マンタッグ3対3。リング設定は
   サマースラム。ルールはDQのみ。これもデュシアE達やセリア達と全く同じである。


イリミネーション・タッグバトル登場+試合動画



    (イリミネーション・タッグバトル終了)
    連戦連勝をするミスターT達。圧倒的大差で勝敗が着いたが、それでも精神的ダメージが
   蓄積されているようだ。特にダークとダークTMはそのハードな試合内容に、心の方が疲れて
   きている。

トーマスA「悪いが漁夫の利を用いさせて貰う。今なら対等に戦えるはず。」
トーマスD「俺も参戦しよう。」
トーマスJ「三位一体の攻撃、凌げるかな?」
    そこに追撃するは流界ベルムカル・ウイスト・レジェブレのトーマス達。この3人は今まで
   の面々とは異なり、かなりの猛者である。流石のダークとダークTMは疲れの色が出始めて
   いた。
ミスターT「分かった、3人同時に相手になろう。来い若造共っ!」
   ミスターTの発言に相手の3人はおろか、ダークとダークTMも驚いた。それは1対3の試合
   をすると豪語しだしたのだ。反論したいダークとダークTMだったが、流石に疲れの方が前面
   に出ているためできない。

    試合はハンディキャップ。形式はワン・オン・スリー、交代なし。リングはサマースラム。
   ルールはDQあり・リングアウトなし。


ハンディキャップバトル登場+試合動画



    (ハンディキャップバトル終了)
    疲れを知らないミスターTはトーマス3兄弟を簡単に撃破した。漁夫の利として挑んだ戦い
   だったが、返り討ちにあったのは言うまでもない。

    だが流石のミスターTでも、4連戦ともなればダメージは蓄積されていく。表には一切疲れ
   を出していないが、雰囲気が幾分か落ちていた。

ディルヴェズ「これ以上の戦いは厳しいでしょう。一旦お引き下さい。体制を立て直しましょう。」
    その彼をサポートしたのがディルヴェズだった。兄弟の間柄故に考えている事も伝わる。
   彼らの方からミスターTに休戦を申し出てきた。それに感謝するミスターT達だった。


    リングを降りて行くミスターT。そこに何と凶器を持った人物が現れる。それは悪陣営所属
   のドクターT。パイプ椅子で彼を強打し、ダウンさせてしまった。
ドクターT「油断したな。最後の最後まで張り詰めた気迫を持った者が勝者だ。」
   反撃するダークとダークTMだったが、今度はディヴォルガルとフィルラウロームが襲撃。
   武器を使わない攻撃だが、今の2人にはかなりのダメージを与えただろう。
デュシアT「テメェ、何て事しやがる!」
ドクターT「悪役としての行動をしたまでだよ。それ以外に私達に何の存在意義があるのだね。」
   彼の言葉に反論できないデュシアTだが、その彼の厚意を無駄にせずとデュシアEが動いた。
デュシアE「所詮極悪の戯言だ。言葉よりも行動で示そうじゃないか。」
ドクターT「望む所だ。」
   突如参戦したドクターT達と抗戦を開始したデュシアE。これは即ち悪陣営と新陣営連合の
   全面対決となる。

    思い切った事をしたなとダウンしたミスターTは苦笑いを浮かべていた。それを窺い知った
   ドクターTも小さく微笑んでいる。

    試合はイリミネーション・タッグ、形式はトルネード6マンタッグ3対3。リング設定は
   今のまま、サマースラム。ルールはKO・ギブアップ・DQ。
   ドクターTはディヴォルガルとフィルラウロームのサポートが、デュシアEはディルヴェズと
   ユキヤのサポートがいる。


イリミネーション・タッグバトル登場+試合動画



    (イリミネーション・タッグバトル終了)
    先の戦いで徐々にコツを掴んできた一同。試合は白熱した展開を向かえた。勝利したのは
   デュシアE達だが、ミスターT達と戦った時よりも苦戦している。
   まあミスターT達が相手の場合は完全敗退が決まっているため、今回は自分達の実力で勝利
   するという事になったからだ。言い換えれば今までは楽して負けていたいう事なのだから。

ドクターT「いい余興になった。しかし後ろには注意しなよ。」
    負けながらも役割を忘れない。ドクターT達は足早にリングを離れていく。デュシアE達は
   彼らが去ってから勝利のアピールをしていた。
   ドクターTの襲撃で団結心が強くなった彼ら。これを狙っていたのかと、デュシアE達は痛感
   せざろう得なかった。



ダーク「これが繋ぎなのですか。」
    連戦でダウン寸前のミスターTを支え、近くのベンチに座るダークとダークTM。その中で
   彼がヒールを演じた切っ掛けを作った事を目の当たりにした。
ミスターT「意思の疎通でドクターTにご足労して貰った。やはり悪役たる存在の彼らの方が、場を
      盛り上げるには打って付けだからね。」
ダーク「それではマスターが咲かないじゃないですか・・・。」
ミスターT「私が咲いてどうするよ。私が願うのは一同の一時の歓喜だ。そのためなら、身命賭して
      動くつもりだよ。」
   徐に一服しだす彼。全ては一同のために身を削って行動している。それを目の当たりにした
   ダークとダークTMは言い表せられない感情に駆られた。それこそがエシェラが毎回抱く感情
   そのものだと痛感したのである。
ダークTM「エシェラさんの気持ちが分かりました。これでは自然と惹かれていくのは無理もない
      でしょう。」
ミスターT「お前さん達も十分可愛いよ。」
ダーク「お・・お世辞を言っても何もしませんよ・・・。」
   再び放たれた口説き文句に、ダークとダークTMは頬を赤く染める。その2人を見て小さく
   微笑むミスターTだった。

    彼にとっては簡単な激励なのかも知れないが、言われる方が異性なら惹かれるのは十分で
   あろう。本人の人柄や一途な思いなどを目の当たりにし、複雑な感情へと変化していくのだ。

    この状況を常に隣り合わせで接しているエシェラを思ったダークとダークTM。心は彼の
   事で一杯だろうと痛感したのである。


ダーク「今後はどうされますか?」
ミスターT「暫くは様子見かな。ドクターTが火種を蒔いてくれた事で、他の陣営が煽りを受けた。
      この流れだと自然と6大陣営決戦となる筈だ。」
    抗争のうねりが3対3だったのが1つに纏まった。6つの陣営がそれぞれを意識し合い、
   独自に戦いを開始しだしたのである。凄まじい抗争は激しさを増していくが、そこには純粋に
   試合に投じれる彼らの歓喜が感じ取れた。
ミスターT「そう言えば悪陣営の3大ロイヤルランブルはどうなった?」
ダーク「あ・・・多分停滞のままかと・・・。」
ミスターT「チャンプバトルの抜粋も1チームしか終わってないしなぁ・・・。」
   手帳を見ながら今現在の試合を確認する彼。抗争で巻き起こる突発的な試合は多いが、メイン
   となる試合はまだ1試合しか行われていない。
ダーク「催促してきましょうか?」
ミスターT「いや、今はいいよ。この抗争の流れに水を差しては申し訳ない。ある程度落ち着いたら
      切り出そう。」
ダークTM「我々はどうしますか?」
ミスターT「う〜ん、流れが確定しそうだから・・・お役ご免かな。」
   徐に立ち上がり煙草を吸い出す。先程までの疲れは一瞬にしてなくなったようで、既に次への
   行動ができるといった雰囲気が強い。

ミスターT「そうだ、お前さん達には橋渡しになって貰いたい。」
ダーク「無理難題でなければ・・・。」
    煙草を吸い終えて徐に語る。内容にもよるが、創生者自らのお願い事は滅多にない。これに
   2人は緊張気味である。
ミスターT「普段は一緒にいても構わないが、ダークは悪陣営の状況報告を頼む。ダークTMは他の
      陣営の状況報告を。中枢の創生者をミスターMが担ってくれているから、私達で情報を
      集めて回ろう。」
ダークTM「それならお安いご用です。」
ダーク「本線には乗れない形になりますが、ある意味こちらの方が重役ですから。」
ミスターT「うむ、頼むよ。報酬はデートでね。」
   その言葉で2人は顔が真っ赤になる。それに小さく微笑む彼。傍にいる2人の肩を軽く叩き、
   それぞれの陣営の情報収集に回って行った。

    男性陣でも労われれば一気盛んに闘志が湧くのを窺っているだけに、全ての人物に労う姿は
   激務そのものにもなる。特に女性陣は好意が芽生える。それだけ重荷を背負う事にもなりかね
   ない。

    それでもその場に合った激励を続けるミスターT。もはや激励そのものが彼のステータスに
   近いだろう。



ディルヴェズLK「拮抗は保ったままですか・・・。」
ミスターT「ここまで強い陣営を作ったつもりはなかったのだがね。」
    それぞれの陣営が抗争を繰り返す中、徐々に慣れだした面々はマジブレ陣営への対処法を
   編み出していく。とはいえ大多数は運が絡むだけに、確実に効く攻略法はない。
ミスターT「お前さんがブレインを担当しているから、ディルが前戦で戦うという事か。」
ディルヴェズLK「ええ。私が臨時の司令塔になり、色々な情報などを回しています。オリジナルは
         戦えるとあって大喜びですよ。」
   普通なら戦える姿を見てヤキモチを妬くのだが、彼女の場合はそれが全くない。むしろ女性版
   となったディルヴェズは、肝っ玉が怖ろしく据わっていた。
ミスターT「お前さんを見るとヴァルシェヴラームを彷彿とさせる。全く動じない姿は、風来坊の
      彼女そのものだよ。」
ディルヴェズLK「一応ご存知だと思いますが、シェヴは私の母ですし。」
ミスターT「あ・・そうだったか・・・。」
   完全に度忘れしていた様子の彼。創生者が構成した内容を忘れるという事は珍しいというか、
   あってはならない事である。
ディルヴェズLK「でも風来坊の方でもオリジナルやヴァルを出して頂いて嬉しい限りです。また
         アシュヴル・ルーフェス・カシスを弟という設定も。」
ミスターT「同一人物で出すのは問題があったからね。年齢が異なるとなれば、兄弟しか思い浮かば
      ない。それにヴァルの方もアルフィム・アシェナを妹という設定にしている。実際に
      登場しているのはディル・ヴァル・カシスの3人だけだがね。」
ディルヴェズLK「エシェツがカシスと付き合うというのも、自然な流れですよね。」
   フリハト本編の内容を熟知しているからこそ言い合える内容。それだけ陣営に関わった時間が
   長いという現れだ。ここはどの陣営よりも断然有利であろう。

ミスターT「激務が終わったらデートでもしよう。お前さんも安らぎが必要だからね。」
ディルヴェズLK「わ・・私を口説いてどうするのですか。それに私は一応男ですよ・・・。」
ミスターT「・・・鏡を見てから言ってくれ。」
    資料を見終わると語り出すミスターT。それは相変わらず口説き文句である。オリジナルは
   男性のディルヴェズだが、今の彼女は女性である。驚くのも無理はない。
   外見は女性なのに男性と豪語するディルヴェズLK。それに苦笑いを浮かべるミスターT。
   徐に彼女を抱き寄せ目を見入る。それに大赤面してしまうディルヴェズLK。
ディルヴェズLK「あ・・あの・・・。」
ミスターT「変な感覚だな、女性のディルを抱くというのは。お前さんとは草創期から世話になり
      続けている。私とは一心同体、光と影の間柄。あの苦節のお察し事変は申し訳なかった
      が、あれが起きなかったら私は誕生しなかった。」
   そう言うと静かに胸へと抱きしめる。そこから感じ取れる複雑な感情に、彼女も同じく過去を
   振り返った。
ミスターT「あの苦節ほど苦しんだ時はなかったよ。非現実という世界観でも心に響くもの。何度も
      打ち消そうと思った事か。そこで思い浮かぶのが恩師の心の叫びだ。」
ディルヴェズLK「逃げるな・負けるな・諦めるな、でしたね。」
ミスターT「どれだけ助けられ救われたか。彼女がいなかったら、間違いなく自分は潰れていた。
      それにこの場は作られなかっただろう。」
   無意識に抱き寄せる両手に力が入るミスターT。それに静かに頷くディルヴェズLK。同じ
   世界を生きてきた2人だからこそ、何も言わずに分かり合える内容だった。
ミスターT「お前さんに感謝している、ありがとう。」
ディルヴェズLK「それはオリジナルに言って下さい・・・。」
ミスターT「フフッ、オリジナルやアレンジといった事柄じゃない。俺は君に話しているんだ。」
   徐に彼女の顔を持ち上げ唇を重ねるミスターT。それに物凄く驚いたディルヴェズLK。だが
   異性としての付き合いを感じ取れた彼女は、自然と身体を委ねてしまう。
   絶対に体験できない甘い一時を満喫するディルヴェズLK。この経験が彼女の愛しい人達に
   向けられるのは言うまでもない。



エシェラ「・・・な〜にやってるんですか・・・。」
    長い口づけは続く。決してお互いを好いている間柄ではないのだが、その口づけから感じ
   取れる感覚は言い表せられない。永遠とも言える長い口づけを2人は続け合った。
    そこに現れるエシェラ。声色から顔を引きつらせているのは目に見えている。その声に我に
   帰ったディルヴェズLKの心は慌てて離れようとした。だが身体の方は目の前の行為に酔い
   痴れるばかりで、全く微動だにしなかった。
エシェラ「・・・でも羨ましい。ディルさんは私よりもマスターと接している時間が多い。それに
     色々な苦節を共に乗り越えた間柄。私はこの場で生まれた存在であり、歴史はまだ浅い
     ですから。」
   エシェラの発言をBGMに、ようやく口づけを終えた2人。名残惜しそうなディルヴェズLK
   を見れば、今の瞬間がどれだけ大きなものなのかが窺える。
ミスターT「だがお前さんは私の心を射抜いた。純粋に思ってくれたからこそ私も応じれた。歴史が
      浅くてもエシェラはエシェラだ。そんな君と過ごせた瞬間を誇りに思う。」
エシェラ「フフッ、相変わらず優しいですね。」
   今度はエシェラが彼の胸を占拠する。その彼女を優しく抱きしめるミスターT。先程までの
   ディルヴェズLKとの行為よりも力強い愛が籠められているのが窺えた。
ディルヴェズLK「エシェラが好く訳が分かりました。吸い込まれるような感覚には、とても逆らう
         事はできません。」
エシェラ「これを逆らえる人は猛者ですよ。でも・・私は逆らいませんが・・・。」
ミスターT「逆に取って喰われるわな・・・。」
   彼が皮肉を込めて語ると苦笑いするエシェラ。それに便乗してディルヴェズLKも苦笑いを
   浮かべた。


    その後も胸の中で甘えるエシェラ。その彼女の頭を優しく撫で続けるミスターT。もはや
   完全に恋人にも夫婦にも見える。自然体で行動する2人に、ディルヴェズLKは頬笑ましい
   視線を送る。

    しかし目の前の2人の姿を見つめると、どこか嫉妬感を抱いてしまうディルヴェズLK。
   それはオリジナルとは異なり、女性という性別から出る感情でもあろう。
   オリジナルの彼にはヴァルラームという愛しい人が存在する。だがいくらオリジナルとは言え
   自分自身ではない。つまりはディルヴェズLKも独立した存在としているという現れだ。

    それを身を以て知った彼女は複雑な心境だった。目の前の2人を見れば嫉妬感が、しかし
   2人を見守る心もある。言い表せられない感情はディルヴェズLKを独立した人物へと覚醒
   させていくのは間違いないだろう。



    運営サイドで甘い一時を過ごしている彼らとは裏腹に、表舞台では激しい抗争が繰り広げ
   られていた。もはや6つの陣営がそれぞれに戦いを仕掛ける姿は、三つ巴を超えた六つ巴と
   言える。

    その中でも一際目立つのがマジブレ陣営だろう。未知数という部分は薄らいでいったが、
   戦闘力の部分では今も断然有位だ。

ヴェアデュラ「ここまで戦えるとは思いもしなかった。」
マスターT「そうだね。」
    殆ど司令塔と化したマスターTとレディE。2人も戦いはするが、一同のブレイン的役割が
   多い。ヴェアデュラは先陣切って戦う方で、彼らの手足と言えるだろう。
アーディン「どうするね、一旦休憩入れるかい?」
マスターT「そうですね、少し休みましょう。」
   巨漢のアーディンでさえバテ気味の様子だ。それを見たマスターTは休憩を行う事にした。
   それを他のメンバーに伝えに行くヴェアデュラ。彼女の方はまだまだ動けるといった雰囲気が
   色濃く出ている。


    ようやく行動を停止したマジブレ陣営。今の今まで連戦続きで休息がなかった。それでも
   抗争を繰り広げるのは、自分達の存在がどれほどなのかを身を以て知った事にも繋がった。
   しかしそれは他陣営に計り知れない危機感と高揚感を与える事になる。

    触発されお互いに動き出す、それが陣営としての最高の流れ。無意識に動いてしまうのは、
   彼らがレスラーという存在だからだろう。


    マジブレ陣営の休憩を知って、他の5つの陣営も休憩に入る。慌ただしい抗争を繰り返して
   いた面々に訪れた一時の安らぎである。

    流石に誰も喋ろうとしない。それだけ先の抗争に掛けた意気込みが凄まじかったという現れ
   であろう。

    第48話へと続く。

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