アルティメットエキサイティングファイターズ 〜集いし鋼鉄の勇者達〜 〜第42話 チャンプ軍団〜 リアルサバイバルバトルという息抜きを満喫した一同。しかしその場凌ぎでしかなかった。 チャンピオンバトルを挑む面々を選んではいるが、今だに決めかねていた。 そこで登場したのがビィルガ・デュウバD・悪陣営の面々だ。特にビィルガ達は再び過去の 役割を演じだし、場を盛り上げようと画策したのだ。 そこに割入るはエシェラ。物凄い気迫でリングへと上がっていった。その後をトボトボと 付いて来るはミスターT。何故そうなったのか、一同は把握できないでいる。 エシェラ「リアルサバイバルバトルの再戦を申し渡す。試合はシングル、形式はノーマネージャー。 リングはリベリオン。ルールはロープブレイク・DQのみ。マスター、挑みなさい!」 イベント時の雰囲気丸出しで叫ぶエシェラ。先程の決勝戦が納得いかないといった雰囲気で 押し迫る。既にミスターTに告知済みで、後は彼がリングへと上がるだけであった。 ビィルガ「待て待て、誰の許可を得てリングを占拠するんだ。チェアマンの許可を得られなければ、 試合の展開は認めない。」 そこに便乗するビィルガ達。チェアマンという役割を駆使し、イベントを画策させようと いう流れだ。 ミスターT「ビィルガ、今は止めといた方がいい・・・。」 フォローに入るミスターTだが時既に遅し、今のエシェラには冗談が通じない。ビィルガの 発言を聞いた直後、今までにない殺気を放ちだしている。 エシェラ「・・・消されたいのか。消滅したくなかったら邪魔をするな。」 怖ろしいまでの威圧感だ。完全ブチ切れモードのエシェラは、誰よりも勝る鬼神そのもの。 その度合いはミスターTでさえ凌駕しているだろう。 だがそれで引くビィルガではない。叩かれれば叩かれるほど、より一層反発するのが彼らだ。 ビィルガ「口の聞き方に気を付けろ。貴様こそこの場にいられなくなるぞ。」 デュウバD「そうさね、口だけ達者な小娘に何ができる。」 この時ビィルガとデュウバD達は、エシェラの激怒する意味合いを知らなかった。何故再戦と 言い出したのか、それを分からずに挑発をしだしたのである。 エシェラ「・・・殺してやる。」 怒発天を通り越したエシェラは、凄まじい勢いでリングから降りる。そのまま挑発してきた ビィルガとデュウバDにクローズラインを放つ。 回避できる間合いだったが、彼女の殺気が尋常じゃない事に対して身体が硬直する。何の対処 もできず、打撃を喰らってしまった。 そのまま倒れるビィルガとデュウバDの首を掴み、まるでジャイアントスイングをするかの ように回転させていく。両腕で首を掴まれた2人は、回転の勢いによる投げでリングに激突。 凄まじいダメージが襲った。 ミスターT「だから言ったのに・・・。」 追撃しない所を見ると、エシェラは一応は自身の心は存在している。目の前が見えなくなるの なら、このまま追撃してトドメを刺すだろう。 エシェラ「この戦いだけは絶対に譲れない。押し通させて貰う。」 言葉は厳しいが、ダウンしているビィルガとデュウバDをしっかり気遣っている。怒発天を 通り越しても、心はしっかりと据わっていた。この時点で彼女の試合に掛ける思いが尋常では ない事に気が付いた2人だった。 安否を気遣うと、そのままリングへと上がっていく。その彼女に付き合いながらリングへと 上がっていくミスターT。その際ビィルガとデュウバDに体力強制回復を施して行った。 試合はシングル、形式はノーマネージャー。リングはアンフォーギブン。ルールはロープ ブレイク・DQのみ。 再戦・リアルサバイバル・シングルバトル登場+試合動画 (再戦・リアルサバイバル・シングルバトル終了) 結果はミスターTの圧勝。エシェラは完膚無きまでに叩き潰された。本編では無類の強さを 発揮する彼女だが、この場限りでは創生者には足元にも及ばない。 完敗を喫したエシェラだが、先程のリアルサバイバルバトルよりは満足そうな表情を浮かべて いる。これを望んでいたのだろう。 エシェラ「・・・これで満足です。でしゃばった真似をして申し訳ありませんでした。」 重い身体を引き摺りながらリングを降りようとするエシェラ。自分が行ってきた行動は理解 しているようで、表情は申し訳ないといった雰囲気が色濃く出ている。 ミスターT「待ちな、敗者は勝者の命令を聞くんだ。」 その言葉を聞いて立ち止まる彼女。敗者は敗者、勝者の言葉は絶対的である。まあ正義漢が 強いエシェラの事、より一層重荷に感じてしまってはいるが。 ミスターT「目を閉じて歯を食いしばれ。」 先程の清算として叩かれると直感した。これには素直に応じるしかないと覚悟するエシェラ。 目を閉じ歯を食いしばる。叩かれる事は今までになかったと振り返っていた。 彼女の目の前まで歩み寄るミスターT。その威圧感を無意識に感じ取り、エシェラは今まで にないほど怖がった。 だが彼が取った行動は異なった。その場に立膝を付くと、彼女の頬を撫でながら何と唇を 重ねたのである。一瞬何が起きたのかと目を開ければ、目の前では唇を重ねている彼がいる。 先程の言葉と全く違う事に困惑の表情を浮かべるエシェラだった。 彼の取った行動に周りは驚きの声を挙げる。しかし一部の面々は、その理由をしっかりと 把握していた。 ミスターT「今までの詫びだ。色々と迷惑を掛けたね。」 その言葉を聞いたエシェラは、見る見るうちに泣き顔になっていく。その彼女を優しく抱き しめる。優しく頭を撫でるミスターTは、端から見れば父親そのものだろう。 ミスターT「今後過度のおいたはしちゃダメだよ。」 彼の言葉に小さく頷く。そのままエシェラを抱きかかえると、リングを後にするミスターT。 言わばお姫様抱っこである。恥ずかしさが込み上げるものだが、今の彼女には十分過ぎる癒し であろう。 その2人を遠巻きに見つめるミスヒールとラフィナ。彼らしいと思ってはいたが、心中では 羨ましさが強く湧きでてきた。また本陣に戻っているシンシアとエリシェも同じである。 ビィルガ「さて、ここで打ち出しをするとしよう。」 気まずさが色濃くなりだした試合会場。それを払拭しだすビィルガ。エシェラの心中を強く 察したため、その彼女を擁護する行動に出た。 ビィルガ「悪陣営の面々でロイヤルランブルを行う。前回出場した面々は参加はしないで貰いたい。 今回はロイヤルランブルを3回行うとする。その勝者3人と前回勝者のベロガヅィーブ とがラダー・フェイタル4ウェイに挑み、悪陣営の頂点を決める。」 凄まじい打ち出しに悪陣営は大歓喜に包まれる。既に参戦した面々は仕方がなかったが、他の 面々は大賑わいであった。 デュウバD「ベルトに関してはマスターに申請するよ。悪陣営チャンピオンとも言うべきかな。」 ビィルガ「このベルトを巡って戦いを行っても構わない。白熱した試合を希望する。」 この悪陣営チャンピオンは、先程体力強制回復を施された折にミスターTから告げられた。 意思の疎通によるものだったが、その主旨はしっかりと把握しているビィルガとデュウバDで あった。 早速参加する面々を選び出す悪陣営の面々。その気迫は尋常じゃないぐらい強い。他の陣営 のチャンピオン参加者を凌駕するものだった。 エシェラTB「ビィルガさん。アイアンチャンプの参加者がいないため、シンシアさんとエリシェ さんの2人で挑ませたいと思います。」 ビィルガ「分かった、マスターには打診しておく。試合の方を頼む。」 アイアンチャンピオンのみ集まりが少なかったため、試合を開始する事に決めたようだ。 挑戦者はシンシアとエリシェ。どちらも拮抗したレベルなので、白熱した展開が予測される。 ビィルガ「ふむ・・・ただのアイアンチャンピオンでは面白くない。ここはミスヒール嬢にご足労 して貰い、スペシャルレフリー形式のアイアンマッチを組むとしようか。」 デュウバD「OK、ミスヒール嬢に呼び掛けてくるよ。」 中立陣営としてあまり活躍の機会に恵まれないミスヒール。その彼女を立たせるため、あえて スペシャルレフリーに変更したビィルガ。この機転の良さは彼では珍しいとも言えるだろう。 先刻創生者として活躍していた経験が、彼の視野を広くさせたのだ。 それにミスターTに全面的に頼り切るのは、彼らにとっては重苦しいものである。ここは 自分達で発展させていった方が、自身の成長に繋がっていくのだから。 ビィルガの呼び掛けに、ミスヒールは快く応じる。役割を与えてくれるのなら、それに誠心 誠意応じるのが彼女のスタイル。戦いだけが全てではないという事を理解している証拠だ。 試合はスペシャルレフリー・レフリー1人、形式はアイアンマッチ。リングはリベリオン。 ルールはギブアップ・ロープブレイク・DQ・リングアウトカウント・リングアウト・制限 時間10分。 アイアンマッチチャンピオンバトル登場+試合動画 (アイアンマッチチャンピオンバトル終了) 拮抗したバトルが展開された。若干エリシェの方が武があるが、スピードではシンシアの方 が断然上だった。しかし総合的な強さはエリシェにあり、辛うじて勝利する事ができた。 メルアTU「エリシェ様、おめでとうございます。」 新たに作成したアイアンチャンピオンベルト。それをメルアTUが持ち、エリシェに手渡す。 司会進行はビィルガ達が担い、GM陣営が補佐を担当する。この構図は素晴らしい程に成り 立っていた。 腰にベルトを巻き、アピールするエリシェ。その彼女にリスペクトをするシンシア。普段 から行われる、ごく自然な行動であった。 ゼラエルD「今回は俺達も参加できるな。」 アビゲイル「思いっ切り暴れるぜ!」 やっと出番が回ってきた追加悪陣営の面々。それでも参戦できる面々は限られるが、この 場合は代表者を選ぶしかない。大賑わいの悪陣営の面々、その熱気は善陣営を遥かに凌ぐ。 そこにミスターTが現れる。煙草を吸いながらの姿は、本当にフリーそのものだ。 ダーク「あ、マスター。エシェラさんは?」 ミスターT「連続で気を使いすぎたのか、泣き疲れて寝てしまったよ。」 あれだけの気迫で動き回っていたのだ。最後の労いが安堵感となり、疲れが出たのだろう。 泣いたという部分も疲れが押し寄せた要因でもある。 ディヴォルガル「マスター。我々は今回参加しません。」 その後近づいて来たディヴォルガル達が彼に話し掛ける。内容は3つのロイヤルランブル への不参加を告知してきた。それに周りの悪陣営の面々は驚愕している。 ミスターT「それはまた、どうしてだい?」 フィルラウローム「普段目立たない方々を優先に戦わせたいのです。」 デストロイア「私達は目立ちすぎました。それだけでも充分戦った事になりますし。」 彼女達の言葉には一理あった。主力陣だけが目立つこの場。サブキャラに位置付けられる人物 にはスポットが全く浴びないのが実情だった。それを打開するための自主的降板である。 ミスターT「まあそこはお前さん達に任せるよ。主役は君達なのだから。」 彼の発言で一同驚く。それは自分達を“お前さん達”とは呼ぶが、“君達”とは一切語る事は しなかった。そして脳裏に過ぎるは、例の小説での彼の発言だ。彼が口癖のように語る言葉に 近しいものになっている。 全員に小説の内容を施した事は、彼自身にも施した事になる。その影響は彼の方にも現れて いるだろう。 ディヴォルガル達が語ったように、全く試合を行っていない悪陣営の面々を優先的に選んで いく。普段から主力陣として活躍していた面々は、その現状に多少残念な気持ちでいる。 しかしめげずに別の試合のプランを考えてもいた。彼らには諦めるという概念が存在しない。 ダーク「マスター、手合わせをお願いできませんか?」 一旦は離れたが、再び悪陣営の面々と行動するミスターT。普段から接する事ができない面々 に対しての労いだ。これには彼らは大喜びしている。 そんな中、ダークが対戦を申し込んでくる。魔剣の姿ではなく、素体の姿の彼女。戦闘力は かなり高い。 ミスターT「それは構わないが、お前さんも参加するんじゃないのか?」 ダーク「私も降りますよ。残念ではありますが、貴方と一緒にいられるのなら構いません。」 この美丈夫も彼に対する思い入れが出ている。先のリアルサバイバルバトルでの行動が大きく 影響しているからだ。 ミスターT「よし、やるか。作業もあるから、長めはご法度だぞ。」 ダーク「了解です。」 彼らと会話している最中、ずっと手帳にペンを走らせていた。その真剣な作業内容を窺えば、 彼が何の行動をしているか直ぐに分かる。 しかしどんな状況でも快く応じるのが創生者たるミスターTだ。中断をさせて申し訳ないと いった雰囲気のダークを慰めてもいる。 試合はシングル、形式はノーマネージャー。リングはサバイバーシリーズ。ルールはロープ ブレイク・DQのみ。 シングルバトル登場+試合動画 (シングルバトル終了) 常に禁断覚醒状態のミスターTに敵う者はいない。それは今戦ったダークもそうである。 しかし戦える事にこそ意議があるこの場、そして彼ら悪陣営の存在もそうであった。どの様な 結果であっても、彼らは決して反論は一切しなかった。 試合はミスターTの圧勝。善戦するダークだったが、殆どの攻撃が返し技として放たれては 勝ち目はない。 ダーク「流石です・・・。」 リングでダウンしているダークに、体力強制回復を施すミスターT。受けたダメージが一瞬 にして癒えた。その彼女に優しく右手を差し伸べる彼に、ソッと自分の右手を差し出した。 ミスターT「陣営さえ異なれば、お前さんもダークHみたいになっただろうに。」 ダーク「いいのですよ。これこそが私の存在意義で、曲げられない生き様なのですから。」 口ではしっかりとした事を述べているが、表情には余裕が感じられない彼女。自分の存在が 周りを立たせるのは事実だが、それでもこの場では辛い現実でもある。 ディヴォルガル「お疲れ様です。」 リング外へと降りる2人。そこにタオルと紅茶を持って現れるディヴォルガル。本編の悪役 という部分を除けば、彼女は怖ろしいまでのお淑やかさだ。ウェイトレスとしての部分が一層 冴え渡っている。 ミスターT「すまない。」 ダーク「ありがとうございます。」 殆ど発汗しなかったミスターTは、先に紅茶を飲んでいる。ダークの方はかなりの発汗をして いたため、先にタオルで顔を拭いていた。 ミスターT「お前さんもレミセンのウェイトレスになれるよ。」 ディヴォルガル「ありがとうございます・・・。でも・・・顔がこのようでは・・・。」 ミスターT「その時は素体のお前さんで挑んで貰うよ。ちょっと改良を加えれば直ぐだから。」 創生者たる発言だろう。2人にしてみれば考えられない事である。それでも要所要所に込め られている労いに、心から感謝せずにはいられなかった。 ミスターT「まだ決まらないのか・・・。」 3大ロイヤルランブルに出場させる人物の抜粋を行う悪陣営の面々。相変わらず頭を捻らせ ながら悩み抜いていた。 ディヴォルガル「ある程度までは決まったのですが、3つのチーム共に残り数人で停滞してしまって います。」 ミスターT「まあ任せるしかないか・・・。」 紅茶を飲みながら手帳にペンを走らせるミスターT。今も90人の抜粋を選んでいる彼らを 見守り続けている。その彼の行動に興味津々のダークとディヴォルガル。普段から窺い知る事 ができない事を目の当たりにすれば、興味が沸かない訳がない。 ダーク「あの・・・何の作業をされているのでしょうか・・・。」 恐る恐る彼に話し掛けるダーク。隣にはディヴォルガルが同じく恐縮気味に答えを待って いた。 ミスターT「GM陣営も含めた全ての面々の確立。総数2160人へ向けて突き進んでいる。」 驚愕する答えが返ってきた。以前打ち出されたエルシェスとリオデュラが所属する陣営と、 アレンジ軍団の合計180人の作成。それだけで1680人という企画外の人数だった。 しかし彼が新たに打ち出したのは、更に480人を追加した2160人作成という計画だ。 これには2人は絶句して何も言い出せない。 ミスターT「今も作り続けている。現段階では593人までは手掛けたが、残り67人の作成がまだ 終わっていない。これを完遂させる事が今の私の使命だ。」 力強く語る彼の心情が切々と伝わってくる2人。何が何でも完遂させるという意気込みが、 2人の心を大きく揺さぶる。執念こそが成し得る業物で、自分達では到底不可能だと思った。 ミスターT「それと2160人が揃ったら、もう一度リアルサバイバルを行おう。更に小説の内容の 追加もあるから、楽しみにしていてくれ。」 そう語りつつも作業は一切止めない。手帳にペンを走らせる勢いは衰えず、一心不乱にも似た 行動に圧倒される彼女達だった。語り掛けようにもそれ自体が悪いとも思えてしまう程だ。 ただ見守るしかないダークとディヴォルガル。心中で最大限の応援をしつつ、孤軍奮闘する ミスターTを見つめていた。 その後黙々と作業を続けるミスターT、そこにライアが別のプランを引っ提げて登場する。 異様とも言える勢いで作業を続ける彼を目の当たりにし、ダークとディヴォルガルと同様に 驚愕の表情を浮かべていた。 ミスターT「そうだライア、先方の本陣決戦は予定通り行うよ。」 ライア「え・・・そ・・そうですか・・・。」 今も手帳と格闘中の彼が、気配だけでライアが来たと察知する。突然語られた言葉に再度驚愕 の表情を浮かべた。 ミスターT「それとも引っ提げた別のプランを実行するかい?」 ライア「い・・いえ・・・、新しいプランも本陣決戦の改修版なので・・・。」 ミスターT「そうか、すまんな。」 しっかりと応対するも、身体の方は手帳との死闘を繰り返している。遠巻きに何をしているの かと2人に聞く彼女、その理由を知って更に驚愕するのだった。 ミスターT「最終追加のGM陣営180人に、ダークとディヴォルガル達も追加するよ。それに陰で 活躍しているゼラエルやベロガヅィーブなども。」 ディヴォルガル「そ・・そんな恐れ多い事をしないで下さい・・・。」 最終追加総人数は660人。その中の180人はGM陣営に割り当てると語る。追加する 抜粋GMキャラクターは善陣営が中心で、傍らにビィルガ達が追加されていた。 そこに今度は本陣所属の悪陣営も追加するという事を語ったミスターT。これには日の目を 浴びる事はないと思っていた2人は恐れ慄いた。 ミスターT「充分な活躍をしていると思うが・・・、まあ押し通させて貰うよ。GMサイドにも悪役 出身を追加してもいいだろう。ちなみにお前さん達は毒牙を抜かれた善陣営のキャラと なる。」 ダーク「だ・・ダメですよ・・・。既にダークHさんがいらっしゃるというのに、私が現れては重複 します・・・。」 ディヴォルガル「我々は戦いこそが全てです。GMという中間で纏める役割は荷が重過ぎます。」 2人は批難の声を挙げる。自分達の存在は純粋に戦闘に回帰する悪役たる存在。その自分達が GMサイドに登場するとあって、頭の中は混乱状態であった。 その2人を尻目に、傍らにいるライアは意図が読めた。作業に没頭するミスターTの代弁を するようなタイミングで語りだす。 ライア「私も別キャラのGMの役割を担う自分の作成に渋りました。しかしマスターは陰で努力する 私達を見て下されている、その結果がこれなのです。マスターはお2人を心から気遣って 下さっているのですよ。」 彼の心情を察知した2人は何も言えなくなる。ライアという代弁者の発言だが、その内容は 全く同じものだった。善陣営・悪陣営の分け隔てなく愛情を注ぐ彼の姿勢は今も健在だ。 ライア「私がマスターなら同じ事をします。お2人が今までの戦いで率先して試合に参加しなかった のは、パワーバランスが崩れるとマズいという現れだと思います。だからゼラエルさん達が 戦っているのに、貴方達は傍観を徹し抜いた。私だったら我武者羅に突き進みますよ。」 ライアの根底はどの様な壁だろうが我武者羅に突き進む。それが2人と同じ境遇なら、彼女は 率先して表舞台に舞い降りるだろう。 ライア「我慢する必要はありません。それに貴方達の分身がGMサイドに追加されるのであって、 オリジナルの貴方達はそのままです。埋め合わせにも近いでしょうが、悪陣営からの抜粋 されるGMキャラクターなど前代未聞ですよ。」 2人を諭すかのように熱く語り続けるライアに、ミスターTは驚いていた。全てを知っている かのような彼女の発言は、ある意味陰から監視されているかのようである。 ミスターT「よくぞまあ私の心情を・・・。」 ライア「私だったら同じ事を思いますから。」 ミスターT「まあ確かに・・・。」 その場にいる自分であったらどうするのか、それを踏まえると自然と答えが導き出される。 ライアの姿勢は創生者と全く変わらない。根底に不動たる信念と執念が存在しているからで あろう。 ミスターT「ライアなら創生者を任せてもよさそうだな。」 ライア「な・・・何を仰るのですかっ!」 先程のダークとディヴォルガルのシドロモドロになった時と同じく、慌てふためくライア。 それに小さく笑っているミスターTだった。 ミスターT「今のお前さんの応対が全てだよ。ダークやディヴォルガルには、GMサイドという役割 が重たく感じる。お前さんは創生者という役割を重たく感じたように。」 ライア「そ・・それはそうですが・・・。」 ミスターT「押し通そうかなぁ〜・・・。」 悪戯っぽく語る言葉を聞いたライアは背筋に悪寒が走る。彼も我武者羅に突き進む部分が存在 している。言わば彼女と全く同じ属性なのだ。 ミスターT「ハハッ、冗談だよ。お前さんはお前さんの役割を担うんだ。私は私の役割を担うから。 しかしだ、今の役割に胡座をかいちゃダメだよ。」 ライア「もちろんです。それ以上の役割を担っているような心構えで進みますから。」 ミスターT「流石シュームを超える子供を産んだだけの事はある。素晴らしい心構えだ。」 ライア「その役割は・・・マスターが決めた事です・・・。」 本編の役割を指摘すると、頬を染めて俯く。4児の母親たる存在は、彼女の一番の重役だ。 何よりも誇り高い事ではあるが、その経緯を考えると赤くなるのだろう。 ミスターT「大丈夫さ、お前さんなら超えられない壁など存在しない。胸を張って進んでいい。」 ライア「もちろんですよ。」 直ぐに本来のライアに戻る。その姿に安堵感を抱くミスターT。その場での心情の切り替えが お手の物なのも彼女のウリだ。 修正を施した本陣決戦の資料をミスターTに手渡し、仲間の元へと戻っていくライア。役割 を担い切ったといった雰囲気が色濃く出ている。 ミスターT「まあ無理強いはしないよ。本当に否定するなら創生はしない。しかしチャンスだぞ。」 一旦作業を止めて一服するミスターT。ライアとの会話を窺っていた2人は、その勢いの凄さ に呆気に取られている。 ダーク「・・・分かりました、担わせて下さい。」 ディヴォルガル「・・・わ・・私も担います。」 決め兼ねているディヴォルガルを尻目に、ダークは決意を胸に秘め承諾した。それに驚きの 表情を浮かべるディヴォルガルだが、自分も負けられないと承諾をする。 ミスターT「大丈夫さ、普段と同じ状態でいればいい。変わる所といえば、その顔が可愛くも優しく なるぐらいだから。」 表情の事を指摘され、頬を染める2人。しかもそれは口説き文句でもある。心を躍らせない訳 はなかった。 ミスターT「私を惚れさせるぐらいの美貌の持ち主だ、もっと胸を張っていい。まあ何だ、私自身が 惚れっぽい性格だからね。一方的な片思いになっちまうが、勘弁してくれ。」 彼の発言は紛れもない、自分達への告白そのものだ。それにより一層顔を赤くしてしまう。 特に一番思うのが、悪役という外見を超越した考え方にある。善役と同じように接してくれる 事に、今までにないほど心を躍らせる2人だった。 ダーク「あの・・・ありがとうございます・・・。」 やっとの思いで礼を述べるダーク。以外にも奥手だったディヴォルガルが赤面しっ放しだ。 ここはダークの方が一枚上手という表れだろう。 ミスターT「曲がりなりにも魔剣時に抱かせて貰った。お前さんの心は痛いほど分かる。その強さが あれば、絶対に負ける事はない。」 ダーク「はい・・・。」 魔剣へと変化した彼女を手に持つ事は、彼女自身を抱くという事になる。あの時ダークが酔い 痴れた感覚は、素体の自分を抱擁されていたのと同じ境遇だったのだから。 ミスターT「機会があれば魔剣じゃないお前さんを抱きたいものだ。」 ダーク「な・・・な・・何を言うのですか・・・。」 ミスターT「別に恥ずかしい事じゃない、私の素直な心情だよ。お前さんがどう思っても、私の心は 一同と共にあるからね。」 心こそ大切なれ、彼がよく語る言葉だ。それに心を躍らせるダーク。魔剣という武器という 存在から、彼女の全ての感覚は純粋で素直に感じ取る事ができる。つまり彼に心を奪われたと いう事実だから。 ダーク「・・・エシェラさんが心から好かれる意味が分かりました。これでは一途な感情から逆らう 事もできませんね・・・。」 ミスターT「逆らうも何も、お前さんが好きだからな。」 ダーク「もうっ・・・、でも・・・嬉しいです・・・。」 例の小説の内容を全員に施してから、相手を思う心がより一層強くなった一同。特にダークは 本編の設定から、純粋までに心を感じ取る事ができる。彼を思う心が瞬間的に最大にまで膨れ 上がったのは言うまでもない。 ミスターT「まあ今は目の前の事に集中しよう。私も最終悲願を達成させなければ、死んでも死に 切れない。」 そう語りつつ、再びテーブルに向かって手帳と格闘しだす。伝説の頂たる2160人作成 への布石、その意気込みは凄まじいものであった。 ダークとディヴォルガルは作業に没頭する彼を暖かく見守るしかなかった。心中では彼の心に 自分の心を合わせ、共に戦う事を強く願った。 相変わらず作業を繰り返すミスターT。他の陣営はそれぞれ異なる試合展開を行っていた。 先のダークもそうだったが、小説の内容を施された事でコミュニケーションの幅が広がる。 率先して相手との会話などを行う部分は、彼ら全てが風来坊という主人公の生き様が定着して いるとも言える。 それぞれが主人公、それがアルエキファイタの世界だ。本編では脇役の人物であっても、 この場では全ての面々が主人公なのだから。 ライディル「チャンプ軍団の抜粋はこのぐらいかね。」 資料として残す方が覚えやすいという事から、シェガーヴァとレイシェムに頼み書記係を 依頼するライディル達。リスト化した表を見つめ、今現在の公募者の状態を把握する。 ディーラ「サバイバルチャンプに挑む人物は少ないな。」 サーベン「そりゃそうでしょうな。三位一体が成されなければ、リュエラW嬢ちゃん達に勝つ事は 厳しいですから。」 独立した陣営がチャンプ軍団。そこに所属する人物達は、本編から離れた存在になっている。 ライディル達は直接的には関係はないが、纏め役という部分でリーダーを任されていた。 チェブレ「何かマスターの様子だと、新たな人物が登場する気がしてならない。」 ディーラ「ライア嬢の話によると、新陣営2つと最終陣営が追加されるそうで。それにGM陣営も 含めた660人の追加らしい。」 ディーラの語る内容を伺い、一同は絶句する。総合計2160人の大陣営という意味合いが、 彼らを遠い世界へ連れ去ってしまうかのようだった。 ライディル「ま・・まあ・・・好敵手とやり合えるのは光栄な事だよ。」 リュエラW「私達を超える存在がいて欲しいですが・・・。」 まだ見ぬ人物を想像し、今後の流れを予測する一同。それに心を踊らし、直ぐにでも相見え たいという願望に駆られた。 シェガーヴァ「やれやれ、またリストの手直しが必要になるのか・・・。」 そこに水を差すのがシェガーヴァ。リスト化はかなりの時間が掛かり、再び作り直しという 部分を知ってぼやいている。それでもコンピューターに向かう姿勢は崩さない。 ディーラ「ユウMI嬢とアイS嬢にもご足労して貰うよ。」 レイシェム「助かります。」 2人掛かりでリストの作成を行うシェガーヴァとレイシェム。本編ではサイボーグの面々な だけに、コンピューターへの適正は半端じゃない。 またディーラが呼びに向かったユウMIとアイSも、本編では突然変異で誕生したサイボーグ である。この双子もコンピューターへの適正は半端じゃなかった。 書記係に一切の記述を任せて、チャンプ軍団の纏めを行うライディル達。新たに追加された アイアンチャンプのエリシェも駆け付け、本格的な流れを打ち出していく。 その頃、悪陣営サイドではざわつきが始まる。それはミスターTの悲願とも言える作業が 完成したからだ。2160人という尋常じゃないエディットは、悪陣営の面々の度肝を抜かす には十分な事だった。 それに彼らが驚き続けていたのは、その異業の達成した瞬間が自分達の目の前だったという 事だろう。普通なら創生者室か善陣営の側での達成なのだろうから。 ミスターT「全て終わったよ、これで660人の追加が可能だ。」 何時でも黒いカードの内容を反映できると語るミスターT。それに周りは驚愕の表情を浮か べるしかなかった。 ミスターT「どうする、今すぐにでも好敵手を召喚するかい?」 ゼラエル「そ・・そりゃぁもちろん・・・。」 誰もがウンウンと頷くだけだった。660人という膨大な数の人数を思い浮かべるだけで、 これからの展開が怖ろしいまでになるのだろうから。 一同の元へと向かう彼ら。試合や会議などを行っている面々を呼び止め、こちら側に注目 させていく。この660人の完成を知るのは悪陣営の面々しかいなかった。つまり今公表する のが初めてとなった。 ミスターT「会議や試合中に申し訳ない。新たな同胞が完成したので披露したい。人数は660人、 新陣営3つにアレンジ軍団とGM軍団だ。」 彼の言葉に驚愕する一同。悪陣営の面々と同じリアクションには、ミスターTは自然と笑み を浮かべてしまう。 徐に手帳から黒いカードに反映させ、660人の召喚を行いだした。面識がある人物から、 全く知らない人物までが続々と出現する。この人数だけで現存の陣営に匹敵するものだった。 ミスターT「新しい陣営を紹介するよ。ウインドストライカー、ザ・レジェンド・オブ・ブレイド。 そしてマスター・オブ・マジックブレイドだ。ウイストは現実味溢れる世界観だが、 他の2つはファンタジーの流れを汲んでいる。」 既に出現しているエルシェス達やリオデュラ達が、正式に陣営別として登録された。これに よって試合が可能となる。また最終陣営のマジブレ陣営は新規登録となった。この陣営だけで 210人という破格な人数である。 ミスターT「アレンジキャラは殆ど全ての面々のアレンジを作った。一部アレンジされていない面々 がいるが、彼らは本編で特化したキャラだからね。ここは黙認してくれ。」 アレンジ軍団だけでかなりの数である。これだけでも200人は超えている事になり、最終 陣営に匹敵する存在であった。今までは女性陣のアレンジが多かっただけに、今回は男性陣の アレンジが目立っている。 ミスターT「GM陣営は180人。今回は悪陣営の代表を抜粋させて貰った。無論悪陣営のGMとも 言えるかな。オリジナルとは異なり、戦術や戦略を特化したと言っていい。」 追加されたGM軍団は、3つの新陣営のメインキャラクターや悪陣営のキャラキャラクター が多くいた。特にその中で目立つのは、ダークやディヴォルガルの存在だろう。善陣営系列の GMとして覚醒した5人は、正しく異様そのものである。 ミスターT「最後は、先発陣営の追加キャラだ。オリジナルとアレンジの合計6人だが、うち2人は 間違いなく今後の流れを左右する存在だろう。」 追加されたキャラクターの所属陣営はリタレヴとフリハトだ。特にリタレヴの追加メンバー を見た一同は、再来するじゃじゃ馬を彷彿とさせる。 ミスターT「フリハトの追加メンバーはラシュディア。ディル達と縁が深い名前のキャラだ。また リタレヴの追加メンバーは言うまでもない、ターリュとミュックの妹であるタシュナと ミュシアだ。」 ついに追加したかとターリュSとミュックSは大喜びしている。またオリジナルやアレンジの 面々も同様だった。本編での位置付けはメルアとトーマスSが再び子供を作ったという流れ から誕生に至る。エイラ達の直系の子孫とも言えた。 ミスターT「まあ後は各々で確認しあってくれ、俺からは以上だ。俺と君達の悲願とも言える高み への登り詰め、俺の生き様を立てさせてくれた事に心から感謝している。」 深々と頭を下げてその場を去っていくミスターT。素体の彼に戻っているからか、再び自分 の事を“私”ではなく“俺”と述べていた。また君達と語っている事から、この悲願達成が どれだけ大きなものなのか想像が付かない。 最後とも言える伝説の頂の達成。ミスターTも含めた総勢2160人もの面々がこの場に 集う。もはやこの場こそが伝説の頂そのもの。これを超える存在はないだろう。 これが皮切りとなり、今後の流れが大きく変わる事を一同は直感していた。 第44話へと続く。 |
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