アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第2部・第11話 最終話・再来する集団3〜
    その後も雑談をしながら過ごしていると、空間の歪みを感じ取れた。それに気付いた身内、
   特に3大宇宙種族の面々は即座に各種能力を発動。この場にバリアとシールドを張ったのだ。
   直後、爆発と共に無人兵器群が出現。今回も歩兵軍団である。

    既にコミケの会場には、前もってこれが起こり得ると宣言していた。ヲタクの面々もそれを
   承知でこの場に集っているとも言う。前回のような大混乱はせず、自発的に近場の建物に避難
   して行った。それだけ俺達の存在を認知してくれている証拠である。

    また前回は完全に不意の襲撃だったため準備不足だった。後に駆け付けてくれたトラガンの
   面々が武装を運送、それらを使って対応に走った。だが今回は全て前もって準備を済ませて
   いる。一部の軽武装をしている面々が注意を引き、その間に他の面々は駐車場にある倉庫車両
   へと向かって行った。

ミスT「準備をするかしないかでは雲泥の差だな。」
エリシェ「ですねぇ。」
    ベヨネッタ嬢の衣装でマデュースを操るエリシェ。劇中のベヨネッタ嬢は各種兵装だが、
   このスタイルも非常に乙である。対する俺は借り物であるコスチュームに穴を空ける訳には
   いかず、人工腕部を起動させない状態でのダブルパニッシャーである。ちなみにメーテル嬢の
   衣服は喪服との事だが、それに紫色のパニッシャーを装備とは化け物だわ。
ラフィナ「その姿、初回登場時のエレンディラさんみたいですね。」
エリシェ「あー、トライガン・マキシマムの彼ですね。実際にはシルフィア様と同じ、杭打ち機構
     搭載のアタッシュケースですけど。」
ミスT「ラフィナのスタイルも十分化け物だがの。」
   本当にそう思う。エリシェがマデュースを扱う姿を更に超越していた。ナツミツキ四天王の
   リーダー格のウエストが装備、ガトリングガンである。しかも彼が装備しているのより口径が
   デカいのだ。
ミスT「それ、サンダーボルト搭載の20mmガトリングガンか?」
ラフィナ「いえ、特注の30mmガトリングガンです。20mm時より射撃間隔は短いですが、威力
     は数倍に跳ね上がりますので。」
ミスT「そりゃあねぇ・・・。実戦兵器での30mmはシュヴァルヴェぐらいだろう。」
エリシェ「あー、第2次大戦時はドイツの世界初の実用ジェット戦闘機ですね。機首に30mmの
     機関砲を4門搭載していましたし。」
ミスT「まああっちは機関銃じゃなく機関砲だがね。」
   第2次大戦時のドイツの世界初のジェット戦闘機、メッサーシュミットMe262。ジェット
   エンジンを両翼に各1基搭載しており、800km以上を叩き出せる化け物である。当時の
   レシプロ戦闘機で最強クラスのマスタングはD型でも700km前後、それ以上の速度だ。

ミスT「文献で見たが、Me262は離陸時と着陸時に難がある戦闘機だったな。最高出力は直線
    コースであり、Bf109がそれだったのと同じだ。一撃離脱戦法こそ真骨頂とも言える。
    その同機を離陸時と着陸時に護衛するために作られたのが、レシプロ戦闘機最強と謳われる
    Ta152Hだ。」
ラフィナ「へぇ〜、そうなのですか。確かにMe262は速度が乗るまでは非常に不安定で、その
     隙を狙われて撃墜されたそうです。Ta152Hの意味合いは局地戦闘機でしょうね。
     そもそもドイツ自体が他の国々と陸続きだったため、進軍が早まったとも言えますし。」
エリシェ「イギリスへの攻撃は海峡を挟んだから、幾分か難航したのも事実ですよね。もし各国と
     同じ陸続きだったら、ヨーロッパは開戦直後に制圧されていた可能性もあります。」
ミスT「イギリスは海洋という大自然が守り、ロシアはツンドラという大自然が守った。日本も島国
    だから、直接乗り込みは硫黄島や沖縄などだったな。ただ筆舌し尽くし難い戦闘があった
    のも事実だが・・・。」
    スミエの胸中はこの様な感じなのか。当時の英霊方の事を考えると、とても辛い気持ちに
   なってくる。それも敵味方問わず、人間が戦争という業に紛動されて殺し合ったのだ。戦争
   ほど悲惨なものなどない。

ミスT「・・・俺達の警護者も、結局は戦争助長者そのものだわな。」
エリシェ「私利私欲に駆られ、殺戮の限りを尽くす愚者であればですがね。各国に侵攻を繰り返し、
     野望の限り・欲望の限りを尽くしていればそう言い切れます。ですが警護者自体の理を
     踏まえると、全く以て違うのはお分かりですよね?」
ミスT「まあな・・・。」
ラフィナ「それに警護者自体は独立した戦闘集団。依頼が入らない限り、実働する事は絶対に有り
     得ません。スミエ様やシルフィア様を見れば一目瞭然ですよ。」
エリシェ「更に今となっては世界各国からお墨付きを貰うまでに至っている。紛争鎮圧を無血革命で
     済ませる事ができるのは、それだけ絶大な戦闘力を持つ所以ですよ。」
ラフィナ「まあ無血革命と言うも、致死に至らない限りの猛攻はありますけど。」
    警護者自体を見縊るなと胸を張るエリシェとラフィナ。1年以上前では警備員ぐらいの腕前
   でしかなかった2人が、今では凄腕の警護者へと仲間入りしている。ミツキやナツミAと同じ
   ゲーマー気質もあるため、それが戦闘力を底上げしている感じだ。

ミスT「・・・結局は各々の生き様を貫く、だな。」
エリシェ「オフコース、それができるのが警護者の道ですよ。そして警護者の概念は世上の意見を
     捻じ伏せる力も有している。特に要らぬヤッカミを放つ輩を黙らすには十分な逸材です。
     その理にどれだけ支えられているか計り知れません。」
    エリシェが語るように、警護者の理は世上の反対論などを全て黙らせる力が備わっている。
   悪く言えば独裁的にも見えるが、俺達の行動がそれを完全に覆してもいる。
ミスT「大体のヤッカミを入れる連中は、私利私欲を貪るカスどもが多いしな。テメェ等の利権など
    が覆られそうになるから横槍を入れる。昔も今もこれからも変わらないわ。」
エリシェ「ええ、確かに。しかし私達がいる限り、それを黙らせる事も可能です。全ては世上の安寧
     を勝ち取るための戦い。地球全体にお住いの方々を守る戦いが、今の私達の生き様と。」
ラフィナ「マスターが仰られているように、確かに烏滸がましい感じですよね。でも誰かが担う必要
     があるのもまた事実。それが偶々私達だったという事ですよ。」
ミスT「ますます以て責任重大だわ・・・。」
   襲い掛かる無人兵器をパニッシャーで殴り付けて破壊していく。ペンダント効果と獲物自体の
   堅固さから、人型無人兵器自体に殴り付けても全く問題ない。その超重量火器兵器の質量は、
   正に一撃必殺の鈍器そのものだ。

ミスT「分かった。毎度ながらの回帰だったが、その都度這い上がるのもまた俺だ。原点さえ絶対に
    見失わなければ問題ない。」
エリシェ「ですです。マスターが上辺の悩みで右往左往されるのは、もはや定番と言い切れますし。
     それが出るのもほぼ慣れました。毎度ながらの問い掛けに、その都度試行錯誤して回答
     するのも骨が折れますけど。」
ミスT「ハハッ、すまんな。」
ラフィナ「ですがそのお陰なのでしょう、エリシェ様の対人話術や戦術・戦略が激変しています。
     マスターとの対話は言わば自分自身と向き合うとも言い切れます。それを繰り返せば、
     否が応でも据わってきますよ。」
    再び自分達を見縊るなと胸を張る2人。確かに一時期からエリシェの見違える成長振りには
   驚愕していた。それを間近で見ていたラフィナも感化され、今となっては双子かと見間違う
   ほどの据わり様である。

エリシェ「それでも、ミツキ様やナツミA様には絶対に敵わないのですがね。」
ラフィナ「確かに。」
ミスT「あの姉妹は良い意味で変人だからな・・・。」
    3人してナツミツキ姉妹がいる方をチラ見する。そこでは獲物を使わず、恩師やスミエと
   共に格闘術で無人兵器を破壊していた。ファイアーエムブレムは劇中、ミネルバ嬢とその部下
   三姉妹とは完全に逸脱した様相だ。そして切磋琢磨しているトラガンのレディースの面々も、
   それぞれの格闘術で対峙していた。獲物を使って交戦しているのは俺達ぐらいである。
ミスT「はぁ・・・。」
エリシェ「ハハッ、本当に溜め息が出ますよね。」
ミスT「あの逸脱した力が本当に欲しいわ。」
ラフィナ「フフッ、人としての愚直なまでの生き様と。」
ミスT「強いってもんじゃない、純粋過ぎるんだよあれは。」
   人は時として純粋無垢故に強さを開花する時がある。ミツキの姿が正にそれだ。ナツミAや
   シルフィア・スミエも全く同じである。当たり前のようなその姿こそが、人として当たり前と
   いう事だ。一見矛盾してそうだが、それは実に表裏一体である。
ミスT「・・・同じ人だ、やってやれない事などないわな。」
エリシェ「そうですよ。私達も皆様方と全く同じ人です。開花できるか否かに掛かってきますし。」
ミスT「その開花が簡単なようで難しいんだよな・・・。」
ラフィナ「本当ですよね。」
   当たり前の事が非常に難しい。生きるという事も全く同じだろう。無意識に進む事にも繋がる
   のだが、それを目の当たりにすると途端に難しくなる。だからこそ楽しいのかも知れない。
   ミツキの生き様を見れば、それが否が応でも思い知らされるわ。

    無意識に生きる事は自然的な事だ。だが何らかの要因が加わると途端に難しく感じ出す。
   病気や怪我がそれに当たるだろう。高熱を出した時の様相が正にそれだとも。当たり前だと
   思っていた事に綻びが生じる事で、人はその有難みを痛感させられる。それは平和にも帰結
   するのは間違いない。

    俺達が戦うのは、最低限の悪足掻きな感じなのだろうな。しかしそれがストッパーになって
   いるのもまた事実。烏滸がましい感じだが、今はそれが現実となっている。誰かが担うのでは
   ない、俺達が担わなければならないのもまた現実なのだ。

    ならば迷う事などない、後は我武者羅に突き進むのみ。結果は後世が顕然と判断を下して
   くれるだろう。それを見る事ができないかも知れないが、それでも構わない。目の前の大切な
   存在を守り抜く、それだけでいい。それが俺の絶対不動の原点回帰だ。

    後半2へと続く。

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