アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝8
〜覆面の探索者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝8 〜覆面の探索者〜
    〜第1部・第11話 海への対策4〜
スミエ(それでも、リューヴィス事変では、何振り構わず動かれた姿勢は見事でしたよ。幼少の頃の
    孤児院出身時は、女性の全ての痛みを即座に反応していました。当の本人が気付かない部分
    まで察していましたし。)
シルフィア(確かに。私もそれを見抜かれて、何度か助けられた事がありましたから。)
ナツミA(多分、女性を苦手となったのは、要らぬ考えが出始めた頃の自分への戒めでしょうね。
     そうでないと、意識し過ぎて参ると以前言ってましたし。)
ミスターT(前にも挙げたが、この覆面と仮面がなければ、お前さん達の超絶的な魅力に当てられ、
      野郎の意識の方が強く出ていたと思う。我欲なんざ押し殺すに限るわ。)
    吐き捨てるようにボヤく。素体の自身を踏まえると、先のリューヴィス事変での伯爵共と
   同じ様に、女性に特別な意識を抱くのは間違いない。野郎とはそういう生き物だと、28年の
   人生で痛感させられてきたしな。
カネッド(・・・何度か私達をチラ見してたのは、少なからずその意識があった訳ですか。)
ミスターT(こう見えても野郎の端くれ、我欲の部分は勘弁してやってくれ・・・。)
   この部分だけは、どうする事もできない。ちなみに、性転換ペンダントの効果で女性状態に
   なった場合でも、この意識は消す事ができない。俺自身が野郎故の、避け難い一念とも言い
   切れる。
アクリス(・・・一応安心しました。私達を異性と見てくれている部分に。)
ジェイニー(自意識過剰に聞こえると思いますが、私も少なからずアピールしていた時が・・・。)
ネルビア(ミスターTさんは、男性として出来上がっていますからね・・・。)
シルフィア(へぇ・・・羨ましい限りよね・・・。)
   改めて知る、妹達からの好奇の目線。異性として見られていた証拠である。それを窺い知った
   身内の女性陣から、恐ろしいまでの殺気に満ちた目線で睨まれた。恒例の嫉妬心である。

ミスターT(ま・・まあでも・・・女性は笑顔に限る。リューヴィスの女性陣を見て、改めて痛感
      させられた。今も地球で燻っている抗争などでも、一番被害に遭っているのは女性と
      子供だ。この異世界でも全く変わらない。)
エリシェ(そこは大いに同意します。私達大企業連合も、世上から悲惨や不幸を無くすために戦い
     続けていますからね。今は警護者の大役も両立していますけど。)
ラフィナ(マスターとお会いしていなかったら、私達が目指す誓願には、まだまだ程遠い距離だった
     と思いますよ。本当に感謝しています。)
ミスターT(・・・ますます以て、膝は折れんわな。)
    毎度ながらの原点回帰だが、それでもいい。こうして振り返る事により、大切な一念に回帰
   できる事がどれだけ重要か。ミツキ流は理、持ちつ持たれつ投げ飛ばす、である。
ミツキ(劣勢わぅか?! ふんっ、わた達がいれば、ワンコに骨付き肉わぅ!)
シルフィア(正に馬の鼻先に人参よね。)
ナツミA(ポチの場合は、眼前に茶菓子ですよ。)
ミツキ(なぬぅー?! 茶菓子を寄越せごるぅあー!)
ミスターT(はぁ・・・。)
   何ともまあ・・・。ネタに走り、生真面目会話に戻ったと思ったら、再びネタに走る・・・。
   その都度、笑いのツボを刺激され、否が応でも笑わせられるという。本当に凄い女傑だわ。

    しかし、彼女の姿勢にはとにかく見習わせられる。どんな状況であろうが、笑顔を欠かさず
   に突き進め、である。言うのは簡単なのだが、実際に実行しようとすると相当難しい。特に
   殺伐とした場であれば尚更だ。

    それを素体で、無意識レベルで繰り出す。肝っ玉が据わっていなければ、絶対に行う事は
   できないだろう。できたとしても、本当の行動とはとても思えない。

    まだまだ膝は折れない、ここに回帰して行く今日この頃である・・・。



    造船都市アルドディーレに襲来した海賊群。しかし、街の防衛が堅固であったため、直ぐに
   撃退するに至った。街へのダメージは殆どない。そして、同都市には凄腕の冒険者軍団が駐留
   している事も知った。

    何故ここに戦力が固まっているかは、北にある普通大陸こと魔大陸だ。魔王が鎮座している
   場所とあり、数多くの凄腕冒険者が討伐を画策しているらしい。まあ、魔王たるイザリアが
   ここにいる現状、取り越し苦労の何ものでもないが・・・。

    むしろ、今は王城の方が問題だろう。迎撃を終えた冒険者達や自警団員に窺ったが、俺と
   同じ考えの人物が数多くいた。その中には、王城こそが悪の根城だと言い切る人物さえいる。
   読んでいる人物は、見事なまでに読んでいると言えた。

    だが、彼らがここから動けずにいる理由も窺い知る事もできた。

アーシスト(何処からともなく現れる、海賊群が問題なのですか・・・。)
ミスターT(ここの防備なら簡単に撃退できるらしいが、魔大陸と王城まで視野に入れると、ここで
      しか迎撃できないらしい。)
ダリネム(下手に動いたら、挟撃される恐れもありますからね・・・。)
    恒例の酒場の屋上に上がり、街並みを一望しながらの念話である。それぞれの雑用をして
   いるように見せ掛けて、超広範囲会話を行っている様は見事だわ。
ミツキ(酒を上納して、手懐けるわぅ?)
ナツミA(弱みを見せたら、より一層付け込んで来るからねぇ。)
ミツキ(悩ましいわぅ。)
   ノホホン度は据え置きで、何やら食べながら語るミツキ。そして、近場が非常に騒がしい。
   今もリューヴィスにいると思われるが、何か行っている様子である。
ミツキ(ぬっ? 今はお子さん達と茶菓子パーティー中わぅ♪)
ミスターT(そ・・そうですか・・・。)
ナツミA(ポチへの懐き度は凄まじいですよ。)
   姉妹の声色からも分かるぐらい、その懐き度が半端じゃない事が窺える。念話はそれを行う
   人物を媒体とした通話になるので、胸中の一念すらも察する事ができる。俺の内情を窺って
   くる事が正にそれだ。
エリシェ(悪い意味ではありませんが、お子様方から改善していかねば、大人側の改善はできません
     からね。ミツキ様の行動は理に適っていると思います。)
ナツミA(ポチの場合は素でやってるので、私利私欲はないのですけどね。)
ラフィナ(本当に恐ろしいですよ。)
   超自然体で行動するミツキの姿に、恐怖を感じずにはいられない。それらに私利私欲はないの
   だが、適材適所的に強烈な一撃を放つため、特効薬以上の特効となっている。本当に恐ろしい
   限りである。

    後半3へと続く。

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