アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第2部・第10話 直接対決4〜
    それから数日後、徐々にではあるが流れが好転しだしてきた。あまり用いたくなかった手法
   だが、燻り出し戦法が効果を発揮しだしたのだ。黒服連中と軍服連中の残党はまだまだ存在
   するようで、連中を完全駆逐しない限りには安寧を勝ち取る事は絶対にできない。

    それに南極事変でも十分窺えたが、連中の野望は地球はおろか全宇宙にも影響を及ぼす。
   私利私欲に溺れた連中を、これ以上のさばらせる訳にはいかない。俺達の戦いはこれら愚物を
   完全駆逐して終焉となるだろう。

    幸いにも俺達には絶大な力が備わっている。それらを最大限活用し、総意の安寧を勝ち取る
   戦いを展開せねばな。


ミュセナ「大凡の燻り出しは成功しました。今は3大宇宙種族でも実働部隊を配置し、残党掃討に
     取り掛かっています。」
ルビナ「これで粗方片付けば良いのですが・・・。」
    カウンターで紅茶を啜るミュセナとルビナ。日に日に女王の貫禄が付いてきたルビナは、
   現女王ミュセナと全く引けを取らない風格を醸し出している。
ミスターT「そう言えば、ルビナの妹達はどうしてるんだ?」
ルビナ「ルビアとルビラですか。ラーデュ様と共に他方面で活躍されていますよ。」
ミュセナ「ミュティル・ミュティカ・ミュティムもレシュス様と一緒に動いていますし。」
ミスターT「妹達が活躍する、だな。」
   ミュティル・ミュティカ・ミュティムはギガンテス一族の時期女王候補、ルビアとルビアは
   ドラゴンハート一族の時期女王候補だ。ヘシュアはカルダオス一族の時期女王候補であり、
   3大宇宙種族は姉達ではなく妹達が後継者として君臨する事にしたそうだ。
ミュセナ「本当は長女達に担わせたかったのですがね。」
ミスターT「今じゃ完全に裏方家業まっしぐらだしな。」
ルビナ「私もそちらに近いため、何とも言えませんけど。」
ミスターT「後継者ねぇ・・・。」
   いくら強大な一族と言えど、後継者が立たねば全く以て意味がない。三国志の世界が正にそれ
   になる。どの勢力も結局は後継者が立たなくなり没落していった。

ミスターT「エリシェ、ヘシュナとは上手く連携が取れてるか?」
エリシェ「バッチリですよ。ヘシュナ様の外交力は恐らく3大宇宙種族の中で最強だと思います。
     失礼ながらもミュセナ様も敵いません。」
ミュセナ「本当ですよ。ヘシュナ様の実力は日に日に増していっていますし。」
    周りが誉め称えると、嬉しそうに頭を下げるヘシュナ。シュームと雑談をしていた時から、
   より一層修行を繰り広げていった。警護者としての戦闘訓練もそうだが、何より外交訓練に
   重点的に力を入れている。身内の宇宙種族の中では一番力が弱いヘシュナなだけに、人並み
   以上に努力し続けているのだ。
ミツキ「ヘシュナちゃんには今度、エリシェちゃんから茶菓子一年分をぶん取って貰うわぅね!」
ナツミA「はぁ、そんなに手に入れてどうするのよ。」
ミツキ「ポケットに転送装置を付けて、何時でも取り出せるようにするわぅ!」
ナツミA「ビスケットの方が良さそうだけど。」
ミツキ「ぽ〜けっと〜のな〜か〜か〜ら〜ちゃ〜がし〜がむ〜げんだ〜い♪」
シューム「アッハッハッ!」
   ミツキのネタに周りは爆笑している。相変わらずのムードメーカーを地で行く素晴らしい女傑
   だわ。先日のアキバ事変からは時の人となっている。ナツミYUもしかり。しかしそれに奢る
   事はなく、周りを楽しませる事に終始しているのが見事なものだわ。

ナツミYU「警護者がエンターテイメントに参加するのは、烏滸がましい感じがします。本来なら
      戦闘集団として動かねばならないのですが。」
シューム「時代がそれを求めているなら、順応してこその警護者よ。」
デュリシラ「ですね。むしろ今は複数の長所を持つべきです。多岐多様の依頼に順応できる事こそ、
      警護者冥利に尽きますので。」
ミスターT「順応ねぇ・・・。」
    いや、恐らく身内の誰もが多岐多様に順応し過ぎているのだろう。だからそれが当たり前に
   なってしまい、普通にこなせる事に違和感を感じなくなっている。慣れこそ最大の力だが、
   逆説的に慣れ過ぎると力を失いかねない。
ミツキ「Tちゃんなんか、最近やり出したゲームで無意識レベルの動きができるわぅし。」
ミスターT「あー、7エンパか。」
ナツミA「何なんですかね、あの逸脱した動きは。」
ミスターT「俺に聞くな俺に・・・。」
   南極事変が終わった後、ミツキに誘われて“真・三國無双7エンパイアーズ”という作品を
   やりだした。始めた当時は全くのド素人だったが、それが功を奏して今は結構動けるまでに
   至っている。特に俺が現実でも扱っている方天画戟こと方天戟が一番扱い易い。
ビアリナ「仮想現実で暴れるとしたら、恐らくミツキ様方が突飛して強いと思いますよ。」
デュリシラ「むしろ勝てないかと。」
ミツキ「ふんっ! このポチミツキ、見縊って貰っては困るわぅ!」
ナツミA「それ、ハマーンさん。」
ミツキ「お前をモッフモフのモフモフにしてやろうか?!」
ナツミA「それ、某悪魔閣下。」
   本当にネタの宝庫だわ。ナツミAも精通しているが、その彼女がミツキにネタを言うと直ぐに
   返す所が怖ろしい。瞬時にそれぞれの元となる作品がでるのは、それだけ娯楽にも最大限の力
   を入れている証拠だろう。だから全てにおいて強いのだ。


シューム「というかさ、T君の髪の毛は何時になったら切るのよ。」
ミスターT「あー、性転換時の後遺症か。」
    一服しながら寛いでいると、カウンターのシュームが語り掛ける。ミスTへと性転換して
   いた時、その性転換の後遺症から脛にまで及ぶほどの長髪に至った。本来の野郎に戻っても、
   長髪は全く変わっていない。背後から見れば女性と見間違われるほどだ。
ミスターT「まあいいんじゃないか。今までも長かったし、特に気になるものじゃない。」
シューム「まったく・・・誰がそのアフターケアをすると思ってるのよ。」
ナツミYU「ハハッ、まあそう仰らずに。」
   ここ最近はナツミYUが出払っているため、シュームが長髪のメンテナンスをしてくれた。
   とにかく長いため、日頃からのケアは必要不可欠になるという。枝毛などがそれに当たり、
   一度至ると修復するのは難しいという。
ミツキ「上手く調整すれば、わたみたいにダブルボンボンにできるわぅ?」
ナツミYU「うーん、できなくはないと思いますが・・・。むしろポニーテールの方が良いかと。」
ミツキ「野郎テールわぅ!」
ナツミA「何その男性の尻尾って。」
ミスターT「ハッハッハッ! 野郎テールか、こりゃ傑作だわ。」
   ミツキの見事なボケに大爆笑してしまった。怒り気味だったシュームもそれに負けて大爆笑
   している。釣られて周りの面々も爆笑となった。本当にこの美丈夫の周りを笑わす力は無双
   そのものだわ。

ナツミYU「アハハッ、まあ先輩ばかりに押し付けるのは良くないですから。私もケアをしますよ。
      それにマスターの言わば地肌を直接触れられるのは幸せですし。」
エリシェ「へぇ・・・それは聞き捨てなりませんね・・・。」
デュリシラ「本当ですよね・・・。」
    ナツミYUの言葉に殺気に満ちた目線で俺を睨む女性陣。この場合は言い出した彼女に向け
   られるべきなのだが・・・。まあ毎度ながらの戒めの一撃は強烈過ぎるわ。
ミスターT「はぁ・・・やっぱミスTの方が気が楽だわ。」
ウインド「勘弁して下さい。これ以上不出来な姉と接したら、私達がより一層女性化しますよ。」
シューム「アッハッハッ! 見事な揶揄よね。確かに君の性転換状態で私達が接していたら、君が
     女性を知る以前に私達がより女性らしくなっていくし。」
ダークH「本当ですよね。」
ミスターT「まあ確かにな。」
   ウインドの揶揄は確かに当てはまっている。不思議な事に性転換時の俺に関わった女性陣は、
   例外問わず美女に変化しているのだ。それがペンダント効果かは分からないが、周りへ影響を
   及ぼすのは間違いない。南極事変に至る前までの長い間で、周りの女性陣は超が付くほどの
   美女に変貌していた。
ミスターT「これもペンダント効果が外部に漏れ出したと言うべきか?」
ミュセナ「分かりません。あそこまで長時間性転換をされた方は貴方が初めてですし。それなりの
     副作用がご自身にも周りにも出たと思われます。」
ミツキ「Tちゃんを使って、わた達もアップグレードを続けるわぅね!」
ナツミA「貴方の場合は美しさよりもやんちゃ度が増している感じだけど。」
ミツキ「わたの力を見縊っては困るわぅ。」
   姉妹の揶揄で周りは笑う。確かにミツキは美しさよりもやんちゃ度の方が遥かに強い。彼女の
   方が男性に近いと言える。それはナツミAもしかり。またシルフィアもスミエも、どちらかと
   言うと男性の方が合いそうな気がする。

ミスターT「まあ色々な手を使ってでも、己が生き様は貫き続けるわな。それに周りにはこれだけ
      強者がいる、恐れる事など全くない。」
ナツミA「四天王やエリミナさん・トーマスMさんを除けば、マスターだけが男性ですし。」
ミツキ「この場だとTちゃんだけが野郎わぅね! ウッシッシッ♪」
ミスターT「・・・マジでペンダント効果使うぞ。」
    姉妹のニヤケ顔での茶化しに、周りの女性陣から殺気に満ちた目線で睨まれる。と同時に
   ペンダント効果で性転換すると言い返すと、即座に止めに入られるのも何とも言えないわ。
   案外、俺にも良い反撃できる要因ができたのかも知れない。まあ俺自身もどちらかと言うと、
   性転換時の方が楽ができるが・・・何とも。
ミスターT「まあ何だ、俺にできる事を続けるのみだ。まだまだ完全に終わってはいない。最後の
      最後まで戦い抜かねばな。」
ミツキ「大丈夫ですよ、皆さんいらっしゃいますし。それに異常者たる存在はごく僅か。地球人の
    全部がそうではありません。力を持てぬ故に虐げられている方々もいます。エリシェさんが
    気概の一念で、それら愚物を蹴散らしてやりますよ。」
エリシェ「心から同意致します。私達の力を使い切ってでも、世上の安寧を勝ち取っていかねば意味
     がありません。そのための力です。私達の力を見縊って貰っては困りますよ。」
ミツキ「うむぬ、ワンコパワー炸裂わぅ!」
   ミツキとエリシェの言葉に周りの面々が力強く頷いている。警護者としての存在が、今では
   調停者や裁定者に至っていた。何度も思うが実に烏滸がましい感じだ。しかし、誰かが担わな
   ければならない。それが偶々俺達だったという事だ。ならば後は突き進むのみである。

    後半2へと続く。

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