アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝8
〜覆面の探索者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝8 〜覆面の探索者〜
    〜第1部・第13話 新天地へ6〜
ルビナ「お帰りなさい。」
ミスT「ああ、ただいま。今までありがとな。」
    小型船舶からレプリカ大和へと乗り込むと、甲板にてルビナに出迎えられた。エリシェと
   ラフィナが支援攻撃に出向いたため、同艦の指揮を取っていたとの事だ。帽子こそ被ってない
   のだが、十分艦長の風格を醸し出している。
ミスT「そう言えば、新天地への距離はどのぐらいなんだ?」
ルビナ「大凡50kmですね。そこそこ長旅になるので、到着までお待ち下さいな。」
ミスT「50kmか・・・。」
   通常大陸から離脱したレプリカ大和。甲板から現地を見ながら一服をする。結構な距離だと
   思いつつ、色々な思いが脳裏を過ぎった。

    先程まで交戦を繰り広げていた場所から、北西に進んだ所に召喚された。あれから数ヶ月が
   経過している。あっと言う間の出来事のようだ。

    最初はソロ行動かと思ったが、早々に妹達10人と出逢う。後に先発隊として、ミツキTが
   精神体で到来した。その後は今までの流れとなる。こちらに来る事は厳しいとされながらも、
   今では身内の大多数や巨大兵装すらも運べるようになっている。

    異世界惑星のパワーバランスを崩しかねない俺達だが、助けを求める声があるのなら、如何
   なる手段を投じようが手を差し伸べるべきだ。それが警護者の生き様である。

エリシェ「マスター、まだ安心はできませんよ。新天地に赴けば、今度は現地での生活の確保が最大
     の課題となります。3大都市の大多数の方々が到来されていますし。」
ミスT「新天地の規模はどのぐらいなんだ?」
ラフィナ「通常大陸と同程度の規模ですね。ただ、未踏査状態であるため、まだ何があるか全く以て
     不明です。ミュティナ様方が探索に乗り出してくれていますが、私達も続いた方が良いと
     思いますよ。」
    先の海賊船事変時でも分かったが、既に現地ではミュティナ達が激闘を繰り広げてくれて
   いる。シュリーベル先発隊の面々と共に、周辺の探索と生活圏の確保に乗り出していた。
ミスT「未踏査地区調査、か。」
ミツキ「ヴィク・・・むぐっ?!」
ナツミA「はいはい、“面倒は嫌いなんだ”、なのでしょう。」
ミスT「はぁ・・・。」
   久方振りに聞いた、ミツキとナツミAによるボケとツッコミ。それを見た周りの面々は、呆気
   に取られるも小さく笑っている。毎度の事のようだが、これが言わば癒しの一撃である。
ナツミA「まあでも、マスターが懸念されるのは、3大都市の移住を行った後の、要らぬイザコザが
     でないか、でしょうけど。」
ミツキ「オルドラさんも懸念してましたよ。幾ら団結力があったとしても、そこから出る個々人の
    エゴなどは避けられないとも。」
ミスT「・・・人は、歴史とは、繰り返されるもの、か。」
   甲板上ではしゃぐ幼子達を見つつ、小さくボヤいた。この子達の様に、純粋無垢に過ごす事が
   できるのなら、要らぬ争いなど消え失せるのだが、これも人間の業病たるものだろうな。

ラフィナ「そこで、私的に考えたプランは、魔王イザリア様を主とした新国家の樹立です。」
ミスT「・・・お前さんはそれで良いのか?」
イザリア「はい。私達宇宙種族の概念は、全ての生命の安穏を勝ち取る事です。それに一役買えるの
     なら、喜んで担わせて頂きます。」
エリシェ「現地ではイザデラ様とイザネア様が指揮を取っていらっしゃいますよ。」
ミスT「・・・オルドラさんの義理の娘イザネアさんと、大魔王イザデラさんか・・・。」
    何ともまあ・・・。俺がリューヴィスなどで行動をしている最中に、既に裏の方で色々と
   行動をしていたようだ。イザリアの姉イザデラと妹イザネアを召喚していたとは。
イザリア「私達の寿命からして、長期政権になるのは間違いありません。ですが、今の世上に憎まれ
     ようが、後の世上が住み易い場になるのなら、悪役だろうが憎まれ役だろうが何でも担う
     覚悟ですよ。」
ミスT「はぁ・・・魔王が聖王に化けた瞬間だわな・・・。」
   デュネセア一族の姉妹、イザリア・イザデラ・イザネア。異世界惑星での魔王・大魔王・魔女
   として君臨していた3人が、次の役割は聖王・大聖王・聖女という感じになる、だな。人は
   何処でどう化けるか分からないものだわ。

ミスT「まあ、お前さん達が決めたのなら、その生き様を貫き続けるといい。俺は、お前さん達に
    降り掛かる災厄を、全て払い除ける剣盾となろう。それに、次は国家間抗争になるしな。」
    再び通常大陸を向きつつ、吐き捨てるようにボヤいた。通常大陸が王城の支配で固まるので
   あれば、次は他の大陸への進出となるだろう。海賊共と結託したのが良い例だわ。それに、
   デハラードの地下に眠る、宇宙船がカギとなるだろう。
ミスT「イザリアさんや、デハラード以外に眠る宇宙船は何処にある?」
イザリア「魔大陸に1隻と、新大陸に1隻です。」
ミスT「はぁ・・・嫌な分布だなこりゃ・・・。」
   彼女の発言をして、予想はしていたが、嫌な流れになりそうな気がしてならない。

    デハラードの宇宙船は大都会の目と鼻の先にあるが、運用方法が分からない現状、それが
   脅威となるのは先になる。魔大陸の宇宙船と、新大陸の宇宙船も同じだろう。むしろ、3隻の
   所有者となる姉妹の力があれば、直ぐに稼動は可能と思える。

    今後考えられるのは、魔力や魔法による宇宙船の強制的な稼動だろう。デハラードの宇宙船
   が真っ先に使われると思われる。その次が魔大陸だ。新大陸の方は、俺達がいるという事を
   踏まえて、最後になるのは間違いない。

    規模の面もヘシュナの戦闘宇宙船と同等らしく、直径20kmを超える巨大な宇宙船だ。
   大都会の直径が10kmなので、丁度同都市を覆い尽くす規模である。火力も相当なもので、
   顕著なのがレールガンだろう。エネルギータイプの場合は、異世界惑星を一撃で破壊する力を
   秘めている。

ミスT「ルビナさんや、宇宙船の最大出力のエネルギーレールガンを、バリアとシールドの防御機構
    で防ぐ事は可能か?」
ルビナ「朝飯前ですよ。そもそも、あの黒いモヤ事変で、同モヤすらも覆い尽くして封じ込めたの
    ですからね。スーパーレールガン、ハイパーレールガンの最大火力でも貫通できません。」
ミスT「・・・一応、デハラードの宇宙船への対策は可能だな。」
    恐ろしいとしか言い様がない・・・。もはや規模が人知を超えた様相である。魔力や魔法の
   概念すらも通用しない超絶的なレベルだ。地球では使われる事はなかったが、この異世界惑星
   の仕様からすれば、確実に使われるのは目に見えてくる。
ミツキ「人知を超えた最強難度、ワンフェッショナルわぅ。」
ナツミA「皮肉だけど、今の様相に当てはまる感じよね。」
ミツキ「どんな状況だろうが、やる事は同じなのだよ。」
ナツミA「フフッ、その通りよね。」
   珍しく、ボケのままでマトモな事を語るミツキ。それに感心しながら頷くナツミA。意外な
   言動に呆気に取られるも、笑いに繋げるのがミツキ流の生き様だろうな。
ミスT「まあ、諸々は分かった。今は新大陸の方を何とかしよう。」
ミツキ「新大陸をワンコ帝国と命名する!」
ナツミA「ニャンコ帝国は?」
ミツキ「お前をモッフモフのモフモフにしてやろうか?!」
ナツミA「王様は某悪魔閣下かしら。」
ミツキ「フハハハハッ! 怖かろう!」
   ・・・最後はボケとツッコミで締められた。今度は普通に笑う周りの面々。通例的なものに
   なるだろうか。何ともまあ・・・。

    ともあれ、今は新大陸に向けるべきだろう。他にも課題は山積みだが、何とか攻略していく
   しかない。調停者と裁定者の役割は、本当に気苦労が絶えないわ・・・。

    そんな考えを巡らせつつも、レプリカ大和は大海原を進む。異世界惑星でも、その勇姿は
   十分際立っていた。むしろ、異世界惑星だからこそ際立つのかも知れないな。警護者専用の
   ガンシップ、総意の懐刀として活躍してくれているのだ。感謝に堪えない。

    戦いは、まだ始まったばかりだと言える。今後も更に気を引き締めねば・・・。

    第14話へ続く。

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