アルティメット エキサイティングファイターズ 外伝9 〜覆面の苦労人〜 |
アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝9 〜覆面の苦労人〜 〜第1部・第04話 追放の獣人3〜 狼人族。数ある獣人族の中で、個体数が少ない種族との事。大森林の奥地に住み、滅多に 人前には姿を現さないらしい。テネットやリドネイが挙げた通り、街中に現れるのは非常に 珍しいと言う。 リドネイのダークエルフ族と同じく、超寿命で非常に優れた力を持つと言われる。特に凄い のが、巨大な狼に変身できるらしい。しかも、3m以上の超巨体らしい。 どれも“らしい”で片付けるしかないのだが、実際にその姿を見た者は非常に希だという。 異世界出身の俺からすれば、更に希極まりないとしか言い様がない。 また更に凄いのが、狼人化という人型の姿に変身もできるらしい。3m以上の超巨体が圧縮 されるのだから、その戦闘力は凄まじいものがあるだろう。 幼子に見えるトーラだが、実際は相当な力を持っていると、改めて確信が持てた。 トーラが街へと訪れた理由は、離れ離れになった家族を探して、長い旅を続けている最中 だったとの事だ。その際に、荷物持ちで加入したのが、先程の愚物パーティーだったという。 幸いにも、彼女の詳細は察知されていないようだ。 狼人族は非常に希少な種族なので、良からぬ事を抱く存在が現れないとも限らない。それを 踏まえれば、連中から追放されたのは幸運だったと思う。 ただ・・・再び横槍を入れて来るのは目に見えている。この手の流れなら、間違いなく彼女 を狙って来る。それなりの対策を講じた方が良さそうだ。 トーラ「・・・テネットさん、この街に狼人族が来た事はありますか?」 テネット「“私が知る限り”では、今の所一度も来られていません・・・。」 エルフィ「探りを入れれば更に分かると思いますが、個人情報の問題がありますからね。」 トーラの問いに、言い辛そうに語るテネット。その彼女のフォローをするエルフィ。彼が 言う通り、この問いに関しては個人情報に引っ掛かる恐れがある。故に、“私が知る限り”と 言い留めたようである。 冒険者ギルドの重役を担っているだけに、調べれば調べられるのだろう。だが、それが制約 により不可能な事に、非常に歯痒い思いを抱いているようだ。 ナディト「なーに、気にする事ないっすよ。一緒に旅をすれば分かりますって。」 ミスターT「ハハッ、俺もその言葉に乗らせて貰うわ。」 重苦しい雰囲気を一蹴するナディト。つまり彼の方も、今後の面倒を見続けるという現れに なる。と言うか、ここまで首を突っ込んだのなら、最後まで突っ走るしかない。 それに今後、横槍が発生するのが確実ならば、盤石な準備をして迎え撃つに限る。警護者の 世界では常套手段である。 ミスターT「トーラさんや、暫くの間は一緒に行動した方がいい。あの連中の事だ、必ず貴方を襲撃 するだろう。」 トーラ「はい・・・お願いできますか?」 ミスターT「ああ、全て任せな。」 今後の展望を予測して、非常に不安な表情を浮かべるトーラ。その彼女の頭を、再度優しく 撫でてあげた。他の5人を見渡すが、同じ様に頷いてくれていた。 先の愚物事変を踏まえれば、更なる横槍は必ず起こり得る。彼女の戦闘力次第では、対処 不可能になる可能性も高い。となれば、今はトコトン加勢するに限る。 それに、最初に首を突っ込んだのは俺の方だ。ならば、最後まで責任を以て警護するのが 警護者の使命である。ここに身内が居たのなら、確実に俺と同じ事を言い出すに違いない。 問題なのは、どのタイミングで横槍を入れて来るか、である。こちらが不利な状況に陥る 場面か、トーラが孤立した所に一撃を入れる、これが無難な所だろう。 あの手の愚物は、自分達が有利になる場面でしか手を出さない。地球の愚物共も同じだ。 それらを踏まえておけば、大凡の予測は十分掴める。 ともあれ、今はウェイス達の昇格試験に対して動くとしよう。 ちなみにここは、トーラも加入作戦に参加させる事にした。下手な場所に居たら、確実に 連中に横槍を入れられる。テネットも太鼓判を押してくれているので、ここは共闘が無難だ。 そこで、再び武器屋と防具屋に訪れ、トーラ用の装備品を見繕う事にした。今の彼女は、 道具鞄しか持っておらず、戦闘能力は皆無である。 彼女が得意としている戦術は、今現在何も把握できていない。本当は色々と検証したい所 なのだが、今はぶっつけ本番で挑むしかない。 幸いにも狼人族は、基本戦闘力がズバ抜けて高いようなので、彼女に合った最大火力の獲物 を持たせた方が良いだろう。後は修行あるのみだが。 トーラの準備が整ったので、俺達は昇格試験の対象となる魔物の討伐に向かった。 テネットより提示された今回の対象だが、前回と同じパワーベアーらしい。しかし、俺と リドネイとトーラが加入した事により、討伐対象数が通常の4倍にまで膨れ上がった。 本来なら非常に厄介な戦いになるのだが、7人ものパーティーとなったので全く問題ない。 しかも、トーラの戦闘スタイルは、何と俺と同じ防御スタイルになった。 彼女が選んだ武器は、下見時に目撃した、あの身丈以上の特大剣だ。材質は鋼鉄製である。 盾も鋼鉄の大盾を選んでおり、攻守共に凄まじい様相である。逆に、防具はリドネイと同じ 軽装備という、非常にアンバランスな感じだが。 先にも挙げたが、実際にこれが通用するかは確かめる以外にない。ただ、トーラの種族を 考えれば、俺達が選んだ武器防具は問題ないと思われる。やはり、ぶっつけ本番以外に有効な 手段はない。 戦闘に関しての戦術はこうだ。俺とトーラが防御を担当し、支援はウェイスとサイジアが 行う。攻撃はナディト・エルフィ・リドネイの3人となる。 と言うか、4人から何故かリーダーをやってくれと言われたのが、非常に納得がいかない。 俺は補佐役の方が合うのだが・・・。 後半へと続く。 |
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