アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝 〜覆面の風来坊〜
    〜第2部・第13話 大家族1〜
    風来坊から帰還して、エシェラ達との再会と出会いと。そして3年間のアメリカ修行と、
   帰還後の彼女達とのスキンシップ。早いようで短いような月日だった・・・。

    更に数年間、トラック野郎としての活躍も大きな思い出だ。マツミの懐刀として誠心誠意
   奮闘し続けた。今ではマツミの運送業は凄まじいまでに拡大している。

    国内では躯屡聖堕チームとの、海外では三島ジェネカンとの提携。殆ど2つのチームの足と
   なって活躍するほどとなっている。ここまで来れば俺の役目も終わったも当然だろう。



    地元に戻ってから5年が経過し、長期間遠征を始めてから10年が経過した。今年で俺も
   41になる。


    既にトーマスCとトーマスKは隠居し、残りの余生を趣味などに注ぎ込んでいる。それでも
   現役時代を名残惜しみ、偶に現役メンバーの元へ激励に訪れてもいた。

    ライディル達は後継者を発掘し、今は現役を退いてOBとして活躍していた。ウインド達も
   超ベテランの警察官の域まで達しており、それが認められ副長官の任を任されてもいる。

    アマギH率いる躯屡聖堕チームは日本最強のボランティア団体となった。バックボーンに
   三島ジェネカンがいるため行動力は無限大に近い。その活動内容を注目され、今では海外遠征
   をするにまで至っている。凄まじい事である。

    それに冒頭述べたマツミ運送業との連携も凄まじく、両者の手足となり大活躍している。
   殆どのトラック野郎を抱え込む事になって、彼女の存在はトラック野郎の母と言えるだろう。

    

    俺はと言うと、本店レミセンでマンガ家として活躍している。その一方で6人の女性と一緒
   に過ごしてもいる。

    表向きは身寄りがないという事で引き取ったりとか言っているが、実際は子供が生まれた
   ため一緒にいる。そう・・・、今ではシュームも含めた6人全員が母親だ。


    ヴェアデュラは今年で11歳になる。まだまだ幼さが残る彼女だが、それでも芯はしっかり
   とした女性へと成長しつつある。お淑やかさだけなら6人を超えるものだろう。

    シュームの双子の娘も今年10歳になる。こちらは母親似で肝っ玉が強く、幼さも相まって
   お転婆娘まっしぐらだ。丁度13年前のリュリアと同じ状態とも言える。


    俺の方も覚悟を決めた子作りで、他の5人とも妊娠させたという一大事があった。しかし
   今では受け入れられるまで肝っ玉も据わっている。

    もう周りがどうこう、モラル云々の次元じゃない。彼女達の幸せを現実に築き上げたのだ。
   6人とも行動してよかったと何度も言っている。



    ちなみにシューム以外の子供も全員女性だ。更に驚くのが5人とも双子を出産したのだ。
   上は9歳から下は5歳と、ほぼ1歳違いの双子が勢揃い。ヴェアデュラも含めて13人の娘と
   なる。呆れ返るような現状だな・・・。

    それでも、どの子も実に可愛い。エシェラの子供以外は孤児という事にしているが、俺が
   父親なのは変わりない。幸いにも俺に一切似ていない事が助かっている。

    6人から生まれた双子は母親似で、肝っ玉が強くお転婆でじゃじゃ馬。だがどこまでも強い
   優しさを持ち合わせている。格闘術を憶える仕草も母親譲りで、怖ろしいまでの成長振りで
   驚かせて貰っている。



ヴェアデュラ「では行ってきます。」
エシェツ「保護者は任せて。」
    今日は子供達だけで遊園地へ行くという。保護者的存在としてエシェツが付き添いで同伴
   してくれる事になった。ヴェアデュラや他の娘達を引っ張るという事になった。
   合計13人の女性が移動する様は、正に異様としか言いようがない・・・。
シュリム「小父さん行ってきます〜。」
エシェア「後で遊んで下さい〜。」
   若かりし頃の6人を見ているようだ。他の女傑6人も、30から40もの年齢となる。特に
   シュームは家族の中で最高齢の42、俺より1つ年上だからな。



    駅ビルまで13人を見送ると、本店レミセンへと戻る。シュームとメルデュラが切り盛り
   するそこは、昔も今も全く変わらない。

エシェラ「大変よねぇ・・・。」
    最短で保育園の園長という大任を担い、そして孤児院の院長までも勤めるエシェラ。彼女は
   第2のヴァルシェヴラーム的存在となっている。

ラフィナ「日に日にやんちゃっぷりが強くなっていますよね。」
    ラフィナも歌手の道を断念し、孤児院や福祉業を携わっている。エリシェと共に動き、彼女
   のサポートをしている。結構人気があった歌手道だが、人の為になりたいと道を変えた。

エリシェ「でも賑やかで楽しいです。」
    エリシェはセルディムカルダートの孤児院の院長を担いつつも、エシェラのサポートをして
   いる。三島ジェネカンは妹達が受け継ぎ、躯屡聖堕チームとの連携をより一層深めている。

シンシア「賑やか過ぎるのも大問題ですよ・・・。」
    シンシアは俺とタッグでマンガ界に旋風を巻き起こしている。予てから発案していたネタを
   全て打ち出した事で、俺達は名実共に大人気となっているようだ。

シューム「それでも我が子が可愛いのよ。」
    子供達の面倒を一手に引き受けているシューム。老いてもなお美しさが冴える彼女は、地元
   で美人妻として大変有名である。またマスターとしての地位も確立していた。

メルデュラ「そうですよ、子供達の喜ぶ姿は何よりの宝ですから。」
    メルデュラはシュームとタッグで、レミセン全体を取り仕切っている。母親故に手料理は
   大絶賛で、噂を聞き付けたユーザーさんが遠路遥々彼女達の食事を食べに来るほどだ。



ミスターT「間違ってはいなかったね。」
    ふと俺は呟く。その言葉は今の現状を見つめ、過去の罪悪感がやっと消えた事を意味する。
   実の所、今の今まで悩んでいた訳だ。
エシェラ「もうっ、あれだけ言ってるのにまだ吹っ切れなかったの?」
ミスターT「応じには応じたが・・・全員女の子だぞ、しかも双子の・・・。」
ラフィナ「いいじゃないですか。あの子達はみんな幸せそうに過ごしています。目を見れば一目瞭然
     ですよ。」
   それはそうだ。12人とも目は活き活きとしている。実際に事の経緯を語ればどうなるかは
   目に見えているが。それを話す時は必ず来るだろう・・・。

ミスターT「・・・語る時は来るよな・・・。」
シンシア「孤児として突き通しているけど、何れ話す時が来るでしょう。」
シューム「でもしっかりと言い聞かせますよ。私達が望んだのは、愛しい貴方との愛の結晶だと。」
エリシェ「そうですね。」
    俺は相変わらずの覆面スタイルだ。ヴァルシェヴラームと同じく特異体質による老化がない
   ため、今も30歳前後の若さを保っている。ヒゲだけは仕方がないが、周りから見ればその
   姿には驚いているようだ。

メルデュラ「貴方は全く変わりませんよね。」
ミスターT「いや・・・これからも気苦労が絶えないわ・・・。」
    色々な意味を込めて語った。13人の娘達の面倒もあるし、その後の行動もある。これが
   男児だったら更に大変だっただろう。少しは救われたのかも知れない。



リュリア「ただいま〜。」
    暫くするとリュリアが戻ってくる。今年で24歳になる彼女、警察官という夢はしっかりと
   掴み取ってる。格闘術がウインド達よりも凄まじく、簡単に打ち負かせてしまったぐらいだ。
ミスターT「あのじゃじゃ馬娘が大きくなったよなぁ・・・。」
リュリア「まだまだ未熟者ですよ。お母さんを超えるような存在になるまでは気が抜けません。」
   母親に負けじと巨乳を誇るリュリア。おそらく家族内で1・2位を争うぐらいデカいんじゃ
   ないかね・・・。野郎として嬉しい限りだが、その視線を感じ取った6人からエラい殺気が
   放たれもする。
シューム「またリュリアの胸ばかり見てる・・・。」
エシェラ「セクハラよセクハラ。」
メルデュラ「そんなに巨乳が好きなのですか・・・。」
ミスターT「・・・野郎の性の息抜きぐらいさせろよ・・・。」
   胸を見るのが息抜きかは微妙だが、野郎の性からは逆らえない。それに彼女の胸は事実デカい
   のだから。何とも・・・。

リュリア「でも嬉しいです、女として見て頂けるのは。18歳前半まで女の子としてしか見て頂けて
     いませんでしたから。」
    彼女の発言は事実だった。急激な成長は18を過ぎた辺りからだった。遅い成長とも言う
   べきか。一気に目覚ましい体躯へと成長していき、それが今の彼女を構成している。格闘術も
   そこから強くなっている。
ミスターT「まあそれでも、ここはどこまでも純粋無垢を願っているよ。」
リュリア「ありがとうございます。」
   リュリアの左右の胸の間へ右手握り拳を突く。無論人差し指の部分を軽く叩く程度だ。本当に
   叩きもしたら手痛い竹箆返しが来るだろう。これは心こそ大切なれ、そう言う意味合いだ。

    昔も今も労いは忘れない。相手を思い遣っての行動は俺の原点回帰だ。それで相手が少し
   でも救われるのなら、俺の生き様は間違ってはいない。


シューム「フフッ、相変わらずですね。」
エリシェ「今も全く変わりません。」
    俺の無意識の労いに、周りは嬉しそうな表情を浮かべている。あれから10年経過した今も
   変わらずの俺が嬉しいようだ。
シューム「でもいい加減に挙式した方がいいですよ。」
ラフィナ「籍も入れなければ結婚もしない。もう踏ん切りを着けてもよろしいかと。」
   41になった今でもエシェラと一緒になっていない。愛の結晶はエシェラや他の5人とも存在
   しているが、表向きの入籍や結婚は一切していなかった。それを行ったら今現在が崩れるとも
   分かっている。

ミスターT「家庭は外見の形だけじゃないよ。中身がしっかりしていればいい。」
シンシア「それはそうですが・・・。」
ミスターT「心に決めた人はエシェラだが、5人も俺の大切な人だ。6人とも平等にするなら、俺が
      1人に的を絞らなければいいだけの事。」
    既にモラルもクソもない状態なのだが、現に幸せな家庭は築けている。6人とも家族その
   ものだ。その娘達も姉妹当然の間柄。これ以上の幸せを持っても意味は全くない。
エシェラ「貴方らしい。だからこそ今も私の心を掴んで離さないのです。」
エリシェ「シューム様が仰っていた、心から愛していれば夫婦になれる。表向きには他人同士でも、
     心はお互いに繋がり合っていますよ。」
ミスターT「そうだな。」
   もう悩むまい。今後彼女達全員を幸せにするのが、風来坊としての俺の最後の戦いだ。これを
   完遂してこそ、俺の生き様が全て刻めるのだから。



ミスターT「実の所、エリシェとラフィナはこっちの道に進んでよかったのか?」
    今日の厨房担当は俺だ。カウンターに7人が座り、昼食を取っている。俺自身も今では結構
   な腕前を持つに至り、周りからは人気が高い手料理を振舞った。
エリシェ「何を今更と言ったご質問ですね。」
ラフィナ「意志はエシュリオスさんとエフィーシュさんに継いで貰っています。今の私達はいかに
     人に尽くせるか、そこが大きな目標です。」
   プロの歌手だったラフィナ、バイオリニストの卵だったエリシェ。その栄光ある道を捨てて
   まで、人に尽くす仕事に就いた。そこに至るまでの経緯は俺も一役買っている。

ラフィナ「今が一番充実しています。心にあった不安を見事に解消させて貰いましたし。」
メルデュラ「お2人とも、何度か相談して来られました。というか私達で相談を受け合ったりも。」
ミスターT「ごめんな、そこまで気が回らなかった。」
    俺の発言に回りは黙り込む。まあ当時は罪悪感で胸が一杯だったのが実情だった。周りへの
   細心の気配りまでは回らなかった事を悔やむ。
シューム「気にしないで。元はと言えば私達がでしゃばった真似をしたのが原因なのですから。」
シンシア「マスターには責任はないよ。」
ミスターT「だかなぁ・・・。」
   重苦しい雰囲気に駆られる俺の姿を見ると、何とエシェラがカウンター越しに乗り上げてキス
   をしてくる。一歩間違えばそのまま厨房に突っ込んでしまうような勢いだ。

エシェラ「魔法のキスです、罪悪感が薄らぐように・・・。」
    恥じらいながらも目線はしっかりと据わっている。今まで彼女達の重荷を半分持つつもりで
   行ってきた癒しの厚意の1つでもある。今や彼女達に定着したと言っていいだろう。
シンシア「ずる〜い、私も〜!」
   全員30代という美丈夫なのに、まるで子供のような言動をする。俺を厨房から通路を伝って
   引っ張りだすと、我先にと唇を奪いだす。まるで唇争奪戦だ・・・。

    ちなみに便乗してリュリアも唇を奪ってくる。昔ながらの勢いも相まって、シュームが2人
   いるような感じだわ・・・。

    偶々昼休みでお客さんがいなかったからいいものの、誰かいたら大変な事になる・・・。
   この7人のパワーには恐れ入るな・・・。

    後半へと続く。

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