アルティメット エキサイティングファイターズ 外伝9 〜覆面の苦労人〜 |
アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝9 〜覆面の苦労人〜 〜第1部・第3話 昇格試験への加勢4〜 ミスターT「お前さん達は、既に準備はできているのか?」 ウェイス「ああ、抜かりはない。ただ、相手の出方が読めなかったからな。」 サイジア「色々と考えていた所に、ミスターが訪れて来た訳です。」 正に助け船そのものだわ。俺達の方は獲物の確認のために、冒険者ギルドへと再度訪れた。 それが、彼らと再会する切っ掛けになったのだから、実に不思議なものである。 リドネイには悪いが、次の実戦で彼女の実力を把握するのがいい。できれば事前に、日本刀 の試験運用を行いたかったのが本音だ。まあ、実戦に勝る修行の場は存在しない。ここは、 ぶっつけ本番で挑むのが無難である。 ミスターT「諸々、了解した。では、明日の早朝から挑むとしようか。」 エルフィ「願ったり叶ったりですが・・・よろしいのですか?」 ミスターT「はぁ・・・ここまで首を突っ込んでおいて、何を今更な感じなんだがな・・・。」 態とらしくボヤいてみせると、耐え切れずに噴き出す4人。リドネイの方も笑っている。 こうなればもう、一蓮托生そのものだ。それに、受けた恩は報恩で返すのが俺の主義である。 創生者ティルネアが傍らにいても、右も左も分からなかった当時。その俺に些細な挨拶を 行ってくれたのが切っ掛けで、今こうして和気藹々とするに至っている。縁と言うのは、本当 に分からないものである。 ともあれ、今は“四重の壁”の4人の昇格試験に加勢する事だ。今後の全ての行動、それの 礎になるのは言うまでもない。 ちなみに、4人の個人スキルに関しても伺った。彼らの方も既に、啓示的に取得していると 言う。共闘するなら、お互いの能力を把握しておく必要があるからだ。4人のスキルに関して は次の通りになる。 ウェイスは“守勢操作”のスキルを持っている。一定時間、防御力を高めるというものだ。 更には、相手の防御力を下げる事も可能だと言う。正に防御を中心とした業物である。ただ、 増減させられる比率は高くはないらしい。それでも、防御の力に関しては申し分ない。 サイジアは“魔勢操作”のスキルとの事。一定時間、魔力を高められるという。当然、相手 の魔力を下げる事も可能となる。魔法使いや聖職者に対しては、増減共に非常に有効だ。魔法 を使う魔物に対してもである。 ナディトは“力勢操作”のスキルだ。一定時間、力を高めるという。相手の力も下げる事も 可能だ。サイジアの魔力とは真逆になるだろう。魔勢操作が魔法攻撃を使う者に有効なのに 対し、力勢操作は物理攻撃を使う者に有効だ。異世界では特に効果があると思われる。 エルフィは“速勢操作”のスキルである。一定時間、素速さを高めるという。当然、相手の 素速さも下げられる。サイジアとナディトが攻撃に関するスキルに対し、ウェイスとエルフィ は防御に関するスキルである。特に回避の問題では、かなり有用なものだ。 4人のスキルは討伐などの戦いには打って付けだ。4人で1つのチームだと断言できる。 同時に彼らのスキルを伺うと、やはり地球の彼らを彷彿とさせてくる。名前も属性も、ほぼ 同じ感じなのだ。これには、ただただ驚くしかない。 ここにリドネイのスキルが合わさると、途轍もない事になりそうだ・・・。しかし、どんな スキルがあろうが、決して油断は禁物である。 ともあれ、目の前の彼らと出逢えた事に、心から感謝するしかない。その切っ掛けを作って くれた、創生者のティルネア。彼女に心から感謝している・・・。 この後、俺達は街の武器屋へと足を運んだ。目的は防御面の強化である。4人に伺った所、 盾などは武器の扱いとなるらしい。 彼らの方は、全員が盾を所持していなかったので、この際持って貰う事にした。それなりの 獲物を持たねば意味がないため、ここは借金をしてでも買い求める必要がある。 とにもかくにも、生命重視なのは言うまでもない。それに、例え借金を背負ったとしても、 無事勝ち進めれば返却も可能だ。先行投資と思っておけば問題ない。 武器屋に関しては、冒険者ギルドの裏手に存在した。防具屋に道具屋も並んでいる。初心者 の冒険者に対して、物品を一括して購入できる事を踏まえた配置らしい。 冒険者ギルドを出てから数分後、目的地の武器屋へと辿り着いた。 武器屋へと入店すると、所狭しと飾られている武器が目に飛び込んでくる。剣・大剣・槍・ 斧・弓矢・杖などなど。鈍器や特大剣などもあり、冒険者の特性に合った獲物が選べるようで ある。 と言うか、特大剣の大きさには度肝を抜かされた。俺の背丈以上の獲物だ。両手で持つ事は 必須とされ、とても盾を持つ事はできなさそうだ。 まあ恐らく、超幅広の刃が盾と同じ扱いに振る舞えると思われる。流石に圧し折れる事は ないとは思うが、油断は禁物だろうな。 武器屋店主「いらっしゃい、入り用で?」 ミスターT「お初にお目に掛かる。盾を探していてな、良いのはあるか?」 俺達が入店した後、カウンターに座る厳つい格好の男性が語り掛けてきた。正にオヤジ的な 風格である。顔に無数の傷がある事から、彼も戦場で戦った経験があるのだろう。 入店目的を店主に話すと、そちらの方へと案内してくれた。ぶっきらぼうに見えるも、実は 切実な応対を心懸けてくれた。本当に感謝に堪えない。 盾が置かれたスペースに辿り着くと、その種類の多さに驚かされた。小型の盾から普通の盾 が主流で、俺の身丈に近い大型の盾まである。先の特大剣に近い様相だ。 流石は防御に重点を置いた獲物である。特に大盾は防御面では最強クラスだろう。問題は、 やはり持ち上げられるかどうかだが・・・。 リドネイ「マスター、どれを選べばよろしいでしょうか?」 ミスターT「んー・・・お前さんが問題なく扱えるのが無難だが・・・。」 悩ましそうに盾を見入る。リドネイの体格からすれば、大盾より小さく、普通の盾よりも 大きい盾でも問題なさそうだ。しかしここは、彼女の機動力を活かせる普通の盾が無難か。 先程の日本刀を振り回す姿からして、機動力を発揮する戦闘を得意としている事が窺えた。 確かに扱えるのなら、防御面で優れている大盾の方が有利だ。だが、彼女には聊か不利になる のは言うまでもない。 逆に俺の場合なら、ドッカリと腰を据えて待ち構える戦い方が得意な方だ。ティルネア直伝 たる回復治癒支援魔法、これを使える場を作れるなら大盾が遥かに有用である。 武器屋店主「嬢ちゃんの身丈を踏まえれば・・・これが良いだろうな。」 リドネイ「ふむふむ・・・。」 近場の普通の盾を持ち、それをリドネイの左腕に合わせる店主。彼女の左腕全体を覆う程の 大きさだ。試しに持たせて貰ったが、何と重さの方は日本刀と同じぐらいだった。見事に予想 を覆されてしまう。 何でもこの盾は、集中防御型を取る形式らしく、盾の中心が非常に分厚い。その他の周りは 薄くする事により、重量を抑えているのだとか。 そもそも、盾の淵で致死性を孕んだ一撃を受け止めるのは、自殺行為にも程がある。盾は 中心の装甲が厚い箇所で受け止めてこそ、真価を発揮するのだから。 それを度外視した作りをしているのが、俺が持とうとしている大盾である。 後半2へと続く。 |
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