アルティメットエキサイティングファイターズ 〜集いし鋼鉄の勇者達〜
    〜第51話 3大ロイヤルランブル〜
    息抜きを終えた一同は、再びプロレスの試合会場へと戻っていく。一同もしっかりと理解
   している。このリングが己の生き様を示す場なのだと。本編回帰も十分楽しめるが、やはり
   己が誕生した意味合いはここにあると確信したのである。

    先ずは目の前の戦いをこなしていく、それが己に課せられた使命でもある。そして自分達を
   誕生させ心から愛してくれるミスターTに報いるために、一同はリングでの戦いに精を出す。
   それこそがこの場、アルエキファイタの世界観なのだから。


    何時でも試合可能という雰囲気が色濃いリングサイド。悪陣営の生誕順で選ばれた90人の
   レスラーが集い合う。行われる試合はロイヤルランブル、しかも3回もである。

メルアTU「第1試合・第2試合・第3試合と分けて行います。勝者は1人だけ、合計3人の選抜と
      なります。」
    リングサイドに集まった90人の悪陣営の面々に試合の説明をするメルアTU。3試合同時
   ではないため、生誕順から数えて30人ずつに分けての戦いだ。
ビィルガ「抜粋された3人は、初会悪陣営ロイヤルランブル優勝者ベロガヅィーブとの戦いがある。
     ロイヤルランブル自体が運の要素の塊なだけに、最終対決はラダーのフェイタル4ウェイ
     を行うとする。」
   ラダーマッチのフェイタル4ウェイとなれば、試合は運の要素が大きく絡むだろう。これこそ
   悪陣営にとって最高峰の戦い方とも言える。

    選ばれた面々はそれぞれのチームに分かれて待機する。最初に行われるのは、創生順から
   数えて若い方からとなった。


悪陣営ロイヤルランブルバトル1登場+試合動画



    (悪陣営ロイヤルランブルバトル1終了)
    運の要素が絡むとあって凄まじい勢いで攻めていく面々。一瞬で落とされる人物もいれば、
   長い間粘る人物もいる。比較的早めに終わりを告げた第1バトルは、ターウェンPが勝者と
   なった。


悪陣営ロイヤルランブルバトル2登場+試合動画



    (悪陣営ロイヤルランブルバトル2終了)
    こちらも比較的早めに終わりを告げるが、先方の試合よりは白熱した戦いが展開された。
   勝者はダリムス、運とテクニックで勝利を掴み取った女傑とも言える。


悪陣営ロイヤルランブルバトル3登場+試合動画



    (悪陣営ロイヤルランブルバトル3終了)
    最後も先方2試合同様、早めの展開で幕を下ろした。それだけ相手を落とそうとする行動が
   目立った現れだ。3試合目の勝者はオルデュラス、連続で相手を叩き落した猛者である。



    3つのロイヤルランブルにて勝利したターウェンP・ダリムス・オルデュラスが集った。
   リング上では初会ロイヤルランブルの勝利者であるベロガヅィーブが静かに待ち続けている。
   悪陣営ながらもその姿は凛々しく、我こそは王者と言わしめる程にも見えた。

メルアTU「最終試合はラダーマッチ、形式はフェイタル4ウェイ。ルールはありません。空中に
      吊るされているベルトを取った方が勝者となります。」
    メルアTUが試合内容を語る。リングの遥か上にはベルトが吊るされている。今の今まで
   悪陣営には栄冠はなかったが、このベルトこそが悪陣営の頂点に君臨する証になる。
ゼラエル「本当なら襲撃など小競り合いを考えるんだが、真のベルトとなると無粋な考えになっち
     まうな。」
ライガス「ここはベロガヅィーブに任せるしかない。」
   アルエキファイタ開始当初は、ラダーマッチの後にゼラエル達が襲撃を企てた。その後他の
   面々に粛清をされる。あの当時は盛り上げる存在が皆無であり、それを踏まえて彼らが暴れる
   演技を見せたのだ。
    今回は純粋に頂点を決めるとあり、要らぬ邪魔はしないと決めているようだ。それに既に
   何度となくエンターテイメントは行われており、原点たる試合に戻らねばならないと誰もが
   思っているからだ。


    リングに上がっていくターウェンP・ダリムス・オルデュラス。この4人が悪陣営の頂点を
   決める事になる。運の要素も大きく絡む試合となるだろう。


悪陣営頂上決戦ラダーチャンピオンバトル登場+試合動画



    (悪陣営頂上決戦ラダーチャンピオンバトル終了)
    今だかつてない白熱した試合が繰り広げられた。実力もさる事ながら、運の要素が大きく
   現れるラダーバトル。強さ以前に勝ちたいという執念が勝らなければ、宙に浮くベルトを両手
   で掴む事はできない。

    勝者はベロガヅィーブ。完全な漁夫の利を突いた形でのベルト奪取、正しく運と実力と執念
   が折り重なった勝利と言える。

    負けた3人も反論はしない。全力での戦いであったため、そのような無粋な考えなど思いも
   しなかった。悪陣営の全員が勝者のベロガヅィーブを大拍手で称える。
   その彼はベルトを腰に巻き、両手を挙げて一同に応じた。


    この試合の意気込みは他の陣営をも凌駕するものだった。普段からヒール役として存在する
   彼らが、純粋に試合に投じていたからである。
   それに触発された一同は、今までにないスパーリングを繰り広げだした。その瞬間を力強く
   燦然と輝くのだと。



    そんな中、事件が起こった。再びヒール街道を走り出したビィルガ達が無差別襲撃を開始。
   狙われたのは休憩中だったターウェンP・ダリムス・オルデュラスである。
ゼラエル「テメェ、何の真似だ?!」
ビィルガ「漁夫の利とはこの事だよ。疲れた所を狙うのは列記とした戦術の1つ。卑怯でも何でも
     ない。」
ベロガヅィーブ「なかなかなめた事をしてくれるな。ならば叩き潰すまでだ。」
   すっかり臨戦状態に入った悪陣営の面々。しかしその中で静かに見守っていたドクターTが、
   何とベロガヅィーブを襲撃したのだ。これには一同呆気に取られた。
ドクターT「隣人は密かに笑う。これも列記とした漁夫の利に通じる。油断していたのはお前さん達
      の方さ。」
シェガーヴァH「やはりこうなる定めか、薄々は感じていたが。」
   ドクターTの背信行為にシェガーヴァHは気付いていたようである。しかし根っからの熱血漢
   で生真面目な2人の事、これは何らかの作戦なのだと誰もが思った。

ビィルガ「再び悪陣営を統括すべく動くとする。今回の目標はマジブレ陣営を潰す事。そのための
     手駒になってもらう。」
    ビィルガが打ち出した内容に、悪陣営の面々は驚きの表情をする。表向きの手駒という部分
   は気に食わないといった雰囲気が強いが、根底はマジブレ陣営に対抗するための手段だという
   事だ。これには半分は反対心を、もう半分は賛成心を抱く事になる一同だった。
ゼラエル「俺達だけでやれるのかね。」
ベロガヅィーブ「中途半端は却下するがな。」
ビィルガ「そこは私達次第となる。お前達を縛りはしないが、先陣切って戦って貰う事にはなる。」
   先の漁夫の利の襲撃と背信行為が演出だとしても、その根底となるマジブレ陣営との決戦は
   大変な事になると誰もが思った。
   そもそもマジブレ陣営はフリハト陣営に匹敵する強さを誇っている。対して中核以下の実力
   しか持たない悪陣営と中立陣営の面々。彼らが束になって掛かっても返り討ちに遭うのが目に
   見えている。
ドクターT「力業で勝てないのであれば、特殊環境下での試合しかあるまい。該当するのはラダー
      バトルだな。」
ビィルガ「もっと楽な方法がある。スペシャルレフリーバトルだ。」
   勝利するためなら、どの様な卑怯な手をも厭わない。その代表的なのがスペシャルレフリー
   だろう。片方に荷担し、相手を叩き潰す。これほど卑怯な戦略は他にはない。

ライガス「問題は奴らが喰い付くかが問題だがな。」
    いくらビィルガ達が戦いの舞台を用意しても、問題は試合に応じるかどうかという問題だ。
   しかしライガスの発言に小さく笑うビィルガ。
ビィルガ「そこはマスターにご足労願おうと思う。」
ゼラエル「正気か?!」
ベロガヅィーブ「応じる筈がない。それに彼は創生者だ、そのような姑息な真似はする筈がない。」
   スペシャルレフリーにミスターTを抜擢すると言い出したビィルガ。それに一同は驚愕する。
   正義漢の塊とも言える彼が応じる筈がないと、この場にいる誰もが思った。
ビィルガ「ものは例しだ、直接交渉してくる。」
   珍しく他者を用いず、ビィルガ自身でミスターTを呼びに向かった。この部分は今までの彼と
   大きく異なる点だろう。

    どんな悪役を演じようも、根底は一同を沸かせるという信念と執念があるからだ。だから
   紳士的対応に移れるのだろうから。そうでなければ以前のように暴君さながらの行動でしか
   物事を運べないだろう。



ビィルガ「という内容だが、どうかな?」
    ミスターTを呼んできたビィルガは、一同の前で先のプランを全て語った。それを聞き入る
   彼は表情こそ曇っているが、嫌な表情は一切浮かべていない。
ミスターT「ビィルガのプラン通り、偶には悪役もいいかな。それに今の私は創生者じゃないよ。
      お前さん達と同じく一介のレスラーだ。ここはエンターテイナーの指導に則るのが定石
      だろう。」
   驚くべき答えが返ってきた。ミスターT自身が容認したのだ。それに一同は驚きはするが、
   今の彼の置かれている立場を考えれば通るものだと確信してしまう。
ゼラエルG「粛清対処はどうされるので。」
アンドレ「そうだぜ。それ相応の悪態をするのなら、現創生者が黙っちゃいない。」
ミスターT「その時はその時、私がお前さん達の代表として制裁を喰らう事にするよ。私はお前さん
      達の手駒だ。一同を沸かすためなら大いに活用してくれ。」
   絶句する返答も返ってくる。それは一同に降り注ぐ罰を全て受けるというのだ。これには正直
   偽善者としか思えないと一同は思う。

ダーク「フフッ、マスターらしい。ならば私も共に罰を受けますよ。」
ゼラエルD「お嬢と同感だ。そのための俺の存在だ。マスター1人に痛い思いはさせませんぜ。」
    黙り込む一同。その中でミスターTを心から好いているダークは、共に罰を受けると語る。
   また悪役ながらも正義漢の塊とも言えるゼラエルDも、共に罰を受けると豪語しだした。
   全員が全員思っている訳ではなく、ミスターTの行動を最大限認めている存在もいるのだ。
   その人物達が揃って賛同しだす。これには周りの面々は驚くしかない。



    その後ビィルガが指導の元、一同動き出した。創生者がエシェラな現在、後の制裁が大変で
   あると直感している面々。大多数の面々は彼らとは行動できずにいた。

ビィルガ「人数が少ないが、マスターがいれば鬼に金棒だろう。」
    ビィルガ率いる中立陣営と行動を共にしているのは、ミスターT・ダーク・ゼラエルD・
   ドクターT・アマギDA・ディヴォルガルである。
   交戦を誰よりも楽しみにしているゼラエルとベロガヅィーブ達は、やはりエシェラの制裁が
   怖くて動けずにいた。それだけ彼女の行動が予測不可能と言えるだろう。
ミスターT「悪陣営のブレインがいなくて大丈夫かね。」
ドクターT「私よりもシェガーヴァH氏が頑張ってますから問題はありません。それに彼の方も薄々
      理解しているようですので。」
アマギDA「俺達だけでも十分にやれますぜ。」
   制裁なんのそのといった雰囲気のドクターTやアマギDA。特にアマギDAは戦う場所こそが
   己の存在場所だと豪語している。制裁以前に戦う場所を何よりも愛するといった雰囲気だ。
ディヴォルガル「リーダーはビィルガ氏に任せます。我々は動くだけですから。」
ゼラエルD「そうだな。」
ビィルガ「了解した。大船に乗った気でいてくれ。」
   とにもかくにも行動あるのみ。それが彼らを突き動かす動力源になっている。どの様な手段も
   厭わない。全ては一同を沸かす戦いを起こすだけ。この執着心は凄まじいものであった。



    早速動き出したビィルガ陣営。ミスターTを中心とした戦闘部隊をビィルガが操作し、強敵
   揃いのマジブレ陣営に攻撃を仕掛けていく。
   創生者でなくとも禁断覚醒を難なく行えるミスターTに勝てる筈がなく、どの面々も次々と
   倒されていった。
エシェラ「う〜・・・マスターが敵とは・・・。」
シルフィアTL「しかし窺う所、極悪に近い行動はしていない様子。ここは黙認してもいいかと。」
エシェラ「確かに。マスターが心から悪に染まった行為をする筈がありませんし。」
シルフィアTL「それよりもマジブレ陣営の面々が嬉しがっているのが何とも言い難いけどね。」
   そうである。どんな卑怯な手段を使われても、真っ向勝負から相手をしているマジブレ陣営。
   ビィルガ陣営の行動に我勇んで試合に臨んでいるのだ。
   勝とうか負けようが関係ないというのが、今のマジブレ陣営の意気込みに近いだろう。


ターリュS「う〜ん、面白そうだに。」
ミュックS「私達も加勢しようかな。」
    盛り上がる面々に、駄々っ子集団でもある16人の娘達は居ても経ってもいられないという
   雰囲気が強い。それにターリュS・ミュックSを除く14人は、まだ生まれて日が浅かった。
   実際の戦闘は1回も行われていないのだ。
エシェア「でもそれだとパワーバランスを崩しそうですよ。」
エリム「ここは第3者側として攻め入るのが面白いかも知れません。」
   一番年上で周りとの経験が多いターリュSとミュックS。しかし戦略を練るのは14人の娘達
   の方が得意である。それに顔を輝かせて聞き入る双子。
ターリュS「そうと決まれば突貫じゃ〜!」
ミュックS「面白そうですにゃ〜。」
   我先にと突っ走るターリュS・ミュックS。誰かがブレーキをしないと何をしでかすか分から
   ない。それを身を以て体験した14人の娘達だった。彼女達も双子の後に続いて行く。


    突然の16人からの襲撃を受けたビィルガ陣営とマジブレ陣営。この場合は片方に加担では
   なく、無差別の襲撃と言えるだろう。
   今回が本戦デビューとなった14人の娘達は、凄まじいまでの勢いで相手を圧倒していく。
   しかし自分達の父には相手をし辛いといった雰囲気が強い。これは仕方がない事であろうか。


ハードコアバトル登場+試合動画



    (ハードコアバトル終了)
    3チームでの試合が行われた。試合はハードコア、形式はトルネードタッグ2対2対2。
   リングはヒート、ルールはKOとギブアップであった。
   メンツはミスターT&ゼラエルD・エリッシュ&レンシュ・シュリム&メルティアである。

    結果はミスターTとゼラエルDの勝利。禁断覚醒を常用とする彼に勝てる試合はラダー以外
   にないだろう。

    しかし勢いは16人の娘達にあり、勝とうが負けようが構いなしに突っ走る彼女達だった。
   勝利したミスターTに真っ先に襲い掛かるのは、単に甘えたいがために走る姿にも見える。
   彼だけに猛攻が集中する事を尻目に、他のビィルガ達は呆れながらマジブレ陣営と対決を繰り
   返すのであった。


ハードコアバトル登場+試合動画



    (ハードコアバトル終了)
    今回の試合はハードコア、形式はトルネード6マンタッグ3対3。リングはベロシティ、
   ルールはKOとギブアップ。
   メンツはデュウバD&ダーク&アマギDA、ジェス&クラティス&ルーデリスである。

    勝者はビィルガ陣営に軍配が上がったが、相手側の3人は低レベルの存在である。本陣の
   最強クラスが対戦した場合、結果は裏返っていただろう。


    最初はスペシャルレフリーでの圧倒的大差での勝利を目論んでいたビィルガ達。しかし今は
   純粋に真っ向勝負の試合を行っている。ここには卑怯といった概念はなく、ただ単に試合を
   行う面々となっていた。

ベロガヅィーブ「俺達も参加した方がいいか。」
ゼラエル「だなぁ。そうすればマジブレ陣営の方も本気を出せる筈。」
シェガーヴァH「今現在の試合は力をセーブした形だからな。」
    ドクターTの産物とも言える、相手を分析する行動。それが根付いた悪陣営の面々。今の
   試合を見ても、相手同士が力をセーブした戦いをしているのがハッキリと目に見えていた。
スカーレット「どうするね。嬢ちゃん達は別として、どちらかに加担するかい?」
ベロガヅィーブ「いや、ここは独自の勢力として攻めるのがよさそうだ。」
シェガーヴァH「そうだな、そのプランでいくか。」
   ようやく動くべき目標を見つけ、ゆっくりと動き出す悪陣営。襲撃とは言うものの、純粋な
   試合のみを行う彼らは悪とは言えないだろう。

    突然の悪陣営の参戦に、3つの陣営は驚いた。しかしこれこそ待っていた流れだったため、
   諸手を挙げて賛同する一同である。

    試合はラダー、形式はトルネードタッグ2対2対2。リングはRAW・A、ルールはなし。
   メンツはヴェルザス&デュレア・サーリュC&イシュタルB・ルドルフ&アビゲイルである。


ラダーバトル登場+試合動画



    (ラダーバトル終了)
    運が絡む試合のラダーではあるが、選ばれた面々は陣営別でトップクラスの実力を持つ面々
   であった。勝利したのはルドルフ&アビゲイルのコンビである。やはり悪陣営の面々は運に
   恵まれる傾向にあるようだ。

    激化の一途を辿るこの場に、静観をしていた陣営も動き出した。ロスレヴ陣営・フリハト
   陣営、そして新陣営連合の全陣営である。


    主にブレインたる存在を中核に、戦闘部隊が試合を展開する。工作部隊も存在し、裏では
   頭脳による試合も行われている。

    単なる肉弾戦だけではなく、頭脳プレイも卒なくこなしだす。この流れは凄まじいものに
   なっていった。



エシェラ「何か暇になってしまいましたね・・・。」
    凄まじい試合を繰り広げる一同を尻目に、紅茶を飲みながら観戦するエシェラ。彼女以外に
   シルフィアTLを筆頭に、他のGM陣営が暇を持て余していた。
ミスターM「俺達は裏方だからな、ここは仕方がないだろう。」
ミツキTN「マスターばかり戦ってつまらないわぅ。」
ナツミDTA「でも私達の役割はGMだからね。ミスターの言う通り、ここは我慢するしかない。」
ミツキTN「う〜ん、面白くないわぅ。」
   おそらくGM陣営だけが取り残されている形になろう。しかし彼らの役割は裏方専門である。
   量産型のヴァスタールやヴィアシールがリング調整などを行っている事から、その彼女達の
   指揮をしているのがGM陣営なのだから。

アビスTT「しかし常識を覆すのがレイヴンの役割でもあります。俺は役割を超越して動きます。」
    常識に囚われるのは簡便だと語るアビスTT。ミスターTやミスターMの現実での友人と
   あり、その力は今だに未知数であった。
   有限実行と言わんばかりに動き出す彼。GMや創生者という役割を超えた行動をしだした。
   また彼の親友であるナイトTC・ピースTTも動き出した。この4人は間違いなくロスレヴ
   系列の流れが色濃いだろう。
ミツキTN「いいわぅいいわぅ、アビちゃんに賛同するわぅ!」
クレアTU「私も暴れようかな。」
クレナTU「姉さん行きましょう。」
   既に我慢の限界を通り越しているミツキTNは、アビスTTの行動に当てられて動き出した。
   またクレアTUとクレナTUも同じだったようで、身体を解しながら彼らの後を追って行く。
ミスターM「俺も観戦はするかな。」
   静観を徹していたミスターMも、親友の催促などもあり動き出した。やはり仲間内での触発が
   大きな起爆要素になるのだろう。


    新規参戦のGM達が一介のレスラーの如く戦いの場に向かって行く。それに臨時の創生者で
   あるエシェラは呆気に取られた。
   だが仮にこの場にミスターTがいたならば、同じ行為に走っていた事を思い浮かべる。それが
   脳裏に浮かぶと、自然と笑みを浮かべてしまうのである。
エシェラ「師匠、常識を破る事は並大抵の事じゃないですよね。」
シルフィアTL「う〜ん・・・確かにね。」
エシェラ「でも中心者はしっかりしないと。」
   リングサイドが凄まじいまでに賑やかになっていく。それを目の当たりにしたエシェラは、
   闘争本能を掻き立たせられた。しかし己の担っている役目を放棄する事はできず、指を咥えて
   見つめるしかなかった。
シルフィアTL「貴方も一緒に暴れてきなさいな。」
エシェラ「しかし、創生者役は誰が担うのですか。」
シルフィアTL「それこそが常識を破る大きな壁よ。創生者だからとか、一般レスラーだからとか。
        彼は創生者であっても動いていた筈よ。」
   シルフィアTLが示すは創生者であるにも関わらず、一同の中に入り暴れていたミスターTの
   事であった。過去の抗争などに関わっている部分を踏まえれば、役職が何だろうが関係なしに
   動けるのである。
エシェラ「・・・動きますか。」
シルフィアTL「フフッ、そうこなくっちゃね。」
   エシェラの踏ん切りを待っていたかのように、シルフィアTLも便乗して動き出した。彼女も
   本当は動きたくて仕方がない様子。それを押し殺せるだけの力があるのが窺えるだろう。



    エラい騒ぎとなったリングサイド。もはや大乱闘さながらで、見境なく戦う様は異常とも
   言えるだろう。しかしどの面々も表情は爽やかで、苦となっていない証拠でもある。

    まるで西部劇の酒場の乱闘と化していくこの場。そこに飛び入り参戦のエシェラが、一旦
   事態を収束させるべく動き出した。例の黒いカードを使い、一番暴れが酷い面々を強制的に
   停止させる。

ゼラエル「ま・・またか・・・。」
ベロガヅィーブ「マスターのより効くよな・・・。」
    善悪関係なしに強制停止を行ったため、その痛みを初めて経験した者も多かった。これこそ
   暴君さながらの手段だろうが、一瞬にして大乱闘は収まりを見せる。
エシェラ「はいはい、一旦止める。見境なくなると堕落するから、正式な抗争に持ち込みなさい。」
ビィルガ「そうだな。」
デュウバD「でも当てはあるのかい?」
エシェラ「え・・・そ・それは・・・。」
   確かに状況終息に黒いカードの力を使い、一同を落ち着かせたエシェラ。しかし抗争の火種と
   なるプランを一切考えずに行動していた。これには何も言い返せず黙り込んでしまう。

ミスターT「ならば切っ掛けを作るまでだな。」
    静かに語り出したミスターTが指を鳴らす。するとリングサイドの空いてる所に召喚される
   面々。それは全く見た事がない人物もあり、間違いなく新しい人物の創生を意味していた。
   驚いたエシェラは手帳を見つめる。すると次々に新しい面々が記載されていくのだ。これには
   驚愕せざろう得ないだろう。
ミスターT「総人数2340人か、我ながらよくぞ成し得たものか。」
ナツミDTA「あれま、ニッシーにナッシーがいる。」
ミスターT「お前さんを守護するために召喚したようなものだよ。」
ナツミDTA「ああ・・・そうか、現実ではね・・・。」
   現実での出来事を踏まえるとナツミDTAは表情を曇らせる。ミスターTが苦悩する最大の
   理由に彼女が当てはまるからだ。
ミスターT「ここでは思いっ切り暴れられるさ。」
ナツミDTA「そうだね。」
   しかし直ぐに感情を切り替えられる部分を踏まえると、ナツミDTAもシルフィアTLと同等
   の肝っ玉が備わっているだろう。

ミスターT「新規参戦の4人がいるが、他の55人はアレンジだ。そして最後の1人と私が悪役を
      演じ、抗争の火種を作るとしよう。」
    彼の呼び掛けにリングへ上がる人物。その人物を見た一同は驚愕を通り越して呆れるしか
   なかった。出で立ちから何からミスターTとソックリな人物だからだ。そして驚くのはその
   人物が男性ではなく女性という点だろう。
ミスターT「引き続き創生者役はエシェラと恩師に担って貰います。でもエシェラの出で立ちは普段
      の姿に戻してくれ。」
   小さく指を鳴らすと、エシェラの出で立ちが一瞬にして普段の姿に戻る。ダークの姿を一瞬に
   して変えたようにである。これには驚くしかない本人だった。
ミスT「さて、やるとしましょうか。」
ミスターT「そうだな。」
   RPGで主人公の性別を決める作品がある。正しくこれかと言わしめるように、ミスターTの
   男女が並んでいる。これには呆気に取られて何も言えない一同だった。



    一旦解散となるこの場。どの様な打ち出しがされるか楽しみで仕方がない一同であった。
   しかしここまで膨れ上がった面々を、一体どの様に引っ張るのか。ここは自分達の生みの親で
   あるミスターTに委ねるしかない一同だった。

    またミスターTはビィルガ達にも手を回し、共に動いて貰うように催促をする。これに素直
   に応じた彼ら。役割を作ってくれるほど楽な事はない。


    一同が集い合うこの場、そして集いし人数は2340人。驚愕とも言える規模に、一同は
   呆れ返るしかなかった。

    第52話へと続く。

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