アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第3部・第02話 戦艦と戦闘艦3〜
    恐怖の暴君が成りを潜め、逆に覆面の風来坊が戻って来た事に世上は混乱しだしている。
   どうやら俺が恐怖の暴君を演じている間、覆面の風来坊の存在を驚異的なまでに高めてくれて
   いたようだ。その発案者はデュリシラである。

    ただ身内関連は俺の存在を承知済みなので、普通に戻ってきた事に沸いているのみである。
   部外者の面々のみ戦々恐々しだしているだけだ。所詮は烏合の衆そのものだわな。

    ともあれ、ガードラント一族と防衛省がどう出るか分からない。必要以上の力を持った存在
   が暴走するのは世の常だ。今後も警視し続ける必要がある。

    ・・・警視か、まるで警視庁・警察庁だわな。この場合は警護警視庁か警護警察庁だな。
   烏滸がましい感じだが、それで世上が安寧に繋がるなら喜んで担ってやるわ。

ミスターT「・・・・・。」
    喫茶店のカウンター奥で物思いに耽る。ペンダント効果が最大限発揮されているからか、
   世上の様相が薄っすらと読めるようになってきたのだ。これはギガンテス一族の十八番で、
   ミュセナやミュティナが得意としている業物である。彼女達の様な力は出せないが、それでも
   地球人としては逸脱した能力になるだろう。
シューム「やっぱその姿の方が見てて落ち着くわね。」
ミスターT「ハハッ、確かにね。ただデュリシラのお陰で、今じゃ内外問わず本当の恐怖の暴君に
      なっちまってるし。」
シューム「こちら側は君の事は承知済みだからいいけど、外部の方だと相当恐怖に慄いている感じに
     なってるみたいね。」
ミスターT「一体何を言ってきたのやら・・・。」
   本当にそう思う。今じゃ覆面の風来坊と覆面の警護者の事は、触れてはならないタブーな事と
   化している。ただそれは外部の部外者だけであり、内部の身内の面々には何時も通りの感じに
   なっている。この半年間で相当なハッタリを言い続けていたようだ。
ミスターT「ナツミツキ姉妹は当面ティエラとエシェムFの修行相手になるよ。あとトラガンから
      精鋭中の精鋭が警護と共闘を担って貰っている。」
シューム「ある意味、シルフィアさんやスミエ様を超えるからね。あの万能戦闘戦術を使えるのは、
     彼女達と君ぐらいなものよ。」
ミスターT「特に力の出し加減の触りだわな。会得すれば全てにおいて無敵の存在になれる。」
   ナツミAが十八番の力の出し加減の触り。今ではミツキもかなり繰り出せるようになっている
   との事。シルフィアやスミエはある程度はできるとの事だが、2人とも俺の方が姉妹に次ぐ
   実力の持ち主だと豪語していた。

    力の出し加減の触りは、実際には何ら難しくないものだ。力が出るのと相手への流れの連携
   というものになる。ただし、その繋がるタイミングは刹那の一瞬以上のものだ。俺も実際に
   何度も繰り出しているが、本家本元のナツミAには足元にも及ばない。

    そもそも、この概念は生死の境を彷徨った人物でしか至れないと言う。ナツミAは彼女達と
   出会う前は生死の境を彷徨い続けていた。今でこそあそこまで意気健康だが、それ以前は明日
   も分からぬというぐらい病弱だったのだ。本当に助かって良かったわ。

    その流れがあってか、ナツミAの戦闘力は恐らくシルフィアやスミエを遥かに超えている。
   総合的な力は劣っていたとしても、瞬発的に出せる力は雲泥の差だ。ここはミツキも全く同じ
   力を持っているのを実際にこの目で見た。姉妹揃って最強の万能戦闘戦術の力を持っている。
   この姉妹に腕相撲で勝とうと思うのは無謀にも程があるわな。

    全てにおいてあの姉妹は逸脱している。そして同じ気質のシルフィアとスミエもしかり。
   むしろその彼女達を守り通す事こそが、警護者の本質に回帰するのかも知れない。

ミスターT「・・・あの2人になら生命を捧げてもいい。全ておいてのプラスの要因だ。」
シューム「フフッ、本当よね。君がそこまで言うぐらいに、2人の存在はプラスの要因そのもの。
     人として自然と回帰する先・・・いえ、出せる力と言うかな。それを体現している。」
ミスターT「本当だわ。しかもその概念は俺達と何ら変わらない。俺達の中にも同じそれがある。
      個にして全、全にして個。膝なんか折ってなるものか。」
    何度も思う回帰先。人としての当たり前の一念に帰結できるのは、本当に幸せそのものだ。
   前にも言ったが、戒めてくれる存在の欠落ほど怖ろしいものはない。そして忘却ほど怖ろしい
   ものもない。ただそれらは人として自然と当たり前の行動に帰結する。難しい事をするとかと
   いうものでもないのだ。
ミスターT「・・・お前さんに感謝してるよ。常日頃から俺や周りを補佐し続けてくれている。本当
      に感謝に堪えない。」
シューム「フフッ、ありがと。でもまだまだ道半ばよ。全てが終わらない限り安寧はない。むしろ
     永遠に終わりなき道を突き進む感じだけどね。」
ミスターT「そうだな。」
   警護者の道とは警護者を倒す事で終焉となる。それ即ち世界の安寧を勝ち取るまでのものだ。
   つまり終わりなき道を突き進む事にも帰結する。この世上から悲惨や不幸・孤児と言った概念
   を消していくまで、俺達の戦いは終わらない。


シューム「ところで、レプリカ大和とレプリカ伊400の量産を決めたとか?」
ミスターT「そうらしい。できる限り抑えたかったみたいだが。」
    今度は俺がエプロン姿で厨房に立ち、シュームはカウンターで一服している。俺もかなり
   前に調理師免許を取ったので、手料理を振舞う事も可能だ。まあ他の女性陣の秀逸な逸品には
   到底及ばないが。その中で彼女から語られるのは、先刻のガンシップの量産の件だ。
シューム「転送装置の応用で、全くクリソツな獲物を実現できるとか。」
ミスターT「物理の法則を無視してもいるわ。仮にそのコピーできる図面はオリジナルから至ると
      しても、実際に同様の物質がなければ構築できない。」
シューム「でもそこが宇宙種族のテクノロジーよね。実際に具現化できていると。先の大量の無人
     兵器群が証拠だったし。」
ミスターT「常識が一切通用しない世界だわな。」
   お客さんのオーダーを作りながら思う。実際に複製となると同じ代物の物質が必要になる。
   しかし今までの流れを考えると、どうやら完全にコピーが可能らしい。物理の法則を無視した
   逸脱した手法だ。
ミスターT「まあ難しい部分は専門家に任せればいい。俺達は各々の使命を全うするのみよ。」
シューム「本当よね。今はそれしかできないし。警護者としての道を貫き続けるのみね。」
ミスターT「前途多難、四苦八苦だわな。ほい、完成したよ。」
シューム「OK。」
   完成したオーダーをカウンターに置くと、トレイに載せてお客さんに運んでいくシューム。
   何度も言うが、この喫茶店はそれぞれが独自に役割を担っている感じだ。お互いに全ての行動
   ができるため隙がない。正にジェネラリストである。

    そう言えば何時の頃から喫茶店業務に動き出したのか。何時の間にかこの道に進んでいた。
   クライアントさんが来訪し、対面している時に色々と対処し易いようにとしたのが喫茶店に
   なった。自然的な流れである。

    今ではこの生活が一番シックリきている。全てが終われば、この流れで余生を過ごしたい。
   まあ他にもやる事は数多い。あくまでも息抜きという形での喫茶店業務になるからな。来店
   されるお客さんには大変失礼だろうが、警護者の道が俺の全てである。

    中半3へと続く。

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