アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝8
〜覆面の探索者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝8 〜覆面の探索者〜
    〜第1部・第12話 海上対決4〜
シルフィア(ありゃりゃ・・・そう来るのか。)
スミエ(横槍と言うより、侵攻そのものですよね。)
    意識を屋上へと戻し、周辺の警戒に当たろうとした時、王城潜入中の2人から念話が入る。
   今では念話の規模が濃密化しており、2人が見た内容が俺達全員に伝わってくる。

    その内容は、王城から出撃した部隊が、再びリューヴィスに向かったというものだった。
   更には海賊の大船団が、今はまだ新大陸で居留地状態の場所に向かった事。そして、造船都市
   への侵攻である。

カネッド(マジかよ・・・また来やがるのか。)
ダリネム(あの連中も懲りないねぇ・・・。)
キャイス(面白いっすよ、迎え撃ってやりますぜ!)
    内容を窺い、一気盛んに燃え上がる妹達。リューヴィスには今もミツキとナツミA、それに
   サラとセラ率いるトラガンチーム、ミツキT達メカドッグ部隊も駐留中なので、戦力的に全く
   問題ない。
エメリナ(今回は海上からの襲撃はなさそうですね。アルドディーレの冒険者達だけで、十分退け
     られる感じでしょうか。)
ウインド(空中と海上以外の防備は磐石のようなので、1箇所の壁門だけに集中すれば問題ないと
     思います。)
ダークH(そのプランで参りましょうか、市長様に提示してきます。)
   早速行動を開始するウインドとダークH。自前のカリスマ性は、同都市の自警団を虜にする
   には十分だったらしく、今ではオブザーバー的に活動を繰り広げている。流石は現役の警察庁
   長官だわ。
ミスターT(デュヴィジェさんや、アルドディーレの北側にレプリカ伊400を待機させてくれ。
      不測の事態の対処を頼む。)
デュヴィジェ(了解!)
ミスターT(となると、問題は新大陸側か。レプリカ大和だけで大丈夫か?)
ルビナ(この兵装を以てしても、相手に圧倒されるとでも? それは見縊られたものですよ。)
エリシェ(この海域より新大陸へは、絶対に上陸なんかさせませんよ。)
ラフィナ(あ・・忘れてました、エリミナ様方もお呼びしていたんですけど?)
ミスターT(ハリアーU改部隊か・・・。)
   テヘペロ状態のラフィナはさておき、何とエリミナ達航空団も呼んでいたらしい。

    レプリカ大和とレプリカ伊400には、通常のレシプロ型の航空機は搭載されておらず、
   近代兵器のハリアーU改が格納されている。レプリカ大和の方は5機、レプリカ伊400の
   方は2機である。

    既存兵装のF−35ライトニングUよりは遥かに弱いが、5大宇宙種族のテクノロジーで
   超強化されたハリアーU改だ。その実力はもう、話にならないぐらいの凄まじい領域に至る。
   それに、同機には小型のレールガンも搭載されている。恐ろしいとしか言い様がない。

ミスターT(取り囲まれそうだったら、エリミナさん達に出撃指令を頼む。)
ラフィナ(何時でもスタンバってるそうです、はい。)
ミスターT(はぁ・・・そうですか・・・。)
    何時でも出撃が可能だと豪語するラフィナ。とにかく呆れるしかないが、今は不測の事態
   への対策が必要だ。この様相なら、レプリカ大和群だけで問題ないだろう。
ミスターT(大都会の方はどうだ?)
ヘシュナ(あー、至って平和でござる。)
ナセリス(皆様方、何事もないかの様にいらっしゃいますよ。)
ミスターT(当事者だと言うのに、平和ボケは恐ろしいわな・・・。)
   不服そうにボヤく2人だが、その内情に共感してしまう。現状は王城が取り仕切っているとも
   思えるので、同都市自体への襲撃はまずないと思える。師子身中の虫は起こらないだろう。

ミスターT(・・・さて、迎撃準備に取り掛かりますかね。)
フューリス(今回は最前線で戦わせて頂きますよ。)
エメリナ(全部任せっ切りでは失礼ですし。)
ミスターT(そうだな・・・共同戦線を張るとするか。)
    既に壁門外で待機中の3人。市長に提示をした後、ウインドとダークHも壁門外へと向かう
   姿が見られる。ここは、彼女達と共同戦線を張るのが無難だろう。
イザリア(マスター、隕石方天戟をお借りしてもよろしいですか?)
ミスターT(何だ、お前さんも方天戟マニアになりつつあるのか。)
イザリア(ええ、まあ・・・。お伺いする所、同獲物を扱う武将殿が、かなりの強者との事で。)
ミスターT(強い存在に憧れる、だな。)
   手持ちの隕石方天戟を、傍らのイザリアに手渡す。そう言えば、今まで彼女は固定の武器を
   一切持っていなかった。魔王たる存在は、殆ど魔法か肉弾戦の攻撃が多いとの事だが。
ナツミA(マスター、携帯イルカルラはありませんかね?)
ミスターT(アレを使えというのか。)
ナツミA(いえ、イザリアさんに、ですよ。斬撃よりも、その獲物の恐怖度で戦意を喪失させ、柄や
     刃以外で叩いて気絶させるとか。)
ミスターT(はぁ・・・どうなっても知らんぞ。)
   空間倉庫に格納してある、携帯イルカルラを取り出す。某ゲームの人物が使う、究極の鎌だ。
   それをイザリアに手渡した。同獲物を見た彼女の目が、一際怪しく輝いている。

    それぞれが準備を整えて、戦場へと向かっていく。今回は他方面からの同時侵攻とあり、
   相当な規模となるだろう。リューヴィスの方が気になるが、かなりの女傑達を配置している。
   問題はないとは思うが。


    酒場の屋上から地上へと降り、壁門へと向かう俺とイザリア。現地では既に戦いが始まって
   おり、敵味方入り乱れての戦闘となっている。そして、相手の人員は全てアンデットだった。
   そう、現状は誰1人として人間がいなかったのだ。

ミスターT「ついに、人間を使う事を止めたのか・・・。」
ウインド「高効率の末路ですよ。黒服軍服事変でもそうでしたが、要らぬ思考が出る人間では、兵員
     としては非効率ですからね。」
ダークH「ゾンビやスケルトンなら、ただ攻めるだけの駒としては十分発揮されますし。理に適った
     運用法ですよ。」
    携帯撃剣で切り刻み、格闘術で蹴散らして行くウインドとダークH。その合間に攻め入る
   相手を、エメリナ・フューリス・テューシャの3人が介入していく。5人の連携は目を見張る
   ものだ。
イザリア「自我を持たない魔物共なら、本気を出しても良いという事ですね。」
ミスターT「あー・・・まあ、程々にな。」
   ニヤリと微笑むと、受け取った携帯イルカルラを一閃する彼女。ギラリと怪しく輝く刃が、
   ゾンビやスケルトンを一撃の下で一刀両断していく。その隙を狙う他の魔物も、隕石方天戟
   で迎撃していく。見事なまでの二刀流である。
ミスターT「なるほど、魔力による身体強化か。でなければ、華奢なお前さんには振り回せない獲物
      だしな。」
イザリア「本当ですよ。貴方こそ、よくこんな重量武器を片手で振り回せますよ。」
ミスターT「フッ、お前さんよりも扱う年数は長いのでな。」
   彼女に迫る魔物を、携帯方天戟で蹴散らしていく。同時に空間倉庫よりマデュース改3挺を
   取り出し、人工腕部に搭載させた。最近は3挺を同時に展開できる荒業まで見せてくれる。
ウインド「それ・・・半阿修羅像な感じが・・・。」
ダークH「ついに人外レベルに到達と・・・。」
ミスターT「ふん、言ってろ、じゃじゃ馬娘達め。」
   2人の茶化しに舌打ちするも、迫り来るゾンビやスケルトンを蹴散らしていく。

    2人が言う通り、当初の人工腕部は右腕だけしか出せなかった。ところが、つい最近だが、
   四天王が3本の腕を繰り出せるようにしたタイプを考案した。1段階目は右腕のみなのだが、
   2段階目ではそれが分裂して3本の腕を出せるようになった。

    左側が左腕、中央と右側が右腕、となる。4本にすれば、左右の腕を2対にできるのだが、
   トリプルマデュース改を考慮しての3本止まりにしたらしい。これはしっかりと理由がある。
   ちなみに、ヘシュナが持つ特殊仕様は、5対の腕が出るのだが・・・。

    これは、彼女の脳波の問題で、宇宙種族特有のもの故に繰り出せるらしい。俺などの人間
   の場合は、どうやら最大で3本が限界らしいとの事。先の3本止まりという理由は、ここに
   所以する。

    背中から出た3本の人工腕部が、それぞれマデュース改搭載の大盾を構える。生身の両腕は
   ハンズフリーなので、携帯方天戟を両手で扱う事ができるが、今の俺の様相は化け物としか
   言い様がないわ。

    後半へと続く。

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