アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝 〜覆面の風来坊〜 〜第3部・第10話 第2の風来坊2〜 ラフィカ「そうでしたか、ご健在ですね。」 ラフィヌ「もう100歳を超えられていたので心配していました。」 ミスターT「ここだけの話、殺したって死ぬような人達じゃないわな。まるで不死鳥の如く何度も 舞い上がってくるわ。」 ヴェアデュラ「フフッ、言えてます。」 偉大さを若干の皮肉を込めて語ると、それに肯定してウンウン頷く娘達だった。恩師2人の 生命力は衰える所を知らず、更に爆発的に勢いを増しているとも思える。 俺がまだまだ膝を折れない理由は2人の存在もあったればこそだ。それこそ師恩を返さず、 忘恩の輩に陥るのは目に見えている。 ミスターT「この身が燃え尽きる瞬間まで俺は戦い続ける。現にシェヴやディムがそうなのだから、 それに肖らなければ覆面の風来坊とは言えないわな。」 ミツキ「そうわぅそうわぅ、負けられんわぅよ!」 ナツミA「戦いはこれからが勝負です。一気呵成に盛り上がって行きましょう。」 ナツミAの言葉に力強く頷く娘達。己の生き様を刻む瞬間は先ではない、今この瞬間なのだ。 苦節をも糧として生きる事を続けているのだから、負ける事など眼中にない。 ミスターT「俺の方も第一線からは安心して退けられるわな。」 ミツキ「でも休む事なく動き続ける、でしょう?」 ミスターT「愚問さ。まだまだやるべき事、学ぶべき事は沢山あるしな。」 後継者が陸続と登場している現在。俺の役目は殆ど終わったと言ってよい。しかしミツキの 語る通り、まだまだやるべき事や学ぶべき事は数多くある。 リュア「今度はお父さんと一緒に頑張らないとね。」 リュオ「13年の修行の成果、お見せしますよ。」 娘達を代表して、リュアとリュオが決意を述べる。今年で26歳に至る双子は、全てにおいて 据わった才女と化している。恐ろしい事この上ないとも言えるが、その分学んできた事は多々 あったのだろう。 そんな2人を近くに呼び、優しく抱きしめた。それに心から甘えてくる姿は、昔も今も全く 変わらないリュアとリュオである。 ミスターT「第2の覆面の風来坊の登場だな。俺も負けられないわ。」 ヴェアデュラ「今正に始まったばかりですよ、・・・あ・・電話だ。」 会話の途中で携帯を取り出して応対するヴェアデュラ。しかし直後大人しかった彼女の表情 が一変する。先程の取り引きの続きだろう。 ヴェアデュラ「だから・・・それでは間に合わないと何度言ってるんですか!」 荒々しい会話をしながら店外に出て行く。この場では迷惑になると踏んだのだろう。その様子 は本当にやり手のワイルドウーマンそのものである。 リュア「ヴェア姉さん強くなったね。」 リュオ「お母さんみたい。」 店外の硝子越しで会話するヴェアデュラの姿は、オフィス街でマネージメントをする女性 そのものだ。13年前では考えられない姿だろう。それにリュアとリュオは驚嘆している。 ミスターT「肝っ玉の据わりではナツミAやミツキを遥かに凌いでいるわな。ヴァルシェヴラームの 再来と言っていいだろうね。」 ナツミA「またヴェアさんの内在する命の脈動も、私達を遥かに凌駕していますよ。その部分を闘気 に当てはめるのなら、私達なんか足元にも及びませんから。」 ミツキ「ヴェアちゃんは沢山努力しているわぅからね。わたも負けられないわぅ。」 ナツミAとミツキは普段からよく会っているが、リュアやリュオ達は13年振りに再会した 長女ヴェアデュラの変革振りに驚いているようである。確かによくよく振り返れば、彼女の この数十年の成長振りは目覚ましいものだ。 ミスターT「俺からすれば、お前達も恐ろしく強くなったと痛感できる。黙っていても身体からは 闘気が滲み出ているからね。」 メルテュア「まだ帰って来たばかりで分からないと思いますが、お父さんにこれから成長した姿を お見せできれば幸いです。」 ミスターT「そうだなぁ・・・メルデュラに勝るとも劣らないナイスバディは見てみたいものだ。」 メルテュナ「もうっ・・・。」 メルデュラ「ほら出た・・・。」 シューム「こうじゃなきゃダメよねぇ・・・。」 母親メルデュラに勝るとも劣らない巨女へと成長したメルテュアとメルテュナ。その2人の 美貌に憧れを示したら、案の定妻達にヤジを飛ばされた。しかし俺らしいを周りは苦笑いを 浮かべるに留まってはいるが・・・。 久方振りの再会に花を咲かせながらの雑談は続く。容姿が変わっても幼少の頃からの娘達の 姿は一切変わらない。 後に仕事を終えた妻達が帰宅し、13年振りの再会を果たした。よく見ると瓜二つの容姿を している事に気が付いたのだが、それを窺っていたら色目だとヤジを飛ばされる。 この母娘には到底敵わないわな・・・。まあだからこそ心から自慢できる大切な家族なの だから・・・。 その夜は家族全員が揃って大晩餐となった。以前はまだ幼い容姿だった娘達だが、今はどの 娘達も立派な大人の女性である。まあ成長しすぎて部屋が狭くて大変ではあるが・・・。 13年振りに戻ってきた娘達と、地元で今も生活している娘達が集い合う。一番末っ子の メアティナとメアティヌも認知度があるため、お互いに交わされる会話の幅が広がっていた。 そんな娘達を見つめつつ、俺はシュームと一緒にバルコニーで一服中だ。傍らではその場に 座り、ノートパソコン片手に運営の対応に追われているヴェアデュラがいる。一服しながら 雑務に没頭する彼女は、本当にワイルドウーマンさながらであろう。 ミスターT「全盛期のシュームそのもの、か・・・。」 シューム「フフッ、そうね・・・。」 ミスターT「今年でヴェアが38歳だろ、シュリムとシュリナは37歳だし。」 シューム「そろそろ孫や曾孫の顔が見たいわねぇ・・・。」 ミスターT「・・・こいつらを扱える野郎はなかなか登場しないわな・・・。」 シューム「ハハッ、それは確かにね・・・。」 飯の取り合いに発展している室内の状況。ヴェアデュラを除く26人の娘達は、さながら山賊 そのものである。これで喧嘩に発展しないのだから、母親達の躾は凄まじいものであろうな。 そしてこの美丈夫達の夫となる人物は現れるのだろうか。その部分は些か不安でもある。 ミスターT「お前も老けたよなぁ・・・。」 シューム「身体も声色も徐々に低下してるからね。」 ミスターT「でも、ここは29歳のお前だと確信している。」 傍らにいるシュームの両乳房の間を親指で軽く叩いた。心こそ大切なれ。心が若々しければ 永遠の若さを保てるのだから。 シューム「・・・貴方と巡り会えて本当によかった・・・。」 ミスターT「・・・お前のお陰で大家族という夢が実現できたしな・・・。」 大盛り上がりの娘達を見つつ、シュリムとシュリナが生まれた時を思い馳せるシュームと俺。 あの時は世間体を気にし過ぎて、一歩前へと進む事ができなかった。しかし今はその更に先を 進んでいる。実に驚きであろう。 ミスターT「これからもよろしくな、相棒。」 シューム「もちろんですよ。」 シュームに右手を差し出すと、同じく右手を差し出して握手を交わす。以前は簡単な口づけ などを求めてきたが、今はこういった男臭いコミュニケーションを繰り返している。末っ子の メアティナとメアティヌや、後続の長女のリヴュミナとリヴュミヌの影響が色濃く出ていると 言えるだろう。 リュア「ほら〜どうよ〜。」 大晩餐を終えた娘達。俺も妻達と一緒に遅い夜食を取り、その後の雑談に勤しんでいる。 その中先に入浴を済ませたリュアとリュオが、バスタオル一枚纏っただけの格好で現れた。 恥らう事なく自分の成長した姿を惜しみなく見せてくる。これには流石に呆れてしまった。 ミスターT「ほ・・本気にする奴がいるか・・・。」 リュオ「だって〜成長した身体見たいっていってたじゃん〜。」 恥じらいさがないリュアとリュオは、ある意味脅威そのものである。流石にここまで大雑把な 性格ではない他の娘達は、双子の言動に顔を赤くしている。 ミスターT「でもなぁ・・・よくぞここまで育ってくれたわ・・・。」 リュア「お父さんが言っていたよね、7年以上は頑張れって。」 リュオ「その倍は頑張ろうとしたけど、やっぱ地元が恋しくなっちゃってさ。」 いきなりバスタオルを剥ぎ取りギョッとさせたが、中は下着は着用していた。しかも肩を 露出させるために、態々ブラジャーのショルダーベルトを脇まで下げている。 いくら娘であっても年頃の女性が下着姿で目の前にいるのには、顔を赤くしてしまうのは言う までもない。だが当の本人達はお構いなしといった雰囲気である。男臭さが色濃く出ていると 言えた。 シュリム「あらゆる面でリュアちゃんとリュオちゃんには敵わないわよ。」 シュリナ「ヴェア姉さんと同じく、内在する命の脈動は凄まじいからねぇ。」 ミスターT「そう言うお前達はこいつらの実の姉なんだが・・・。」 父親は全員俺だが、シュリム・シュリナとリュア・リュオは血の繋がりが非常に濃い。前者は シューム、後者はシュームの娘のリュリアが母親だ。殆ど姉妹と言い切ってもおかしくない。 シェラ「本当にお母さんにソックリよね。」 シェナ「リュアちゃんとリュオちゃんはちょっと似てないけど。」 リュリア「それはどういう意味かなぁ〜・・・。」 母娘が同じになりつつあると周りは告げる中、シェラとシェナがリュリア・リュア・リュオ 親子は似ていないと愚痴る。それに顔を引きつらせて過剰反応するリュリア。それに青褪めて 謝るシェラとシェナだった。 ミスターT「ハハッ、確かに似てないわな。リュリアは怒りっぽさがあるが、リュアとリュオは天然 さが色濃く出ている。リュリアが垢抜けた姿と言えるわ。」 リュリア「ひど〜い。」 リュア「にゃはは、母ちゃん悔しがってるにゃ〜。」 リュオ「親子共々似過ぎていたらおかしいよねぇ〜。」 俺の言葉に悲しむ素振りを見せるリュリアだが、娘のリュアとリュオは笑って認めている。 この天然さは娘達の中で一番だろう。誰も真似はできないわ。 エシェア「まあでもお父さんは共通ですし。」 エシェナ「伝説の覆面の風来坊、ミスターT=ザ・レミニッセンス。子供の頃は世間体などの違和感 がありましたが、今は胸を張って私達の父ですと言い切れます。」 エシェラ「流石我が娘達だわぁ〜。」 エシェナが語る通り、幼少の頃は少なからず俺達の関係の事を気にしていたようだ。しかし それをネタにからかわれるという事はなかったようだ。むしろ父親が伝説の覆面の風来坊と あって、周りからは憧れの目線を送られていたようである。 ミスターT「一歩間違えば、子供の頃に虐めの対象になっただろうに。」 シュリム「ああ、そこは大丈夫でしたよ。それに陰ながらナツミYUさんが補佐してくれてました。 更に母や叔母様方が幅を利かせてくれていましたし。」 シューム「殆どナツミYUが面倒見てくれていたからねぇ。」 シュリナ「それに悪人心折として恐れられていたお父さんですから、誰も陰口を叩く事はしなかった ようです。」 ミスターT「悪人心折も意外な所で役立ったという事か・・・。」 ゼラエル・ベロガヅィーブ・スカーレットを黙らせたという俺の存在は、警察関連者ではなく 地元にも浸透していたようだ。特に13年前の核弾頭事変や19年前の企業間抗争で暗躍して いたジェリヴァとアビゲイルが顕著に値しているようである。 シューム「それに第2の悪人心折はミツキちゃんだそうよ。」 メルデュラ「そうですね。泣く子も黙ると恐れられています。」 ミスターT「う〜む・・・それは褒め言葉なのか・・・。」 あのヴェアデュラでさえ素直に従うミツキの戒め言動。それだけ彼女の真の強さが窺えると いう事だろうか。 シューム「更に言えば、ナツミAちゃんかな。ミツキちゃんすらも怖がるぐらい、怒らせたら手が 付けられなくなるそうよ。」 メルデュラ「腕相撲ではもはや身内では誰も敵いませんし。氷の手刀と恐れられています。」 ミスターT「でもまあ、初めて会った時よりは今の方が断然いいわな。」 リヴュアス「そうですよね。」 リヴュアスも俺もナツミAの病床の姿を今でも覚えている。肌は今より色白で生気がない状態 だった。それが今では身内で右に出る者がないとされるほど、天下無双の声を欲しいがままに 強くなっているのだから驚きである。 ミスターT「我が娘達は意気健康で育ってくれて何よりだよ。」 シューム「これから大変になっていくけどねぇ。」 娘達の健康な姿に安堵感を示すと、不気味に微笑んでくる27人の娘達。ありとあらゆる面で 最強を欲しいがままに動く女傑とも言うべきか。実に恐ろしいものだ・・・。 ミスターT「お前達の今後の生き様に関しては何も言うまいよ。しかし後悔のない生き様を貫いて 欲しい。」 リュア「任せて〜!」 リュオ「頑張っちゃうよ〜!」 後の生き方は自由にと語ると、リュアとリュオを筆頭に大きく頷く娘達。まあ母娘共に健在 なのだから、迷う事などある筈はないな。 メアティナ「俺も親父の名に恥じない生き方をするぜ。」 メアティヌ「安心してくれよ。」 ミスターT「・・・お前達は男として生まれればよかったのにな・・・。」 7歳を過ぎた辺りから、急に男言葉を使うようになったメアティナとメアティヌ。自身達の ハスキーボイスも相まって、学園では女子学生から絶大な人気を誇っているらしい。 メアディル「無駄無駄、自分の生き様には嘘を付くなと何度も言ってるもの。これが2人の自然体 なのよ。」 シューム「数年後が楽しみねぇ〜。」 リュア・リュオと同じ末っ子なだけに、その生き様は大雑把でガサツなメアディルの双子の娘 メアティナとメアティヌ。一歩異なっていたらリュアとリュオも同じ属性に至っていたかも 知れない。まあそれでも我が娘が可愛くて仕方がないのが現状である。 夜11時頃になってから、娘達はエリシェとシンシアの元自宅へと帰って行った。上階の エリシェの部屋はヴェアデュラ以下リュア・リュオまでの娘達が過ごす事になり、シンシアの 部屋はリヴュミナ・リヴュミヌ以下メアティナ・メアティヌまでの娘達が過ごしている。 本店レミセン2階と3階は13人の妻達が住んでおり、4階は俺しか住まなくなった。 シューム「何か寂れたよねぇ・・・。」 ミスターT「これが成長の証さ。」 再びバルコニーに出て一服し合うシュームと俺。あれだけ賑やかだった同室は、物音1つ しない寂れた部屋と化している。 シューム「あれだけ育児が大変だったのに、いざ独立すると寂しいものね。」 ミスターT「まあでも、夫婦水入らずの時間が多くなるからいいんじゃないか。」 一服し終えると、傍らにいるシュームを抱き寄せる。慌てて彼女の方も煙草の火を消すと、 俺に身を委ねてきた。その彼女の背中を軽く叩き、頭を優しく撫でてあげた。 シューム「もう殆ど思い残す事はないよね。」 ミスターT「リュリアもお前ソックリに成長し、シュリム・シュリナ・リュア・リュオの4人もほぼ 独立に近い状態にいる。俺達の役目は終わったも当然だろうな。」 彼女が悲願としていた大家族、それが見事に実現できた。一夫多妻という日本社会では非常識 ではあるが、その分心身共に削り社会に貢献してきたと自負している。娘達も自分達の使命を 自覚し、それぞれの生き様で社会に貢献しだしている。 シューム「今度さ・・・デートにいかない?」 ミスターT「そうだな、2人だけでいくか。」 胸の中で余韻に浸るシュームが語り出す。2人だけの時間は何度か作れたが、本当の2人 だけの時間というのは全くなかった。それは他の12人の妻達も同じである。 シューム「もちろん妹達にも同じ事をしてあげてね。」 ミスターT「その後の展開が怖いがね・・・。」 シューム「フフッ、そうね・・・。」 幅広い年齢層の妻達だが、それでも乙女たる女心は全く失われていない。心細い時があると、 必ず俺に癒しを求めてくる。それが2人だけの外出とあれば、抑えていた自分が爆発するのは 目に見えているだろう。 ミスターT「それでも・・・お前達には心から応じたい。俺にできる事はこのぐらいだから。」 シューム「大丈夫よ。存在そのものが癒しなのだから。」 徐に顔を上げて、そのまま唇を重ねてくる。軽い口づけだけが、そこに心からの愛を感じた。 それは彼女の方もそうであろう。 ミスターT「俺達にできる事は一生涯続けていこうな。」 シューム「もちろんです。貴方と一緒なら地の果てだろうが赴きますから。」 ミスターT「フフッ、ありがとう。」 口づけを終えて余韻に浸る。その後胸の内を語った。それに心から同意してくるシューム。 色々な経緯はあったが、今こうしている事は紛れもない事実だ。自分自身の実証を示し、勝ち 取った何よりの証である。それを妻達と共に味わえる事はこの上ない幸せであろう。 時代は娘達や若い世代に受け継がれていったが、俺達の戦いはまだまだ終わりではない。 彼らを支えながら、自分達の使命を全うしていかねばならない。 それに今では苦楽を共にできる妻達や、盟友・親友が大勢いるのだ。それに俺達を支えて くれている地域の人達や世界の人達も・・・。 負ける筈がない。否、膝など折ってなるものか。テメェの生き様を死ぬまで貫き通すのだ。 それが俺の原点不動の執念と信念である。 胸に抱いているシューム見つめながら、今後も今より一歩前進の戦いを心から決意した。 第3部・第11話へと続く。 |
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
戻る |