アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝 〜覆面の風来坊〜 〜第3部・第10話 第2の風来坊1〜 アマギHとユリコYの婚姻式は無事終わった。その後の格闘術大会も盛大に行われ、各々の 日頃の鍛錬を思う存分披露し合った。 俺も参加させられたが、心理戦封じ後手側長期戦闘に誰も敵う筈はなかった。今回だけは 俺の優勝となったが、今後は更なる追撃が展開されるだろう。 アマギHとユリコYも一生に一度の思い出として、胸中に深く刻まれたに違いない。そんな 彼らの思い出の一片に携われたのは光栄な事である。 今後は今まで以上の活躍を期待している。まあ愚問だろうがな・・・。 それから数週間後、14人の娘達はそれぞれの遠征修行に旅立った。ヴェアデュラのみ地元 に残り、他の12人の妹達の面倒を見続けている。 躯屡聖堕チームの方も新たなリーダー格としてウエスト達が抜擢されだした。完全に浸透 するまではヴェアデュラが仕切ると思われるが、直ぐに彼らに受け継がせるだろう。 ナツミAとミツキは驚く事にヴァルシェヴラームと同じく全ての免許取得に奔走しだした。 そして彼女も成し得なかったスペースシャトルのライセンスすらも取ると豪語している。 まあ諦めなければ0%にはならない。この2人なら確実に達成するだろう。それこそ愚問と いうものだ。 ジェリヴァ・アビゲイル事変から世界は変わりつつある。彼らがヒールとなり一同を纏めた とも言い切れる。彼らの存在こそ別の意味で真の英雄だろう。 しかし世界から孤児を無くすという大願はまだまだ達成できていない。俺達の戦いも今後も 続くという事だ。 まあこちらも諦めなければ0%にはならない。それにヴァルシェヴラームから受けた師恩を 返す時でもある。 負けられないのさ、絶対にな・・・。 時は流れ・・・、婚姻式から13年の月日が過ぎた・・・。 丁度5年前に再びマツミから依頼があり、国内限定だがトラック野郎として復活する事に なった。殆ど都市間輸送だが、アメリカとカナダの輸送よりは遥かに近く楽である。 それに国内なら何時でも地元に戻れるとあって、妻達は思う存分戦わせてくれた。また何と リヴュミナとリヴュミヌが共に戦いたいと申し出て、中卒後から一緒に動き回ったのだ。 これには止めさせたかったが、何とリヴュアス自身が承諾したとあって罷り通ったのだ。 絶対に反対しそうな雰囲気だったのだが、可愛い我が子には旅をさせたかったのだろうな。 ちなみにこの3年間の間に、通信教育で高卒を成し得ている。リヴュアスや俺に迷惑を掛け ないように尽力する姿には脱帽であった。この2人なら何でもできるだろう。恐れ知らずと いうのはこの事だな。 それと18歳になってから直ぐに普通車の免許を取得している。その後テンポ良く大型車の 免許も取得に至ったという。更には牽引免許も然りである。 本来なら大型自動車の免許は普通車から中型自動車を経てのランクアップである。普通車 から2年後に中型車、そして普通車から3年後に大型車という流れらしい。何時の間にか免許 改定により変化していた。 だがリヴュミナとリヴュミヌは今年20歳、1年早く大型自動車を取得している。どうやら これは裏でウインド・ダークH・リュリア・ディルヴェズLK・リヴュアスの根回しがあった ようだ。でなければ取得はまだ無理だろう。 何というかまあ・・・本来なら違法じゃないかね・・・。 リヴュミナ「グローブライナーは乗りやすいですね。」 リヴュミヌ「外車とあってハンドルの位置が異なりますが、それを差し引いても十分なパワーがあり ますし。」 カウンターでテスト走行の感想を述べ合うリヴュミナとリヴュミヌ。13年前とは見間違う 程に成長した双子は、リヴュアスに匹敵する体格の持ち主となっていた。 ちなみにテスト走行をした時はディルヴェズLKが担当している。場所は運転免許試験場の ようだ。 ミスターT「近々マツミの会社に入社して活動すると言っていたよな。」 リヴュミナ「はい。マツミさんの元で数年修行し、その後はアメリカとカナダを回りたいと思って います。」 リヴュミヌ「マツミさんも大喜びされていましたよ。伝説の風来坊の娘が参戦とあって、社内では 大盛り上がりと語っていました。」 う〜む・・・草創期の運営に携わった事が評価され続けたのだろう。リヴュミナとリヴュミヌ の参戦に大歓喜のマツミなのだから十分頷ける。 ミスターT「というかさ・・・本来ならトータルの免許取得は最短で21歳からじゃないのかね。 20歳で大型自動車と牽引、それに大型自動二輪を取っている。」 リヴュミナ「お恥ずかしいながら、ウインドさんとダークHさんの計らいが・・・。」 ミスターT「やっぱりねぇ・・・。」 リヴュミヌ「しかし、ただ漠然と取らせて頂いた訳ではありません。1年前倒しという話で試験場で ぶっつけ本番の実技試験をやりましたし。」 リヴュミナ「2〜30回はやったでしょうか。経験が劣っているため、徹底的に厳しく修行させられ ましたので。しかも母や先輩方同伴の下です。」 う〜む、これが年齢を満たさないでの取得の経緯か。完全に不正そのものだろうに・・・。 それを罷り通した身内やウインド・ダークHには呆れるしかない・・・。 リヴュミナ「ちなみに免許取得と言っていますが、実際に大型自動車免許が下りるのは来年です。 その前の卒検に近い事を前倒しで攻略してしまったと言うべきかと。」 リヴュミヌ「テスト走行は全て試験場のコースでしかなく、実際に路上教習は一回も行ってません。 無免許運転こそ罰せられますし。」 なるほどねぇ・・・。既に免許を取得していたというのは違ったようだ。来るべき21歳の 誕生日に至った時に、初めて免許が施行されるようである。それまでに出来得る限りの修行を 行おうというのが流れのようだ。 ミスターT「俺が大型自動車を取った時は、普通車から数年経験を積んで大型へステップアップが できた。何時の間にか中間に中型自動車の免許が施行されたし。」 リヴュミヌ「大型自動二輪の間もそうですよね。400ccまでのバイクを乗れる中型自動二輪免許 ができましたし。まあこの部分は運転経験に関係せず、いきなり大型に挑める点が長所 とも取れますけど。」 リヴュミナ「卒検までの戦いは色々と苦戦しましたが、バイク自体を操る事は問題なかったです。」 ミスターT「お前達の体躯からしたらねぇ・・・。」 既にリヴュアスに匹敵する体格を維持しているリヴュミナとリヴュミヌだ。この美丈夫なら 約500kgあるハーレーも簡単に操れるだろう。羨ましい限りだ。 ミスターT「まあでもね、無理無茶はするなよ。」 リヴュミナ「もちろんですよ。」 リヴュミヌ「でも出来得る限りの戦いはし続けます。」 う〜む、本当に美丈夫に育ってまあ・・・。リヴュアスとは全く異なる生き様だが、その気の 強さは彼女譲りだろうな。 ミスターT「しかし・・・今年で20歳か・・・。」 リヴュミナ「早いですよね。」 リヴュミヌ「あっという間でしたよ。」 紅茶を飲みながら過去を振り返る双子。アマギHとユリコYの婚姻式の後、双子を胸に抱き 一時を過ごした事が昨日のように思えてならない。 リヴュミナ「伝説の風来坊の娘として、絶対に自分自身に恥じる事のないような生き様を貫き通して いきます。」 リヴュミヌ「今度は私達がお父さんを支える番ですから。」 ミスターT「ありがとう。」 本当に強くも優しく育ってくれた。リヴュアスとは異なり、リヴュミナとリヴュミヌは実に 男臭さが色濃く出ている。トラック野郎のために生まれてきたような雰囲気だ。 ちなみに一番末っ子のメアティナとメアティヌもリヴュミナとリヴュミヌの影響を受けて、 トラック野郎に興味を示しだしている。 メアティナとメアティヌの母親はアメリカで長年過ごしたメアディルだ。長距離トレーラー に興味を惹かれてもおかしくはない。 何れこの2人もトラック野郎として活動すると言い出すに違いない。俺としてはワイルド ウーマンは大歓迎だが、実の娘達がそうなるのには些か抵抗はあったりする・・・。 まあ彼女達が心から望むのなら、反対する理由など一切ない。思う存分戦わせてあげよう。 ヴェアデュラ「だから・・・それでは間に合いませんよ!」 厨房でお客さんのオーダーを作りつつ、リヴュミナ・リヴュミヌ姉妹と雑談をする。そこに 右手に携帯を、左手にハンドバッグを持ちながらヴェアデュラが入店してきた。 今年で38歳となる彼女は老化が止まり、28歳前後の容姿のままでいた。全くもって俺と ソックリである。 ヴェアデュラ「必ず当日までに仕上げて下さい、必ずですよ!」 携帯を切り深い溜め息を付く。ここ最近は三島ジェネカンの副社長を担わされているためか、 以前よりも増して忙しく動き回っていた。 ミスターT「またトラブルか?」 ヴェアデュラ「ええ。いきなり発注していた商品の納期が遅れると言われたのです。1週間後には 納品しないといけないというのに。」 怒り心頭といった雰囲気のヴェアデュラ。徐々にだが女性から淑女に近い風格を出しており、 その色っぽさには父親の俺でもドキリとしてしまう程である。 リヴュミナ「でもヴェア姉さんは強いですよ。」 リヴュミヌ「私達では間違いなく雰囲気に呑まれてしまいます。」 ヴェアデュラ「そんな事ないわよ。2人の方が私以上の力を持ってるわ。男らしさの部分では私は 絶対に出せないもの。」 姉を褒めるリヴュミナとリヴュミヌに、妹の方が偉大だと謙遜するヴェアデュラ。属性的 には同じなのだが、ヴェアデュラの方が女らしさが色濃く出ている。それだけリヴュミナと リヴュミヌが男臭いという表れだろう。 ミスターT「まあ何にせよワイルドウーマンはいいものだよ。」 ヴェアデュラ「もうっ・・・またそれですか・・・。」 口説き文句に近い言葉を発すると、顔を染めて反論しだすのが周りの女性陣だ。特に最近は 娘達もその言葉に反応し、母と共々に赤面しているのだから。 ヴェアデュラ「今年で70歳になるのに、まだ青年の感覚でいるのですから・・・。」 ミスターT「それはお互い様だろうに・・・。」 リヴュミナ「ヴェア姉さんは今年で38歳ですし。」 リヴュミヌ「お父さんと一緒で全く変わりませんね。」 外見の老化が停止する特異体質故に、今の俺の容姿は28歳前後のままだ。ヴェアデュラも しかりであり、周りから驚嘆されている。特に妻達からは年々批難の声を浴びせられている。 ミスターT「まあでもここは何時までも若々しくありたいものだ。」 そう言いながら自分の胸を親指で指す。それに3人の娘達はウンウン頷いていた。これは 妻達にも何度も語っているため、その娘達にも自然と浸透していったのだろうな。 ヴェアデュラ「これからが勝負ですから、負けられません。」 ミスターT「そうだね。」 自分の進むべき道には到達していないと語るヴェアデュラ。それにリヴュミナとリヴュミヌも 力強く頷いている。彼女達の人生はこれからが勝負なのだから・・・。 ミツキ「こんちゃ〜わぅ。」 厨房をリヴュミナとリヴュミヌに任せ休憩する。ヴェアデュラ・リヴュミナ・リヴュミヌも 調理師免許を取得しており、臨時のコックやウエイトレスはお手の物である。 そこに元気よく登場するはミツキだ。後ろからナツミAも一緒に入店してきた。今年で33歳 と女盛りの年頃なだけに、雰囲気はすっかりワイルドウーマンと化していた。 ミスターT「よう。」 ナツミA「お客さんですよ。」 挨拶もそこそこにナツミAが語る。背後には複数の姿が見えていた。その人物達も入店して くると、我が目を疑ってしまった。それは13年前に遠征修行に旅立った14人の娘達がいた からだ。 リュア「お父さん、お久し振りです。」 リュオ「元気そうで何よりですよ。」 ミスターT「み・・・見違えたわ・・・。」 驚愕するしかない。あの幼い雰囲気が色濃く残っていたリュアとリュオは、完全に大人の 女性として成長していた。他の娘達も当時の幼さは一切なかった。完璧と言っていい程に大人 の女性に至っていた。 ナツミA「先程駅前でお会いしまして。こちらも驚きましたよ。」 ミツキ「みんな逞しくなってるわぅ。」 う〜む・・・13年という月日は、間違いなく娘達にとって力強い糧となったのだろうな。 7年程度で帰ってくるかと思っていたが、その倍近い月日を戦ってきたのだから。 虫の知らせか、娘達の雰囲気を感じた母親達が上から現れる。待機中の妻達はシュームと メルデュラだけだったが、母を見るなり大喜びする娘達だった。 シューム「見違えたわぁ〜・・・。」 メルデュラ「私より大きくなってる・・・。」 ミスターT「お前さん・・・どこ見て言ってるんだ・・・。」 シュームもメルデュラも我が子達の成長に大歓喜しているが、見てる部分が異なっていた。 娘達のナイスバディに釘付けのようで、それにヤジを飛ばすと恥らいだす娘達だった。 シューム「あら珍しい、娘達の豊満な肉体に惹かれないなんて。」 メルデュラ「何時もなら、いいねいいね〜とかエロ親父全開なのにね。」 ミスターT「人をどんな目で見てやがるんだ・・・。」 俺達の夫婦漫才を見つめ、笑い合っている娘達。どんなに月日が過ぎようが、決して変わら ないものだってあるのだから。 エリム「数日ほど休ませて頂いてから、今度は本社の方の担当に移ります。暫くは地元で本線の流れ に戻しませんと。」 エリア「今までの経験を最大限活かすのはこれからですから。」 カウンターで一段と上品に紅茶を啜るエリムとエリア。完全に企業の社長令嬢といった風格 が色濃く出ている。他の娘達も昔とは違い、女性らしさが前面に出ていた。 ヴェアデュラ「これでやっと楽ができるわぁ・・・。」 ミツキ「何言ってるわぅ、常々日々に強き給えわぅよ。休んだら蹴飛ばすわぅからね。」 ヴェアデュラ「ひ・・ひぃ・・・分かりましたよぉ・・・。」 少しでも怠ける姿勢を見せると叱咤が飛ぶ。特にミツキの恐さは誰もが知っているため、その 言葉に顔を青褪めてしまうのが当たり前であった。 ミスターT「今じゃミツキに敵うものはナツミAぐらいだろうな。」 ミツキ「姉ちゃんには敵わないわぅ。」 ナツミA「あら、でも格闘術に関しては私より強いじゃない。」 ナツミAの言葉に恐縮気味になるミツキ。姉には到底敵わないといった雰囲気が色濃く出て いる。 13年の月日はナツミAとミツキの姉妹を天下無双の戦乙女に成長させた。特に2人とも 恩師ヴァルシェヴラームすら成し得なかったスペースシャトルのライセンスも取得している。 運転できないものは一切ないほどのベテランパイロットである。 格闘術においてはミツキが特に凄まじく、大多数の格闘術をマスターするに至っている。 姉のナツミAも13年前とは見違えるほど身体が丈夫になり、ミツキには若干劣るも格闘術の 腕も凄まじいまでに高まっていた。 また3年前から孤児院の運営に携わっており、ヴァルシェヴラームとセルディムカルダート の孤児院をそれぞれ担当するに至っていた。 攻守共に劣る所はない、正真正銘の女傑と言える。あのリュアとリュオすらも敵わないと 確信できた。 リュア「姉さん強くなったんだね。」 ナツミA「お陰様で何とかね。」 リュオ「よかったよかった。」 ナツミAの体調の事はリュアとリュオも心配していたようで、見違えるほどに強くなった 彼女に心から喜んでいるようだ。確かにイギリスから戻って来た時は、まだまだ危なっかしい 雰囲気が残っていたからな。 ミスターT「シェヴもディムも何も言い残す事はないと喜んでいたしね。」 シュリム「え・・・まさか・・・。」 シュリナ「お・・お亡くなりに?」 ミスターT「・・・本人にどつかれるぞ・・・。」 既に100歳を超える超高齢者に至ったヴァルシェヴラームとセルディムカルダート。そんな 2人が逝去したと勘違いしたシュリムとシュリナを戒める。 恩師2人は再び孤児院へと戻り、今ではナツミYUと同じく庭園の庭師として余生を送って いる。流石に100歳を超えた辺りから全盛期の力は出せなくなってきだしている。 しかしそれが肉体的にも精神的にも老化したという事ではなく、自分達の時代は終わったと 若い世代に全てを託している現われだ。 俺も時期に彼女達と同じく隠居となるだろう。しかしギリギリまでは生涯現役を貫いていく 覚悟である。 後半へと続く。 |
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