〜第1部 18人の決断〜 〜第3話 火星の地2〜 地球から発進したスペースシャトル。小3時間を隔てて火星最大の宇宙港に到着した。 この宇宙港は火星政府が機能しなくなって以来、独自で営業を開始。どの顧客でも使用できる というメリットを元に、数々のシャトルが往来していた。 そんな中、今し方到着したシャトルからACが運搬されてくる。 そのACはライアの愛機、ダークネスハウンド。そうライア自身がユウトに謝りたいと駆け 付けてきたのだ。しかも護衛を付けないでの単独である。 早いものでユウトが火星に行ってから1ヶ月が過ぎようとしていた。 ライア「う〜ん・・・、これからどうしよう・・・。」 ライアは右も左も分からない世界を見つめ、溜め息を付き悩んだ。 勢いで火星に来たものの、全く当てがなかった。それにユウトに渇を入れて貰ったはいいが、 実際はいつデアが襲ってくるかと恐怖で一杯である。 とにかくライアの視点からは、この宇宙港は広く巨大すぎた。 今までトーベナス財閥の内部でしか過ごした事がなく、こういった公の場所へ出る事は殆ど なかった。 唯一あるとすればレイヴン試験を行いに、ネオ・アイザックへと向かったぐらいであろう。 だがその時はガードックや部下の人間が同伴である。 今彼女は大海原に浮かぶ漂流者の如くである。 ライアが途方に暮れていると、彼女の側に歩み寄る1人の男性がいた。そしてライアへ徐に 語り出す。 男性「探している人物は、火星の中央都市近郊にいる。」 背後から男性の声が聞こえてきた。話し声の方に振り向くと、そこには見知らぬ人物がいた。 ユウトより細いが背が高い優男。その何とも言えない雰囲気に、ライアは何か懐かしい気分に なった。 ライア「あの・・・貴方は?」 男性「通りすがりのお節介焼きだ、気にするな。」 その物言いと行動などを知ると、ライアは相手がやり手のレイヴンだという事に気が付く。 そしてその腕前はかなりのものだという事も知る事ができた。 これはユウトが悪役となってまで彼女を強化させた事が現れており、それに気付いたライアは 彼に対する感謝の思いで一杯になる。そして急に目頭が熱くなるのであった。 男性「気になるか、探し相手の者が。」 まるで彼女の心中を読んでいるかのように、男性は間隔空けずに話しだす。その発言を聞いた ライアはユウトの事を思い出し、泣き出してしまった。 だが相手は全く慌てず、彼女を近くのベンチに座らせる。 ライア「ありがとうございます・・・、見ず知らずの私に・・・。」 男性「気にするな、俺がお節介なだけだ。」 ライア「でも・・・お節介だけでは、ここまで優しくはなれません・・・。」 泣き続けるライアだが、相手の言動を見て何かに気が付いた。 この行動や話し方、そしてお節介焼きだと語る仕草。それらは前にユウトやナイラが話して いた、伝説のレイヴンであるウインドと同じものであったからだ。 真意を確かめるべくライアは軽い気持ちで、ウインドに関する事を話しだす。 ライア「・・・新たな敵が出現した今、地球や火星には風は吹かないのでしょうか・・・。」 レイヴン「・・・さすがはレイヴンズの後継者という訳か。」 この発言を聞き、案の定ライアは驚いた。 やはり目の前にいる優男は半世紀前に実在していたウインドその人であったからである。 そして再び驚く、それは相手の体格である。 半世紀前ともなればそれなりの年齢の筈だ。だが目の前にいるのは自分と同世代位の青年で あった。 ライア「あ・・あの・・・、貴男様は本当に・・・ウインド様?」 ウインド「恩人に鍛え上げられた直感と洞察力、それは紛れもない己の実力だ。それらで推測した 己自身の結論、これには自信を持っていい。」 ライア「で・では・・・やはり・・・。」 経緯がどうであれ、ライアは声を失う。伝説のレイヴンが目の前にいる、これはレイヴンなら 誰であろうと嬉しい事ではないか。 ウインド「先程話した通り、ユウトは火星中央都市近郊にいる。お前の懐かしい人物と一緒に。1人 で行った方がいいが、火星は初めてらしいからな。暫くは一緒にいるとしよう。」 ライア「す・・すみませんご丁寧に。」 ライアは頭を下げて感謝する。それを見たウインドは何故か俯き、辛そうな表情を浮かべる。 ウインド「お前と同じ女性がいたな。俺のパートナーでもあった。」 ライア「もしかして・・・南村レイスさん?」 ウインド「ああ。俺と行動を共にしている時、1人のレイヴンと恋に落ちた。それがお前の祖父だ。 つまりお前はレイスの孫でもある。」 全く知らない事を聞かされ、ライアは心の底から驚く。 そしてライアは過去を振り返り、両親から祖父母の事を聞かされていない事に気付いた。 ライア「父と母からは何も聞かされていませんよ。」 ウインド「当たり前だ、お前の両親を捨てたも同然の事をしたのだからな。」 ライア「・・・そ・それは一体?」 ウインド「・・・お前の両親を殺したのは、レイス本人だ。そう・・・彼女はとある事で再び破壊の 魔女へとなった。そしてお前の両親や祖父を殺したのだ。」 驚愕の事実を知り、ライアは声が詰まった。自分の祖母により両親を殺害された事が何よりの 大きなショックであろう。 ライアは声を振り絞ってその後の事を聞き出そうとする。 ライア「今は・・・レイスさんは・・・どうなさっているのですか?」 ウインド「・・・お前の両親と祖父を殺した直後、俺が彼女を殺した。これ以上罪を重ねてほしく なかったから。あいつは俺の唯一の心の支えでもあり、俺の娘同然でもあった。」 涙を流しながらそう語るウインド。ライアは徐に彼の手を握り、出来る限りの慰めをする。 今はこれしか思いつかなかった。 ウインド「辛い事を話してすまなかったな。」 ライア「いいえ、そんな事ありません。」 ウインド「・・・フフッ、お前はレイスに似ているな。怒ると手が付けられなくなり、恋人でも殴り 飛ばす。」 それを聞いたライアは苦笑いを浮かべる。1ヶ月前に自分が起こした行動を同じであった。 ウインド「お前の妹マイアはユウトと一緒にいる。彼女もロストナンバーレイヴンズの後継者だ。 そして、俺の思想を受け継ぐ大事な人材。俺はお前達に助言をする為に来た。詳しい事は 全てが終わったら話すとしよう。」 ライア「分かりました先輩・・・いや、おじいさん。」 ウインド「フフッ、ありがとよ。」 ウインドはライアの頭を優しく撫でる。その行動を見て、ライアは父親に撫でられた時を思い 出した。そして笑顔でウインドを見つめるのであった。 その後2人は火星中央都市近郊へと向かいだす。ライアは自分の愛機ダークネスハウンドに 乗り込み、今ウインドはACを持っておらず彼女の愛機に登場しながらの移動であった。 その行動には何らかの考えがあるようだった。 火星中央都市近郊、かつて火星の政府機関があった場所だ。だが今は廃墟と化しており、 今はテロリスト達の巣窟でもある。その一角にユウトがいる仮住居があった。 クレスとマイアもこちらに移動しており、共に戦いの日々を送っている。 今ユウト達は廃墟内をACで散策し、テロリストを壊滅して回っていた。それは彼らなりの 火星世界への貢献でもあった。 だが相手にとっては目障りな事にかわりはない。相手側も全力でユウト達を迎撃していた。 クレス「フフッ、こんな事をして回るとは。ユウトさんも面白いですね。」 マイア「イレギュラーは排除するのが一番。確かレイヴンズの方々も言っていた有名な言葉だったと 思います。」 ユウト「そうです、イレギュラーは即刻排除。まあ自分達の考えを持つ者の方が、彼らにとっては イレギュラーかも知れませんね。」 軽い会話を話しつつも、テロリスト排除を忘れない3人。その戦闘力は完全に相手側を凌駕 している。当然成す術がないまま倒されていくだけであった。 数時間後、廃墟に巣食うテロリスト達は全て壊滅。流石やり手のレイヴン3名である。 マイア「これでよし。後はどうしますか?」 ユウト「とりあえず帰還しましょう。」 ユウトが周辺の状況を確認し、武装を解除しようとした。 しかしその時突如グレネード弾が飛来。エアーファントムに直撃し、反動で吹き飛ばされた。 その後3人のACに見知らぬ人物の声が響き渡る。 レイヴン「貴様がデアが言っていた奴か。俺はゴリアッグ=ヴォイズ、貴様等を狩る者だ。」 連続的に攻撃が繰り出される。 ゴリアッグが駆るACウィントネアーは右肩の4連装中型ミサイルランチャーを放ち、マイア とクレスを攻撃した。これには連動ミサイルが追加されており、夥しいミサイル群が2人を 襲う。先の戦闘で弾薬が切れかかっている2人は、彼の猛攻に成す術がなかった。 クレス搭乗のフェイス・オブ・シャドウは夥しいミサイルを受け後方へと吹き飛ばされる。 衝撃で右腕主力武器のプラズマライフルがジョイント部分からもげ落ちる。 マイア搭乗のブロークンブレイダーは後続から放たれたバズーカ弾をレッグパーツに受け、 その場に転倒する。 反撃のためエアーファントムがその場から立ち上がろうとする。しかし再びグレネード弾が 直撃。完全に沈黙してしまう。 ゴリアッグ「ハッ・・・、これがロストナンバーレイヴンズの後継者達か。笑わせてくれるな。貴様 等などゴミ以下、俺の足元にも遠く及ばない。」 ゴリアッグは相手を見下した発言をする。そしてトドメを刺そうと攻撃を繰り出そうとした。 動けない3人は死を覚悟する。 ウインド「それは彼らが完全に目覚めていないからだ。」 そこに見知らぬ人物から通信が入る。ライアのACに搭乗しているウインドからであった。 直後ウィントネアーにマシンガンの雨が降り注ぐ。弾丸を回避するべく、ゴリアッグはACを 後方へと動かした。 その後動けない3人の前にライアの愛機ダークネスハウンドが着地。空中からのピンポイント 射撃である。 ユウト「?!・・・ライアさん・・・。」 ライア「心配してたんですよユウトさん。それにマイアさんも。」 今の行動がライアのものだと思い、ユウトは彼女の目覚しい成長に驚いた。とても今までの 自分が知っているライアが、操作しているとは思えなかったからだ。 その後気を取り直したゴリアッグが反撃を開始する。 ゴリアッグ「死ねっ!」 残りのミサイルを全てダークネスハウンドに放つウィントネアー。夥しいミサイルがライアを 襲う。 だがダークネスハウンドは突如相手の視界から消え、ゴリアッグの目の前へと移動した。 そして左腕装備のレーザーブレードからブレードを繰り出し、ウィントネアーのコクピットへ 近づける。その行動に4人は驚く。 ゴリアッグ「な・・なに・・・?!」 ユウト「あの技は・・・ナイラさんのカウンターと同じ・・・。」 ライア「引きな、そうすれば命だけは助ける。私は今大切な人達を殺されそうになって、心の底から 苛立っている。完全にキレる前に去れ。」 その発言はライアにしては凄まじい殺気を帯びていた。それは今まで体感した事がないもの。 ウインド以外の4人はその殺気に心の底から恐怖する。 ゴリアッグ「クッ・・・覚えてやがれ、次は殺す!」 ライア「フッ、次は貴様の死だ。私達に倒されないようレベルアップする事だね。」 ゴリアッグは愛機を反転させ、オーバードブーストを発動させる。そしてその場から去って いった。 強がりな事を言いつつも、行動が逃げ腰ぎみであったゴリアッグである。 ゴリアッグ離脱後、どっと力が抜けるユウト・クレス・マイア。不意の来訪者に助けられ、 ひとまず死なずにすんだ。 その後一同はユウトの住まいへと移動。動けるACは歩行で進み、ブロークンブレイダーは ライアのダークネスハウンドに担がれたまま帰還した。 この前後にユウト・マイア・クレスは不思議なものを目撃した。 ダークネスハウンドの後方にワイヤーで牽引されている車両。それに先ほどライアが猛攻を 加える前に聞こえた謎の声。 3人は彼女以外に誰かがいると直感した。 クレス「一時はどうなるかと思った・・・。」 それぞれの愛機から降りたレイヴン達は、今の戦闘を振り返っている。特にユウトは自分の 判断の鈍さに気付き、レベルアップが必要だなと考えていた。 そこにダークネスハウンドからライアが降りてくる。ユウトを見つけると駆け足のまま近づき 思いっきり抱きつくのであった。 ライア「ユウトさ〜ん、お会いしたかったぁ〜・・・。」 ユウト「ラ・ライアさん・・・、参ったな〜・・・。」 ライアは恥ずかしがりもせず、ユウトとの再会を抱擁で味わう。今回はユウト自身が赤面し、 よく分からないと心中で呟くのである。 ライア「まずはごめんなさい、痛かったでしょう・・・。」 抱擁から解放されるユウトの頬を撫でるライア。1ヶ月前に殴った所を気にしていた。 今度は逆にユウトが慌てながら、気にするなと応対するのである。 ユウト「いいんですよ、自分にも責任がありますから・・・。」 ライア「それと、私の為にありがとうございました。おかげさまでかなり強くなれましたよ。」 ユウト「い・いえ、どういたしまして・・・。」 1ヶ月前のライアと違い、今のライアは輝いているとユウトは思った。それに今までの行動、 ユウトは彼女の存在が大きなものに見えている。 その後側にいるマイアの元へ近付き、マジマジと彼女の顔を見つめるライア。マイアも彼女 を見つめ、懐かしそうな表情を浮かべた。 ライア「マイアさん・・・お会いしたかったです。」 マイア「・・・姉さん。私・・・姉さんも殺されたのかと思った。でも・・・姉さんは生きている。 ユウトさんにそう聞きました。本当に嬉しい・・・、生きていてよかった・・・。」 2人ともお互いの手を握り合う。そして涙を流しながら再会を喜び合うのであった。そんな 2人を見つめ、クレスは貰い泣きをするのであった。 そこにライアのACからウインドが降りてくる。頃合を見計らっての登場だ。彼等への彼 なりの行動なのであろう。 そしてその威圧感にライアを除く初対面の3人は驚くのである。また驚いた事が別にあった。 ACはコクピットブロックの大きさから、1人乗り用として作られている。その1人乗りの 機体から2人降りてきたのだ。明らかに不可解であろう。 だが威圧感の方がそれを勝っており、今はどうでもいい事ではあった。 ウインド「お前がユウトか。なるほど、アマギに似ている。それにマイア、お前もライア同様レイス にそっくりだ。さすが妹だな。」 ユウト「も・・・もしかして・・・ウインドさん・・ですか?」 それを聞いたマイアとクレスは今までにない驚きの表情を浮かべる。当然であろう、ライアも そうだったのだから。 クレスは開いた口が塞がらなく、マイアは目を白黒させている。 クレス「あ・・あの伝説の・・・風の剣士・・・。」 マイア「信じられない・・・だ・だって・・・。」 ウインド「外見が若すぎると言いたいのだろう。」 心中を見抜かれたマイアは再び驚く。そしてこれが伝説のレイヴンなのだと痛感した。 ライア「私が火星に着いた時、途方に暮れていたんです。そこにウインド様が話し掛けてくれて。」 ウインド「本来はユウト、お前が迎えに来る事なんだぞ。だがお前には大きな使命がある、代わりに 俺が彼女と同行した。終わりよければ全てよし、だな。」 ライア「フフッ、その通りですね。」 ユウト達の元へ駆け付ける最中、ライアはウインドとコミュニケーションを取る。彼は彼女に 応じ、道中雑談話を続けた。 会って間もないが、彼女はウインドに馴れ親しんだ。今の言葉がそれを物語っている。 ユウト「・・・そうでしたか、ありがとうございました。」 ユウトは頭を下げて礼を述べる。それを見たウインドは不思議と笑いだした。 ライア「どうしたんですか?」 ウインド「いやなに、アマギの孫とは思えなくてな。彼は殆どこういった行動を苦手としていた。 だがユウトは違う。その欠けていた部分をしっかりと持っている。お前ならこの世界を 守っていけるだろう。もっとも、こいつらのサポートがあってこそだが。」 そう言うと、ライア・マイア・クレスに目配せをする。それに頷く3人であった。 ウインド「さて、俺は去るとしよう。陰ながら見守っている。」 クレス「ちょっと待って、歩いて帰るんですか?!」 ウインド「ライアに牽引してもらっていた車両がある。それで戻るとするよ。」 小さい勇者達を一瞥すると、表に待機してある車両に乗る。そしてその場から去っていった。 先ほどの牽引してあった車両はこのためなのだなと3人は思った。 4人は彼の事を変わり者だなと思う。確かに車両を使えば都市へといけるが、今の火星は 無法地帯そのものである。 それにこの辺りにはテロリストが出没する。武器を持っていない人間など無力そのものだ。 更に厄介なのが火星独特の砂嵐だ。これに巻き込まれ命を落とす人々も数多い。 だがこれらを行動で覆すウインドには脱帽だとそれぞれが心中で思った。 マイア「変わった方ですね・・・。」 ライア「ですね〜・・・。」 ユウト「とにかく強いという事は伺えます。」 クレス「同感っす。」 ウインドの姿が見えなくなるまで、4人は見送った。彼らなりの彼に対する敬意の表れでも あろう。 彼が若い姿をしているという疑問などが数多くあるが、今は命の恩人である彼を見送る事を 優先していた。 そして彼みたいな人物に近付きたいと、心の底から思う4人であった。 マイア「修復にはどれ位かかりますか?」 メカニック長「2・3時間かな〜。まあその位だと思っててくれ。」 マイア「了解しました、お願いします。」 ライアが到着する前に火星での敵勢力調査は終了した。その後先ほどの戦闘へと発展したの である。 調査を終えたユウトはわざわざ駆け付けてくれたライアと共に地球へと戻る事にした。 ウインドと分かれた後、住まいとしていた住居を解体する。その後荷物を纏めてアリーナ場へ と向かったのであった。当然マイアとクレスも同行している。 マイア「2・3時間だそうですよ。」 ライア「了解です。」 マイアがメンテナンス終了時刻を告げると、ライアが気前よく応える。ユウトは思った、 今のライアは別人みたいだと。 ライアはブリーフィングルームのデスクに携帯コンピューターを展開し、財閥の雑用などを 行っている。社長が雑用とはいかがなものかと3人は思うが、彼女自身が進んで行っている事 に感心もしていた。 ユウト「本当に変わられましたね。以前より輝いていますよ。」 ライア「ありがとうございます。自分も頑張らないと。それにウインド様の子孫なんですよ、頑張ら なくてどうするんですか。」 ウインドとの出会いが彼女を大きく変えた。内気な性格が広々とした性格へ、そして何にでも 挑戦する姿勢が芽生えた。敬語も目立つようになり、ナイラと同じだとユウトは思う。 マイア「私は嬉しいです。姉さんがここまで立派な人だとは思いませんでした。」 ライア「その前はそう思っていなかったわけ?」 軽く激怒するライア。それを見たマイアは小さく笑うのである。 コミュニケーションの点でも大きく変わり、ある意味ユウトよりも大人っぽいといった方が 正しいだろう。 ユウト「自分も修行しないと。もっと強くなりたいですね。」 マイア「とか言いつつも、ユウトさんはナインブレイカーじゃないですか。さっきのゴリアッグも 簡単に倒せたんじゃないですか?」 ユウト「完全な状態だったら分かりませんでしたね。その前にテロリストとの対戦がありましたし。 あれが敗因の要素でもあります。」 ライア「それにしても・・・ウインドさんの威圧感・・・。」 一瞬沈黙が辺りを包む。その後4人は深い溜め息を付く。 今の自分達にとって、彼の存在は未知の領域。まだまだ力不足が身に染みて分かった。 ユウト「いつかはウインドさんの領域まで辿り着きたい。」 ユウトの発言に3人は頷く。それには強くなりたいという一心の思いが込められていた。 帰還を直前にしたマイアはアリーナでお世話になった係員達に事の次第を伝えている。 同じ容姿のライアを見た一同は驚き、またマイアが天涯孤独ではない事に泣いて喜んだ。 その後ACの修復が完了した4人は、ユウトのナインブレイカー特権であるラプチャー使用 を用いて地球へと帰還していく。 束の間の第2の故郷に別れをして、第1の故郷へと戻っていくのであった。 第4話へ続く |
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