アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第2部・第3話 ガンシップ対宇宙船2〜
ミツキ(ぬぅぉーーーーー!!! 何じゃこりゃぁーーーーー!!!)
    海面に近くなりだした頃、突然脳裏にミツキの叫びが入ってきた。念話によるものだ。他の
   面々の痛烈な叫びも入ってくる。それだけ目の前の宇宙船が逸脱した様相だという事だわ。
ミュティナ(あら、カルダオス一族の宇宙船ですか。)
ルビナ(ここ最近見掛けないと思ったら、地球の深海に鎮座していたとは。)
ミスターT(はぁ、お前達には何だか分かるのね。)
   遅れてレプリカ伊400が海面に浮上する。既に追走していた宇宙船は空中に浮かんでおり、
   その様相がレッドノアさながらの物体であるのが痛感できた。ただし灰色のカラーリングで、
   どちらかと言うとインデペンデンス・デイの宇宙船に近い。

    驚いたのがミュティナとルビナが発した言葉だ。カルダオス一族という宇宙人の宇宙船と
   いう事らしい。先程までの戦々恐々とした様相が一変した感じか。つまり2大宇宙種族からは
   知人な間柄なのだろう。

ミスターT(これ、お前達からすればレベル差は大差ない感じか?)
ミュティナ(いえ、私達の実力を遥かに上回ります。しかも好戦的な種族ですし。)
ルビナ(確かに厳しい様相ですが、相手の素性が知れればこちらのものですよ。)
    雰囲気的に劣勢感が否めないが、全く分からない相手と対峙するよりはマシなのだろう。
   それにそれぞれが単体で対峙するには不利だろうが、両方とも組めば百人力に近い。それに
   ここなら俺達もいるしな。
ミスターT(・・・まあ何にせよ、お前達に敵対するなら俺の敵だ。容赦はせんよ。)
ナツミA(フフッ、気迫だけは強くないといけませんからね。)
ミツキ(うぉー! 最強の萌えを見せてやるわぅ!)
   この期に及んでボケを言うミツキに爆笑してしまうのは、彼女の術中にハマっている証拠か。
   いや、どんな状況であれユーモアを欠いてはダメだと戒めてくれたのだろう。存在感だけなら
   彼女に敵う相手は絶対にいないわな。

    深海から海面に浮上するも、減圧云々の問題は全くない様子。直接この目で確認するため、
   レプリカ伊400の外に出た。確かに圧倒的存在感を放つ宇宙船だわ・・・。

    直後、宇宙船側の各種砲門が動き出した。同時にレプリカ大和とレプリカ伊400も各種
   武装を展開しだす。十八番の46cm主砲や超長距離弾道ミサイルを展開していった。

    極め付けは艦首のスーパーレールガンだろう。艦首の甲板が左右に開き、そこから超巨大な
   砲身が姿を現した。高々度襲撃で使ったライフル型レールガンとは異なり、完全に実用的兵器
   と化した様相である。各種武装がそれぞれに目標を定めていった。

    と言うか、バリアやシールドの問題から意味がなさそうだが・・・。



    一触即発の状態のまま待つと、海上に投射される光線。そこから巨大なローブ姿の人物に
   変化していった。これはホログラムの類だろう。スターウォーズはパルパティーン氏が使って
   いたアレに近い。

ホログラム「・・・お前達も我々に仇となる存在か?」
ミスターT「いや何、身内が深海のその船を見つけてね。調査した結果が、今の流れになるのよ。」
ホログラム「なるほど・・・しかし。」
    ホログラムの人物がレプリカ大和の艦首を向く。そこにはミュティ・シスターズにルビナが
   おり、同じく相手を睨み返していた。
ホログラム「・・・ギガンテスにドラゴンハート。主に付いているという事は、敵対側になるという
      事だな。」
ルビナ「相変わらずの否定的発言だな。それだから進む道にいる生命体を駆逐するハメになる。」
ミュティナ「以前の大戦争後、それに懲りたと思われましたがね。」
ホログラム「あの忌々しい争いは、お前達も含めた我ら宇宙種族を利用しようとした結果だ。我々は
      何者にも屈してはならない筈だったがな。そうではないか?」
   ホログラムの人物と対峙するルビナとミュティナ。その姿からして、普段のノホホンな様相が
   全くない。宇宙人としての姿を隠さず曝け出している感じだ。そして分かるのは、お互いに
   利害一致で動けないという事だ。

ミスターT「・・・で、どうするね? 相手にギガンテス一族とドラゴンハート一族がいるから、
      大戦争を引き起こそうという魂胆か? それとも俺達を含めて、アンタの配下になれば
      見逃すと言うのが筋かい?」
ホログラム「・・・なかなかに切れる者だな。お前はそちらに付くという事だな。」
ミスターT「付くも何も、最初から相手と対話をせず敵視する阿呆は誰なんだ? それこそ愚の骨頂
      じゃないのかね。お前が幾ら偉大な種族であろうが、相手を見下している時点でこの
      2大宇宙種族には到底敵わないわな。」
    腰にぶら下げている携帯式方天画戟を取り出し展開、相手に向けて構えた。何故銃器では
   ないのかが相手に伝われば良いが。
ホログラム「・・・無粋な、その様な兵器では我らは倒せん。」
ミスターT「はぁ・・・これだから真意を見切れない阿呆は困る。目の前の獲物だけが相手を制する
      とは限らん。この場合は心の問題になるわな。」
シルフィア「そうね、心の有り様でどうにでもなるのが生命体だからね。」
   突然、俺の傍らにシルフィアとスミエが現れる。ミュセナが転送装置で直接送り込んできたの
   だろう。この2人も同じく銃器ではない獲物を持っていた。

スミエ「お久し振りですね、ヘシュナ様。」
ホログラム「・・・そちらにはスミエ様もいるのか・・・。」
スミエ「はぁ・・・相変わらず、どちらに付くかという低レベルな考えをするようで。」
    ホログラムの人物はヘシュナと言うらしい。しかもスミエと面識があるようだ。となると
   過去に共闘か敵対した感じだろう。ただ敬語になった時点で、敵対ではないのは分かる。
ヘシュナ「貴殿も言っていたではないか、最終的には対峙するしかない。言葉では伝わらない相手が
     いるのが世の常。先刻は愚物が暴れ回っていたであろうに。」
スミエ「ほむ、軍服事変は承知のようですね。むしろ傍観を決めていたと。」
ヘシュナ「要らぬ争いはしないためだ。」
ミスターT「・・・にしてはアレだ、ミュティナやルビナには敵対心剥き出しだわな。その敵対心が
      要らぬ争いを生み出す事を何故分からんかね・・・。」
   俺の言葉に黙るヘシュナ。図星のようだが、この場合は何らかの因縁があると推測できる。
   しかもそれは俺が生まれる前より続いているものだ。だからここまで敵対心を剥き出しにして
   いるのだろう。

ヘシュナ「・・・貴様は癇に障る事を言う。」
ミスターT「さっきは“お前”で、今は“貴様”と。つまり図星だな。ミュティナ達やルビナと過去
      に何があったかは分からんが、大切な家族を貶すのなら容赦はせん。それが俺の明確な
      生き様だ。」
ヘシュナ「よくぞまあ・・・。」
    明らかに相手が怒り心頭なのが伝わってくる。しかし手を出さないのは、それだけ自身に
   負い目があるからだろう。更には2大宇宙種族と地球人を敵に回す事になる。強いては恩人と
   思えるスミエをも敵に回すからだろう。
シルフィア「私は彼より感情に左右される事はしない。でもね、弟子に牙を向けるなら・・・一切
      容赦はしないわ。」
ヘシュナ「・・・師匠も師匠なら、弟子も弟子か・・・。」
シルフィア「これだから阿呆は・・・。」
   うわぁ・・・恩師の激昂モードの発動か・・・。過去に俺への暴言を言った輩に、痛烈的に
   激昂した彼女が脳裏に過ぎる。あのスミエですら恐怖に慄くぐらいの恐怖度だ。逸脱した感情
   なのは言うまでもない。

スミエ「まあ・・・とりあえず一度引きましょうか。」
ヘシュナ「・・・分かりました。数年振りに世上を見て回るとします。」
スミエ「よく見ると良いですよ。しかし・・・おいたをした場合・・・どうなるか分かっているで
    しょうね?」
ヘシュナ「・・・肝に銘じておきます。」
    う・・うわぁ・・・。スミエの恐怖度もシルフィアのそれに負けずとも劣らないわ・・・。
   怖さの概念を通り越した超絶的なものになる・・・。それに相手が恩人であれば、その恐怖度
   は承知済みだろう。怒らせたらどうなるか、と。

    ローブ姿のヘシュナのホログラムが消えると、武装を解除して静かに去っていく宇宙船。
   しかしその様相は威圧的の何ものでもない。不気味な低周波音を響かせる様は、本当にそれが
   宇宙船である事を痛感させられる。

    そこら中に展開していた無人飛行兵器郡が後を追っていく。どうやらこれらの目的は、最初
   から宇宙船のようだ。その彼らを見送りつつ、こちらも武装を解除していった。



    レプリカ伊400をレプリカ大和の船底ベイにドッキング、同艦へと移動する。宇宙船を
   追走を考えたが、要らぬ挑発を避ける意味合いで思い留まった。今はレプリカ大和の甲板で
   休憩中だ。

シルフィア「見事な啖呵だったわよ。」
ミスターT「心の有様ねぇ・・・。」
    携帯式方天画戟を磨きつつ一服する。心の有様次第で、獲物も超大化する事を思い知った。
   しかし今の現状を考えると、このガンシップだけでは荷が重い。
ルビナ「すみません、マスター。お手を煩わせてしまって。」
ミスターT「アレは俺の本音だよ。ヘシュナがどんな人物かは知らないが、強い怒りが出たのも事実
      だしな。」
ミュティナ「昔はあの様な感じではなかったのですが・・・。」
ミスターT「それ相応の苦節を経ての、歪んだ性格に至った訳だな。」
   ヘシュナの言動からして、その剥き出しの敵対心以外は超絶的なお嬢様に近い。証拠はスミエ
   への対応だ。それが形作ったものではないのは言うまでもない。
スミエ「彼女の凝り固まった心を溶かすのは、案外Tちゃんが適任でしょうね。」
シルフィア「それ、私も思いましたわ。」
ミスターT「う〜む・・・。」
   凝り固まった心、か。確かにヘシュナ自身も極悪という事ではなさそうだ。しかし実力が伴う
   だけに注意が必要なのも確かである。

ミツキ「それより気になったのが、無人飛行兵器ですよ。」
ナツミA「そうね。宇宙船が現れたと同時に攻撃を停止していた。そして去っていくのを追走して
     いたし。」
ミスターT「・・・コンタクトを取る地球人がいそうな気がするな。」
    この場合は俺達を良く思わない連中がコンタクトを取る可能性がある。ヘシュナ自身も今は
   こちらを良く思っていないだけに、利害一致と言わんばかりに手を組みそうな感じだ。
エリシェ「・・・見下されないだけの兵装は持ちましょうか?」
ミスターT「さっき言っていたアレか。」
エリシェ「はい。既に完成はしているので、後は出すだけですが。ただ、見たら必ず驚くと思われ
     ますけど。」
   不気味に微笑むエリシェ。同じくその内容を知っているラフィナも不気味に微笑んでいる。
   相手に対処できるだけの様相を示す、か。この場合は何となく読めるが・・・。
ミツキ「世界は宇宙船の出現で戦々恐々わぅね。」
ミスターT「だな。ミュティナ達やルビナ達が宇宙船を地球に持ち込まなかった理由も分かるわ。」
ナツミA「要らぬ火種は持ち込まない、ですね。」
ミスターT「右往左往は人の業、か・・・。」
   本当にそう思う。劣勢になればなるほど、徒党を組むのが地球人の悪い癖だ。特に悪党はこの
   傾向にある。俺達と敵対している面々ほど、この時ばかりに手を組むのは目に見えている。
   あの軍服連中との戦いが良い例だわ。

    ともあれ、今後は今よりも激戦になるのは言うまでもない。それに力がなければ虐げられる
   のも事実。ここは以前、エリシェが持ち掛けていたプランを実行して貰う事にした。

    後半へと続く。

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