アルティメットエキサイティングファイターズ 〜集いし鋼鉄の勇者達〜 〜第37話 大いなる安らぎ・後編〜 それぞれの陣営が大規模な息抜きを満喫している。その中で普通に試合を繰り返す面々が いる。ビィルガを中心とした、本編がない人物達だ。 この場で出来る事を最大限行おうという事で、仮想空間想像能力を駆使して模擬シーズンを 行っている。本陣の役割から離れている事により、真敵役の人物達はニュートラルという位置 付けだ。 ビィルガ「おいおい、誰が勝手に決めていいと言った。貴様には決定権など一切ない。」 模擬シーズンとして、チェアマン扮するビィルガがニューフェイスのミスヒールを罵倒して いる。独自に試合展開を行ったという事で、それに対する制裁という名目の嫌がらせだ。 ミスヒール「では直接対決といこうか。どちらがチェアマンに相応しいか、確かめさせてもらう。」 ビィルガ「望む所だ。しかしこちら側はポーレスとハンニバルが共闘する。貴様は単独で戦え。」 デュウバD「あらあら、またハンディキャップマッチだね。なら私とレイスBがミスヒールに加勢 するよ。イリミネーション・タッグといこうじゃないか。」 それぞれが独立した形で模擬シーズンを盛り上げる。主人公役はミスヒールだが、盛り上げ 役も主人公役であろう。 試合はイリミネーション・タッグ、内容はトルネード・6マンタッグ3対3。リング設定は アルマゲドン、ルールはギブアップ・DQが適応される。 イリミネーション・タッグバトル登場+試合動画 (イリミネーション・タッグバトル終了) 役から離れたビィルガ達は全力で戦えた。一切の小技など無用、力の限り試合を演じた。 ミスヒール達も全力で戦い、ビィルガ達を完膚無きまでに粉砕したのである。 純粋に試合に投じるだけでここまで力が発揮できるのか。真敵役を長い間演じていたビィルガ 達は痛感しているようだ。 ミスヒール「試合には勝ったけど、チェアマンは貴方にこそ相応しい。私は辞退させて貰うよ。」 過去の模擬シーズンでミスターTとシェガーヴァとが対決した時と同じく、ミスヒールはその 役を請け負わず返上したのである。 無意識にではあるが、普段から気を使ってくれているミスターTに思い入れがあるようだ。 デュウバD「何かあたい達だけじゃ満足な試合ができないねぇ・・・。」 ビィルガ「我々はマスターなしでは生きてはいけない。どんなに創生者の役割を演じようが、彼には 絶対に敵わない。」 エシェラがミスターTの所在を確認しに来てから、休まず戦いを行っていた。やはり彼の ように機転溢れる展開はできないのが実情だった。 ミスヒール「やはり皆さんが羨ましい。本編という部分から生まれた彼らは、帰る場所がしっかりと 存在する。私達の回帰の場所は、残念ながら殺伐とし過ぎてます。」 大きな穴が開いた感じがするオリジナルの陣営。回帰の場所はプロレスの世界でしかなく、 独創的な場は一切存在しない。 虚しさが漂うこの場、そこに戻ってきたのはミスターTとエシェラである。そのエシェラを 見て、一同我が目を疑う。先ほど会った時とは見違えるほど大人びいているからだ。 ミスE「おかえりなさい。如何でした?」 ミスターT「彼女に心を射抜かれたよ。」 ミスEの問いに答えるミスターT。それを聞いた一同は歓声を上げた。はにかみながら笑う エシェラに、その健闘を讃えたのである。 ミスE「何時動くのかと心配していましたが、これで安心ですね。」 エシェラ「でも・・・ミスEさん、貴方も・・・。」 ミスEが心を許す存在、それは彼女も同じなのかと心配するエシェラ。しかし返ってきた答え は全く異なっていた。 ミスE「ご心配なく。本当の事を述べれば、私はマスターの一部分なのです。ミスEというのは仮の 名です。本来はミスTですよ。」 驚くべき内容だった。ミスE自身はミスターTの分身と言える存在だという事。これには一同 驚愕するしかなかった。 ミスターT「私が女性としての視点をどうしても演じれない部分、ここをミスEに託したんだよ。 私と同等の力を持つ事から、既に知っていたかと思っていたが。」 エシェラ「むう・・・まんまと騙された形です。」 ミスターT「無論仮想現実であれど、異性間のプライベートの部分は触れない。そこだけはしっかり 弁えている。腐っても私は野郎だ、花園に触れる事だけはしないよ。」 生真面目すぎると周りは思う。だからこそ重役がなりたつのだろう。そうでなければ私利私欲 に振り回され、真に行う事を捨てた愚者と成り下がる。 ミスE「まあ今となっては私も独立した存在でもあります。しかし根底はマスターと同期している。 貴方が羨ましいですよ、エシェラさん。」 この場合はこう捉えるべきだろうか。裏の創生者がミスターTで、表の創生者がミスEと。 本来は逆となるだろうが、それは大きな見間違いである。 ミスターT「何だかんだで、結局はここに戻る訳か。」 休憩を挟んだ後も模擬シーズンを行うビィルガ達。試合を行うリングを見つめ、原点はこの 場なのだと痛感した。爽やかに戦う彼らを見つめ、羨ましそうな視線を送るミスターT。 エシェラ「遠回りでしたが、いい経験を積めましたよ。」 勝負服から戦闘服に着替え、元に戻ったエシェラ。髪の毛の纏めも外し、普段の姿に戻って いる。しかし先の経験から肝っ玉が据わり、各段と美しくも強くなった。 ミスターT「お前さんには迷惑を掛けるよ。」 エシェラ「とんでもない、私の方こそ色々とご迷惑をお掛けして。」 ミスターT「だが時は手段を選ばないようだね。形はどうあれ、結果はこうなった事だ。お前さんの 勇気ある行動に感謝している。」 ポニーテールから普段の髪型に戻したその頭を撫でるミスターT。戦闘服に戻ったため、以前 のような大人の雰囲気はない。むしろ幼さが戻ったとも言える。 その出で立ちで頭を撫でられ、はにかむ姿は幼子そのもの。外見で雰囲気がガラリと変わる 典型的な女の子である。 そこに続々と戻ってくる各陣営の面々。最初は雑談や娯楽などしか息抜きが出来なかった、 一匹狼とメカノイドの面々だ。やはりこの場が落ち着くというのであろう、戻ってくるなり ウォーミングアップを開始する。 ナツミYU「やっぱりこっちの方が落ち着くわぁ〜。」 腕を鳴らし身体を解すナツミYU。先ほどの息抜き時のお淑やかさはどこへやら。今は完全に 格闘家としてのオーラが漂っている。 リュウジN「まあでも息抜きはできたし、本腰入れて動くだけですぜ。」 ナツミYU「フフッ、そうですね。」 新陣営混同で息抜きしたためか、この2つの陣営の絆は深まっているようだ。その事を踏ま えれば、先の一時は無駄ではないだろう。 アサミ「あ〜あ、ユキちゃんに期待してたんだけどなぁ・・・。」 アユミ「既に決め役が存在するからねぇ・・・。」 先のエシェラの応対に、アサミもアユミもユキヤNに期待を寄せる。しかし彼にはウィンN という存在がいる。儚い希望だと2人は半ば諦め気味だ。 エシェラ「そうでもないですよ。絶対に諦めないという一念があれば、結果がどうあれ相手は応じて くれます。」 落ち込むアサミとアユミの背後に近付き、両者の肩に手を置くエシェラ。既に悲願を達成した 彼女にとって、今の2人は過去の己自身そのものである。 アサミ「え・・・、もしかして・・・。」 アユミ「エシェラさん、その・・・うまくいったのですか?」 2人の問い掛けにエシェラはただ微笑むだけだった。それだけで結果が全て分かったアサミと アユミ。先ほどの彼女とは思えないほど輝いて見える。 エシェラ「本編は既に決まっている道筋でも、ここでは一切関係ありません。自分が何をすべきか、 独立して考えて動く事もできるのです。お2人ならできますよ、必ずね。」 2人を抱き寄せ語るエシェラの仕草は、まるで母親そのものだ。アサミとアユミの心情を深く 知っている彼女だからこそできるのだろう。 アサミ&アユミ「・・・頑張ってみます!」 全く同時に喋る2人、流石は双子である。背中を押して貰った事により、先ほどまでの落ち 込みは一切ない。 善は急げと行動を開始するアサミとアユミ。恋多き年頃は無敵だと言わんばかりの姿に、 頬笑ましい視線で見送るエシェラだった。 ミスターT「どうだ、少しは見つかったか?」 オリジナル陣営の元へと向かったミスターT。2陣営が戻ってきた事で、模擬シーズンを 切り上げている。今後どういった内容を展開するか、暗中模索するビィルガ達だった。 ビィルガ「まだまだですな。」 デュウバD「あたい達には荷が重すぎるという事は分かったけどね。」 独自で模擬シーズンを担ったにより、より一層創生者役が大変だと把握した彼ら。多岐多様の 気遣いは凄まじい労力であり、ますます辛いものだと痛感していた。 ビィルガ「マスター、これをお返しする。」 ビィルガは懐から黒いケースを取りだす。それをミスターTに手渡した。普通なら強大な力 を手にすれば、手放したくないのが実情だろうが。 ミスターT「いいのか?」 ビィルガ「我々には荷が重すぎた。やはりマスターこそ、創生者に相応しい。それにエシェラ嬢から 伺っています。この力はフェイクなのだとも。」 以前エシェラがミスターTの所在を訊きに来た時、彼に耳元で囁いたものはこの件だった。 全てを見透かしているかのような行動のエシェラ。こうなる事は把握済みだったようである。 ビィルガ「しかしこれで良かったかも知れません。本当に禁断の力を持てば、本当に要らぬ考えが 出てくる筈。マスターやミスヒール嬢の戦略に、見事に落とされたという事でしょう。」 肩の荷が下りたと言わんばかりに、その表情は安堵に満ちていた。またビィルガに所属する 面々も同じである。ミスターTから誕生した面々に、この力は強大すぎた。 ビィルガ「今度は普通に戦います。色々な手段を使いますが、一同を沸かせるという決意は同じ。」 ミスターT「ありがとな。」 重役から解放されたビィルガ達。再び一介のレスラーとして戦える事に嬉しさを感じている。 そして再び創生者へと戻ったミスターT。この流れは必然だったのかも知れない。 戻ってきた面々で試合を開始する。特に目立つはビィルガ達の存在だろう。創生者という 役割は退いたが、模擬シーズンで演じていたチェアマンという役割が性分にあっていた。 言わば今後は巨大な模擬シーズンを演じる事が、今後の打開策となるのであろう。 ミスターT「ビィルガに話したそうだね。」 エシェラ「例の箱の件ですね。」 エシェラが心配する事なく、積極的なアサミとアユミはユキヤNに告白する。それに本来の 相手であるウィンNお墨付きの了承を得て、2人は大喜びしたのである。 結末を見届けた彼女はミスターTの元へと戻ってくる。その彼女にビィルガに告げた事を 述べだした。 ミスターT「彼も言っていた、この役割は重すぎると。」 エシェラ「ええ、だから息抜きの前に述べたのです。そうすれば皆さんも心から休めるでしょう。」 ビィルガ達の足枷を取り除いたエシェラ。しかし直ぐ様我に返り、今現在の状況を把握した。 彼らが創生者役を辞退した事は、ミスターTにその重役が戻ったという事。再び重い足枷を 付けてしまった事になる。それに罪悪感を感じる彼女だった。 だがそこは一同を生み出した創生者。エシェラが思った事を、彼女を抱きしめるという行動で 払拭させる。 ミスターT「お前さんの言いたい事は分かる。しかしエシェラが一同と共に高みを目指す役割を担う ように、私にはそのお前さん達を導く役割がある。」 エシェラ「はい・・・。」 ミスターT「それにお前さんには私同様、今後も苦労してもらう事になるしな。」 彼が述べる事を瞬時に理解する。それは仮想現実で決めた口約束ではあるが、共に過ごしたい という意味だった。創生者に戻った彼だったが、心は息抜き時の本人のままだ。 ミスターT「私の命を賭して誓う、エシェラの好意を裏切るような事はしない。」 その言葉に静かに頷くエシェラ。ミスターTの胸の中で、その瞬間を大切にしていた。もはや 偽りなく進めると、心の底から思うエシェラだった。 リングサイドが盛り上がりつつある現在。他の4陣営はまだ息抜き中である。それだけ本編 に思いを寄せる現われであろう。 一匹狼とメカノイド・真敵役・中立役の面々のみで、試合を展開している形になる。 ビィルガ「貴様と戦うのはリュウジN・アフィ・マツミの3人だ。」 ユキヤN「望む所だ。誰であっても挑む、それが俺の流儀だ。」 独自に動き出したビィルガ達。役所を中立役に戻し、主役達をエスコートする。真敵役は本来 の役割でもあるデュウバD達。ミスヒールとギラガス達は、その場に合わせた役割を演じる。 キレがある行動を繰り出すビィルガ達は、もはや以前のような迷走する姿を見せない。 ビィルガ「ハンディキャップマッチを命令する、貴様に手を貸す人物などいまい。」 アサミ「ユキヤNは孤独じゃない、私達が彼のサポートをするわ。」 アユミ「あまりなめないでね。」 先ほどユキヤNから告白されたアサミとアユミ。積極的な性格から、彼の手助けに回った。 待機していたウィンNとウィレナが出るはずだったが、双子に先を越された形になろう。 ビィルガ「分かった、ではイリミネーション・タッグで戦うのだ。」 リュウジN「おうよ!」 気合い充分のリュウジN、それに相方のアフィとマツミ。特にアフィはリュウジN共々、今の 今まで試合に恵まれなかった。それだけに意気込みは相手よりも強い。 試合はイリミネーション・タッグ、内容はトルネード・6マンタッグ3対3。リング設定は サバイバーシリーズ、ルールはギブアップ・DQが適応される。 イリミネーション・タッグバトル登場+試合動画 (イリミネーション・タッグバトル終了) 白熱した試合展開が続いた。両者とも一歩も譲らずの攻防が続き、凄まじい戦いで周りを 沸かせた。最終的にはユキヤN達が勝利したのだが、当然無傷では済まされていない。 ビィルガ「いいだろう、次は私の配下が直接相手となる。今度は貴様1人で戦うのだ。」 内容的にビィルガ陣営に反抗するユキヤN達の流れだが、形はどうあれ試合には変わりない。 チェアマンという位置付けはGM陣営よりも強力なもの。しかし強さは並々である。 対戦相手の告知は次の通りだ。ビィルガ達からはデュウバD・レイスB、そしてヴェルザス が選ばれた。言わば強力な人物を抜粋したといえる。 対するユキヤN側は彼1人というもの。完全なハンディキャップマッチだろう。 今度は名乗りを挙げようとウィンNとウィレナが立ち上がるが、それよりも先に動いた人物 がいた。双子のキューピット役のエシェラである。 エシェラ「孤独になんかさせないわ、彼の背中は私が守る。」 真剣そのものの言葉に一同湧き上がる。またそれは告白に近いもの。それを聞いたユキヤNは 薄っすらと頬を染めていた。その姿に彼に思いを寄せる人物達は、俄に心に痛みを感じる。 ミスターT「壁を破れ、か。ならばそのお前さんの背中は、私が守るしかない。」 堂々とするエシェラの背後から、その小さな両肩に手を置くミスターT。 創生者へと戻った彼だが、壁を破るという行動は忘れていない。以前は控え気味であったが、 今は積極的に動いていた。これには一同喜ぶしかない。 一切の型に囚われないミスターTは、自分達にもそうしろと言い聞かせているからだ。 ビィルガ「分かった。試合は前と同じ、イリミネーション・タッグだ。存分に戦うがよい。」 連戦で疲れているユキヤNに、体力強制回復を施すミスターT。一介のレスラーを演じつつ、 創生者としての役割も演じる。この機転のよさは紛れもない、エシェラが一役買っていた。 試合はイリミネーション・タッグ、内容はトルネード・6マンタッグ3対3。リング設定は ヴェンジェンス、ルールはギブアップ・DQが適応される。 イリミネーション・タッグバトル登場+試合動画 (イリミネーション・タッグバトル終了) 常に禁断覚醒の状態になったミスターTが参戦したのだから、結果は自ずと見えている。 善戦するデュウバD・レイスB・ヴェルザスだったが、活躍する間もなくやられていた。 手加減を一切しなくなったミスターTは修羅の如く、一切の迷いが見られない。 ユキヤN「勝ったぜ。約束通り、直接対決をさせてもらおうか。」 ビィルガ「いいだろう。」 流れをその場で決めていく手法を取り入れている。ビィルガは試合の最中に次の手を考えて いたようで、それを窺ってもいたユキヤN。 相手側で決めてくれるなら好都合と、ビィルガは断りもせずに応じた。彼も悪陣営と同じく、 本来は自ら戦略を決めて動けない存在だから。 1対1なら問題はないと、他の面々は名乗りを挙げない。ユキヤNには再び体力強制回復を 施され、準備万端といった表情でリングへと向かった。 ビィルガも表向きとして姑息な行動をしてはいるが、本来は純粋なる戦いを希望している。 ミスターTとエシェラに後押しされ、あるがままの戦いを演じていた。 試合はヘル・イン・ア・セル、内容はシングルマッチ。リングはジャッジメント・デイ、 ルールはギブアップのみ。 ヘル・イン・ア・セルバトル登場+試合動画 (ヘル・イン・ア・セルバトル終了) やはり上級クラスのユキヤNには敵わないビィルガ。強さもさる事ながら、応援の規模が 違った。ユキヤN側は彼を思う美女や友人達が大歓声で鼓舞し、ビィルガ側は応援するがその 大歓声の前に掻き消されている。周りも味方にしたユキヤNの大勝利という事だろう。 一旦小休止に入る一同。息抜きで団結力が強くなった面々故に、観戦しているだけで疲れが 押し寄せる。一心同体とはこの事だろう。 ユキヤN「ありがとうございます、エシェラさん。」 エシェラ「私にできる事をしたまでです。」 エシェラの参戦に感謝を述べるユキヤN。以前よりも増してお淑やかになった彼女に、自然と 惹かれるのは言うまでもない。 エシェラ「その感情は彼女達にぶつけて下さいね。」 キレも各段に増した彼女は、背後で羨ましそうに見つめる女性陣を示す。ユキヤNが他の女性 と会話しているのだ。ヤキモチを妬かずにはいられなかった。 ギラついた殺気も放ちだす女性陣に、浅はかな行動をしたユキヤNは震え上がっている。 ユキヤN「そ・・そうします・・・。」 恐る恐るその場を去り、女性陣の元へ戻っていく。その後の対応は言うまでもない。彼女達 から言われたい放題だ。 ワイワイ賑わうユキヤN達に、頬笑ましい視線を送るエシェラ。その彼女もまた向かう先は ミスターTの元だ。嬉しそうにはしゃぐエシェラに、彼はタジタジだった。 ミスターT「賑わす存在か。ある意味エシェラTBとエシェラTAよりもキレがある。」 エシェラ「それはもちろん、私から生まれたのですから。」 彼女を仕立てて他の2人を創生したのだが、その2人よりも表に立ち目立っている。一切の 柵から解放された彼女は、ミスEに匹敵する力を手に入れたと言ってよい。 ミスターT「しかし、あの2人も黙ってはいないだろうな。」 エシェラ「ええ、全て承知しています。でも絶対に負けませんから。」 恋路を突き進む乙女を止められるはずがない。格上とも言えるエシェラTBとエシェラTA だが、今のエシェラには敵わないだろう。 もはやエシェラの存在は一介のレスラーを超越した。数々の経験を得て、今は創生者と同等 の力を持っている。見定めた千里眼は瞬時に状況を把握し、迅速な行動で応対する。 真のGMとしてエシェラTBとエシェラTAを創生したが、その2人をも凌駕している。 怖ろしいまでの一途な思い入れで動いている彼女に、ミスターTは苦笑いを浮かべるしか なかった。 第38話へと続く。 |
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