アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝9
〜覆面の苦労人〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝9 〜覆面の苦労人〜
    〜第1部・第06話 聖獣と神獣と魔獣と ナーシャの視点〜
    〜ナーシャの視点〜

    エルフ族のナーシャと申します。まさか、魔の獣の主のミオルディア様と、こうも早く遭遇
   する事ができるとは・・・。


    私の使命は、3種の獣の神を探す事。聖獣ティエメドラ様、神獣ヴィエライト様、そして
   魔獣ミオルディア様となります。

    お3方は、世界を守る存在として崇められています。生き神とも申しましょうか。影ながら
   世上を見守る守護者とも言えるかも知れません。

    実際には、創生者ティルネア様の配下であり、遂行者という存在でも。この場合は、魔物の
   世界で動く遂行者と言えるでしょう。事実、超絶的な力を持つ獣の姿に変身ができます。


    何故、お3方を探しているのかと言うと、一度姿をくらますとお会いできないためです。
   ティルネア様からの使命を受け持ってはいますが、その行動に対する等価交換として、自由を
   求められたのもあります。

    つまり、一度姿をくらますと、世界を探訪する以外にお会いできません。お3方には大変
   失礼ですが、非常に迷惑極まりないのが実状とも・・・。

    まあでも、世上の束縛を受けないようにしているのには理由もあります。先に挙げた通り、
   超絶的な力を持つためです。その力を、悪用される事を避けていらっしゃる。


    そもそも、そこまで超絶的な力をお持ちなら、悪用される事など皆無なのですが・・・。
   私達以上の知識や経験を持っている事から、裏の裏を読むのは造作もありません。それでも、
   世上から距離を置かれているのは、私達には理解できない事情があるのかも知れません。

    それらを踏まえて、ティルネア様の配下になるのと引き換えに、自由を持たせて貰ったと
   思われます。使命が大きければ大きいほど、その重みに耐え切れなくなる恐れもありますし。

    これらを踏まえて、私が生きている時には、お3方とお会いする事はできないと覚悟して
   いました。


    ところが、私の直感が囁きました。それは、人間側にも遂行者たる存在がいるのでは、と。
   現に、冒険者ギルドへと足を運んだ際、それに近しい人物を発見しました。

    長身で体躯が非常に良く、覆面と仮面を装着している変人・・・失礼。お名前はミスターT
   様と仰るようです。その彼の傍らには、同胞たるリドネイ様も。

    エルフ族とダークエルフ族は、遥か昔に誕生してから、いがみ合っていました。ですが、
   それは過去の時代の話。今の私には、その様な無粋な考えなどありません。むしろ、己の視野
   を狭めてしまい、盲目と化すと痛感しています。

    ダークエルフ族のリドネイ様とお会いできたのは、非常に幸運だったと確信が持てました。
   それに、彼女は恐らく、ダークエルフ族の王族の出身でしょう。本当に幸運です。

    そして、更に幸運だったのは、直ぐに魔獣ミオルディア様とお会いできた事です。天にも
   登るような大歓喜でした。


    ・・・ともあれ、目的としていた3つのうち、1つは解決できました。残りは2つ・・・。

    残りに関しては、ミオルディア様から直々に伺う事もできました。王国と帝国、こちらに
   お2方がいらっしゃるようです。

    速やかに目標を達成させたい所ですが、今は慎重に進めるべきと述べられました。遂行者の
   ミスターT様が仰るには、雲行きが怪しいとの事ですし。

    聖獣様と神獣様を探すという使命。本音としては、お3方の探索で終わると思いました。
   ですが、ここまで踏み込んだのなら、最後まで付き従わせて頂くのが筋です。

    色々とお世話になっているのですから、報恩の行動をせねばエルフの名が廃ります。今は
   皆様方と行動と共にすべきだと・・・。そう、遂行者としての使命を担うべきだと・・・。


    本当に、不思議な縁としか言い様がありません。今の私の力では、何処まで挑めるか分かり
   ません。ですが、可能な限り戦い続けたいと思います。

    この様な切っ掛けを作ってくれた、ミスターT様に心からの感謝を・・・。

    〜ナーシャの視点、終了〜

    第7話へ続く。

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