アルティメット エキサイティングファイターズ 外伝8 〜覆面の探索者〜 |
アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝8 〜覆面の探索者〜 〜第1部・第13話 新天地へ4〜 ナッツ「とりあえず、ここには用はなさそうだし、新大陸の方に・・・って、これですか。」 ミスT「はぁ・・・待ち構えていた感じか。」 誰よりも現状を把握しだす4人。直感と洞察力が優れている事から、迫り来る脅威に敏感に 反応したようである。 それは、王城の方から現れる複数の人物達。制服姿でいる事からか、何らかの組織だと推測 できる。しかし、その表情はとてもまともな人物とは思えない。過去の軍服黒服事変を彷彿と させる様相だ。 そして、相手が何を目的としているのかが即座に読めた。それを感じ取った四天王は、態と らしく14人の女性陣を守るように展開していく。そう、無意識的な感じでの展開だ。 ミスT「・・・それで、何用でしょうか?」 制服男1「勇者エメリナ一行と冒険者ネルビア一行だな、王城まで同行してもらう。」 ミスT「用事があるなら、直接お伺いにくればよろしいかと、そうじゃありませんか?」 態とらしく女性言葉で話すためか、それを窺った身内は笑いを堪えている。対する制服共は 苛立ちを隠せない。本当に軍服黒服事変を思いだすわ。 制服男2「こちらの要求に従わないのであれば、この場で行うのみだ。穏便に進めたいがために、 王城までご足労と思ったのだがな。」 ミスT「ほむ・・・。」 制服男の言葉で全てを察知した。それは妹達以外に、イザリアや四天王も同じ様子のようだ。 ここはあえて、その挑発に乗ってみる事にする。すると、その流れで行けと雰囲気で語って くる周りの面々。 ミスT「・・・よろしいでしょう、この場でお伺いしましょうか。」 制服男1「いい度胸だな、ならばこの場で執り行うとする。」 そう言いつつ、懐から資料を取り出す。丁寧に折られている所を見ると、それが重要な書類で あると思わせる。まあ、内容は重々承知済みだが。 制服男1「勇者エメリナ・騎士フューリス・賢者テューシャ。現時刻を以て、貴様等に与えられた 啓示を無効とする! 冒険者ネルビア一行。同じく現時刻を以て、冒険者ライセンスを 剥奪する!」 どうだ、と言いたげに公表する制服男。公衆の面前での告知とあり、かなりのダメージを 与えるものだと踏んだのだろう。しかし、周辺の住人は意にも留めず、更に妹達は何食わぬ 表情で棒立ちをしている。その様相を見て、態とらしく大笑いしてみた。 制服男2「王城の告知に、血迷ったみたいだな。」 ミスT「ハハッ、悪い悪い。そんな紙切れの馬鹿げた内容に、呆れて笑ってしまったわ。それにな、 大変申し訳ないが、それらは必ず来るものだと数ヶ月前から推測済みだったんだよね。」 制服男1「な・・何だと・・・。」 ネルビア「冒険者ライセンスの剥奪ですが、正直あってもなくても良かったのですよね。お姉様が ボヤかれていた通り、無駄な機構だと思っていましたし。」 エメリナ「啓示の一件も、正直重苦しいにも程がありましたよ。そもそも、勇者の概念とは、啓示で 得られるものではなく、勇ましい者にこそ与えられる称号。王城如き悪の巣窟が独占して 良いものではありません。」 制服男2「貴様等・・・王城を侮辱するとは、極刑に値する!」 言うか否か、護身用の剣を抜き襲い掛かって来る。案の定の展開に呆れ返るが、それを攻撃と 判断した四天王が即座に動き出した。 相手の剣を素手で受け止め、そのまま喉元にラリアットを放つナッツ。見事なまでの一撃 により、制服男は吹き飛んでいった。腕力の問題なら、俺よりも四天王の方が遥かにある。 この一撃が全てを物語っているわな。 ちなみに、四天王も俺と同じ各種ペンダントを持っている。そのため、各能力が常時発揮 されている。素手で剣を受け止めたのは、バリアとシールドの防御機構が働いているためだ。 仮になくても、彼らの腕前なら問題なく遣って退けるだろう。 ナッツ「君、それはDQだよ。」 エンルイ「やり合うなら、武器無しの肉弾戦と参りましょうか。」 制服男1「おのれ・・・この場で全員処刑せよ!」 ミスT「はぁ・・・お前さん方、お任せしますの。」 相手の実直な言動に、心の底から呆れ返るしかない。悪党の見本的な言動だ。それに態と らしく一任するとボヤくと、瞳を怪しく輝かせて大暴れしだす四天王。ナッツとエンルイを 筆頭に、サイバーとウエストが続いていった。 その後はもう、喧嘩大乱闘状態だった。相手が武器を持とうが、お構いなしに殴りや蹴りを 放って一蹴していく。その様相に感化された妹達が、同じく肉弾戦を演じだしていくのだ。 イザリア「あー・・・何と言うか・・・。」 ミスT「武器と魔法を中心とする戦いのお前さんには、理解できない概念だろうな。」 徐に一服しながら、大乱闘を繰り広げる面々を見守った。その様相に呆然とするイザリア。 魔王の彼女からしたら、絶対に有り得ない戦い方だろう。見た目は普通の喧嘩なのだから。 ミスT「地球でも最後の方は、重火器を使うより肉弾戦の方が多かった。プロレス好きの身内には 堪らない様相らしい。俺も同じだが、付け入る隙すらないし。」 イザリア「アハハッ・・・。」 呆れ顔の彼女に、苦笑いを浮かべる。この喧嘩大乱闘状態になると、相手が完全に倒れるまで 戦いを止めない。急所を除いた一撃を放ち捲くるため、相手を殺す事がほぼないに等しいのも ある。完全に憂さ晴らしそのものだわ。 そして、喧嘩大乱闘ながらも、華麗なる攻撃を見た大都会の住人達。その様相に魅入られた のか、立ち見しだす面々が後を立たなくなっていた。仕舞いには、身内側を応援するまでに 至っている。 大都会の住人から、覇気がなくなっていた事は気にしていた。しかし、この声援やら応援を 窺うと、王城側の圧力が強かった証拠だろう。となると、後で手痛い竹箆返しが来るかと心配 になるが。 どれぐらい経っただろう。完全にノックアウト状態の制服共。何とか立ち上がり、一言も 発する事なく王城の方へと引き上げて行く。実に哀れ極まりない。 逆に、四天王や妹達は清々しい表情で仁王立ちを続けている。最後まで相手を威圧する事を 忘れていない。これは四天王が何度も行う戦術の1つで、雰囲気で威圧すると言っている。 ナツミAやミツキも同じ事をしているため、流石は彼女達の四天王だと思わざろう得ない。 ウエスト「お嬢さん方、やりますな。」 カネッド「いやいや〜、兄貴方には敵いませぬ。」 ダリネム「ミスTさんよりも凄腕ですよ。」 ミスT「はぁ・・・。」 率先垂範で動く4人に、羨望の眼差しを向ける妹達。四天王の真骨頂は肉弾戦なので、今の 大乱闘は真価を発揮した戦い方である。それに見事なまでに魅入られた妹達だろう。 サイバー「でも、マスターも肉弾戦の方が得意なんですけどね。」 アーシスト「ご存知ですよ。ただ、皆さんの方が清々しいと言うか何と言うか。」 ミスT「4人は近接戦術が得意だからね。肉弾戦もそれだが、獲物を使った動きも同じよ。」 キャイス「武器も使われるのですか・・・。」 呆気に取られる彼女に、ニヤリと笑いながら携帯武器を展開する四天王。 ウエストは携帯双矛、サイバーは携帯迅雷剣、ナッツは携帯偃月刀、エンルイは携帯双剣。 どれも某ゲームに登場する獲物群の模造品である。またサイバーの獲物は、エリシェの獲物と 同じだ。戦術だけは異なるが、それは個性と挙げても問題はあるまい。 メラエア「何か、ミスTさんが持つ武器と同じ感じですね。」 ナッツ「元ネタは全く同じですからね。」 エンルイ「俺達も同じ作品に魅入られて、これら武器を作りましたし。」 ルマリネ「何だか凄いですね。」 羨望の眼差しは続く。今までの身内は女性陣だったため、同性としての目線だった。だが、 四天王は男性だ。異性としての目線になるため、羨望の眼差しとなるのだろう。また、盟友 たる彼らが憧れられるのを見て、俺の方も嬉しくなってくる。 ミスT「しかし、公に啓示の無効とライセンスの剥奪か。何時かはやるとは思っていたが。」 ファイサ「前は拘っていましたが、今はもうそんな制度など眼中になしですよ。」 アクリス「貴方がランク制度を嫌っていた理由を、今ほど痛感する時はありません。」 ミスT「所詮は上辺だけの判断材料、無駄な制度そのものだしな。」 徐に一服しながらボヤくと、何と四天王も一服しだした。煙草を吸う姿は滅多に見ないため、 非常に珍しいとしか言い様がない。 ウエスト「ああ、これですか。エリシェ嬢やラフィナ嬢と同じく、ストレスが溜まった時にしか。」 サイバー「ナツミAさんとミツキさんも、偶に吸ったりしてましたよ。」 ミスT「ええっ・・・大丈夫なのか・・・。」 驚愕の事実を知らされた。ナツミAとミツキも、ストレスが溜まった時は喫煙をするとの事。 全く見た事がないので、これは姉妹と非常に親しい間柄の4人だからこその情報だろうな。 ナッツ「さて、これで大都会イベントは終わったので、新天地へと向かいますか。」 ミスT「イベントねぇ・・・。」 エンルイ「そう考えた方が気が楽ですよ。」 ジェイニー「フフッ、本当ですよね。」 すっかり意気投合する4人と妹達。プロレス技を織り交ぜた肉弾戦、この流れで共闘する 人物は必ず意気投合しだすジンクスがある。トラガンの女性陣も、こうして意気投合したと 言っていた。不思議なものである。 制服共が見えなくなるまで、その場で仁王立ちを続ける面々。その間も雑談を繰り返す。 満を持して異世界に到来した4人にとっては、これらの出来事に歓喜している様子だった。 後半1へと続く。 |
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