アルティメット エキサイティングファイターズ 外伝6 〜覆面の警護者〜 |
アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜 〜第1部・第10話 骨董品の威力2〜 半日ほどの航海との事なので、甲板に出て到着まで待った。その間に復元された様相を見て 回りたい。戦争兵器という部分を除外すると、その実に見事な様相には惚れ惚れしてしまう。 その中で思ったのが、何処からともなく現れて襲撃を繰り返す特殊部隊。その何処からでも 出現する姿に、ギガンテス一族の転送装置の一件が脳裏を過ぎった。このレプリカ大和も宇宙 で建造して地球に運んだそうだしな。 ミスターT「・・・特殊部隊の親玉は宇宙人なのかね。」 エリシェ「実に否めませんよね。突然現れて平然と消えていく。ハワイの時も親玉が乗る大型ヘリが 突然現れたそうです。」 特殊部隊の連中に地球人が絡んでいるのはほぼ間違いない。しかもそこにギガンテス一族の 超絶的なテクノロジーが含まれているのも確かである。となると今後は更に局地的な戦いが 起こり得る可能性も否めない。 ビアリナ「そう言えば、治療した兵士の方々から何か伺ったりは?」 エリシェ「強制尋問は一切していません。それをしたら私達も連中と全く変わらなくなってしまい ますし。ただ相手の方が口を開いてくれるなら、根掘り葉掘り以外での尋ねはしています けど。」 ミスターT「何らかの情報は掴めている感じだな。ただそれが出ないという事は、機密扱いという 事になる訳か。」 この部分は一端の警護者が口を出す事ではない。上層部の方で対処すべきである。ただし、 もし倫理に反する事をするのなら・・・。その時は俺の方も黙ってはいないが。 エリシェ「ええ、私も貴方が思う事に同調します。最近は独断で動く傾向があるようで。」 ミスターT「あら、見抜かれたか。」 エリシェ「まあ半々ですが。その半分は手前の実際に行われた事です。三島ジェネカンとその大企業 連合に所属している方々には、それこそ痛烈な掟の如く戒めています。戒律にも似ている 感じですが、そうでもしないと罪を重ねるのが人の業ですから。」 ビアリナ「最終的には、やはり人に掛かってくるのですよね。」 物凄い落胆気味のエリシェとビアリナ。この両者、それだけ人の闇を見てきた証拠だろう。 そして今やっと分かったのが、2人が非常によく似た属性を持っている事だ。今にして気付く とは、俺の目も節穴なのかも知れない。 エリシェ「顕著なのがギガンテス一族への対応です。生体兵器を扱うが如くの対応、ここに人として の倫理などありません。彼らが地球外知的生命体なら、地球人は野蛮で殺伐とした存在に 見えますよ。」 凄まじい怒りを顕にしている。ナツミYUが言うには、エリシェとラフィナはこの手の人と しての道を外れた行いに超絶的に激昂するとの事。まあこれは俺も心から同調する。強いては 警護者としての生き様に反するものだ。 エリシェ「ミュティナ様方がマスターとお会いして、その人として接した姿に心から安堵しました。 地球人・地球外知的生命体、そんなの上辺の形だけのもの。根底の偉大な生命体という 部分を考えれば、全て兄弟姉妹そのものです。」 ミスターT「常に肝に銘じなければならない概念だわな。」 エリシェ「マスターの様に生き様が定まっている方なら問題ありません。大問題なのが、それ相応の 実力を持つも人としての道を外れた愚者ですよ。対処し辛い事この上なしで。」 ビアリナ「あの特殊部隊も正にそれなのですよね。」 再び落胆する両者。本当にこの姿は似ているわ。ただ彼女達が言う、人としての道を外れた 愚者。これらは今後も出続けるだろう。いや、永遠に続く闘争とも言えるのか。だからこそ 俺達警護者という陰の存在が必要になる訳だ。 ミスターT「・・・恩師の生き様とミツキの生き様が問われる、か。」 エリシェ「誰彼がどうこうじゃない、自分自身がどうあるべきか。それが重要だ、ですね。そして、 敬い・労い・慈しみの精神を。持ちつ持たれつ投げ飛ばす、と。」 ミスターT「相反する属性に近いが、根底は全く同じだからの。」 一服しながら思う。シルフィアとミツキ、この2人の生き様は見方によって相反している。 しかし根底の目指すべき場所は全く同じである。むしろナツミAを併せて3人で初めて1人の 存在に近いと言える。何度も言うが、真女性は強いわ・・・。 ミスターT「彼女達の生き様が、今の世上には必要だ。彼女達のためなら、俺は命を差し出しても 構わない。そのための警護者の力だ、思う存分暴れてやるわ。」 エリシェ「はい。貴方のその生き様は、ナツミYU様やシューム様からも重々伺っています。純粋 無垢の師弟の理と。師匠が偉大だからこそ弟子が奮起できる。この姿勢は我が大財閥も 常に念頭に入れ、強く心懸けているものです。」 ビアリナ「個々の力は弱くとも、一致団結すれば凄まじい力に至る。特に異体同心の理が、解決不能 に近い難題をも攻略できる。皆様方の生き様を見ていれば痛感できます。」 一念を据えて突き進む。簡単に思えるも、実は物凄く難しい理にもなる。しかし、だからこそ 貫き甲斐があるというものだろう。 ミスターT「ますます奮起せねばならんわな。」 エリシェ「いえ、問題ないと思いますよ。ありのままの姿で生き様を刻む。それこそが貴方自身の 唯一無二の存在になりますから。」 ミスターT「だな。」 己が生き様を刻むのは、自分自身しかできない。しかしお互いに支え合う事はできる。その 一念が彼女達からも沸々と伝わってきた。頑張らねば張り合いがないわ。 しかしまあ、レプリカ大和の様相は凄まじい。確かに現行兵器よりも火力の点では劣って いるだろう。航空機が主力の現状、更にイージス艦や原子力空母・原子力潜水艦など。 レプリカ大和の火力はそれらに遠く及ばないが、存在感では遥かに超越している。威風堂々 とした様相は、見るからに戦う艦だと否が応でも認識させられる。 過去の大戦で実際の大和で戦われた方々のご冥福を祈ると共に、このレプリカ大和で新たな 時代を築ける戦いに貢献できるなら幸いだ。それに特殊部隊には正に特効薬だろうからな。 奴らを叩き潰さねば、日本はおろか世界が危うい。更には宇宙にも火種を飛ばしかねない。 地球外知的生命体のギガンテス一族と共に、何としても連中の愚行を阻止してやる。 数時間後、無事東京湾に到着した。今は品川埠頭に停泊している。レプリカではあるが、 本物ソックリの戦艦大和が現れたとあって大賑わいだ。確かに平和のモニュメントとしての 役目もあるが、こうして観光地としての役目もできそうだ。動く誘致場所とも言えるか。 経緯はどうあれ、最終的に世界の平和が最大の目標。地域や国を盛り上げてこその安寧だ。 軍事兵器がその役割を担うのは問題がありそうだが、最終的に丸く収まれば問題はあるまい。 考え方だけで全てが一変する。ミツキ縁のポジティブシンキングで進むべきである。 ミツキ「・・・圧巻わぅ。」 物凄い見物客でごった返す品川埠頭。その様相を遠巻きに見つめる俺達。流石のミツキも レプリカ大和の姿に圧倒されている。昭和生まれの俺なら馴染み深いが、平成生まれの彼女 には言わば異世界の代物にも見えなくもない。今時のイージス艦郡とは一線を駕している。 ナツミA「様相ではアメリカのミズーリ号に匹敵しますよね。いや、もしかしたら超えているかも。 史上最強の戦艦と称されるだけありますよ。」 ミツキ「火力だと現代兵器には敵わないわぅけど。」 ミスターT「俺は現代兵器は邪道にしか思えんがね。」 電子機器で構成された最新兵器の数々。確かに戦闘力の規模では凄まじいものだが、洗練さは 全く感じられない。兵器とは武骨感があってこそのものだとも言える。 時代の流れに乗れず、大きな活躍ができずに沈んだ戦艦大和。しかしその様相は今現在の ミリタリーマニアには大絶賛されている。この差が正に存在感の格差と言えるわ。 ミツキ「でで、これからどうするわぅ?」 ミスターT「エリシェの話だと、今後レプリカ大和を警護者専用のガンシップに位置付けるそうだ。 例の特殊部隊への宣戦布告とも言っていた。言わば威圧感だな。」 ナツミA「威圧の部分で絶対悪の兵器を持ち出さない部分、ここにプライドがありそうですね。」 ミスターT「ああ、アレは人類を滅亡に追いやる最終兵器そのものだからな。」 ミツキ「戦争は悪わぅよ。」 物凄い矛盾しているわな。警護者の道が護衛に始まり、強いては乱れた世上を落ち着かせる 存在だとする。その警護者が必要以上の武装を持つのは、要らぬ火種を起こしかねない。この レプリカ大和の出現で、連中はどう動くか。 ミツキ「それでも、己が生き様を示すのも必要わぅ。それがこのレプリカ大和ならば、後の用い様で 全て決まるわぅ。人を・世上を支える力になるなら、それは絶対善わぅね。」 ナツミA「そうだね。むしろそれは私達の生き様次第よね。マスターが仰るように、尚更頑張らねば ならないわ。」 ミスターT「このレプリカ大和は俺達の決意表明でもある訳だな。」 一服しながら思った。やはり最後は己自身の生き様に決まってくる。そしてそれにより善悪が 出てくるのだ。できる限りは善の方には進みたいが、どういった形で曲がるとも限らない。 だからこその“持ちつ持たれつ投げ飛ばす”なのだろうな。 何よりも、これだけ周りに戒めてくれる存在がいるのだ。曲がった方に進む方がおかしい。 彼らと共に戦えば、確実に中道へと進んでいくのは言うまでもないわ。 突然だった。凄まじい銃撃音や爆発音が辺りに響き渡る。それに周りは騒然とするが、何と それらは全てレプリカ大和を中心に掻き消されていた。淡い虹色の膜が辺りを覆っている。 大慌てしだす見物客を避難させる面々。ただ膜の外に出るのは危険極まりないため、急遽 レプリカ大和内部に避難させる事にした。俺達は手持ちの護身用武装で不測の事態に備える。 エリシェ(やはり来ましたか。) 全ての見物客や運営に携わる面々を艦内に避難させた頃、脳内にエリシェの声が聞こえた。 東京湾に到着後、彼女は日本支社に戻った。今も現地で雑務中らしく、向こうからの念話に よる会話だ。 ミスターT(東京に襲撃とか、政府が殺気立たないかね。) エリシェ(反撃に出るには法案云々やら責任問題やらで、当面は動けないと思いますよ。それが今の 日本の欠点ですから。) ナツミA(だからこその警護者よね。) ミツキ(大和魂を見せてやるわぅ!) 俺達警護者は独自の武装を展開している。更にエリシェ達企業連合やウインド達警察郡とも 連携し、自衛隊の方々との独自連携も可能だ。今の日本政府ではこれらテロリストまがいの 連中に対して、有効な手段が取り難い。揚げ足を取り合うのが関の山だ。 エリシェ(それとレプリカ大和に乗船している限り安全です。その淡い虹色の膜はバリアですので。 ギガンテス一族のテクノロジーにより、地球の現行兵器は一切役に立ちません。更に緊急 避難なら、船底にドッキング中の特殊潜水艦を使って下さい。) ミスターT(ここなら安全という事だな。) バリアとはこれいかに。しかも先程の襲撃を見る限り、相当な火力の一撃でさえ防ぐようだ。 となると、相手の目を引き付けるために移動した方が無難か。 ミツキ(うむ、Tちゃんのそれが正論わぅ。一旦東京湾外に出て、そこで反撃した方が良いわぅよ。 見物の方々は特殊潜水艦で避難すればOKわぅね。) ナツミA(有言実行ね、後は任せて頂戴な。) 颯爽と艦橋に向かう彼女。というかこの艦の指揮系統はどうなっているのか。これだけの デカい戦艦を動かすとなると、10人や100人じゃ無理な話だ。 エリシェ(艦内の機動や運営は躯屡聖堕チームの方々が担っています。まあ殆どがコンピューター 制御によるものですが。レトロな外見とは裏腹に、内部はイージス艦を超える最新設備を 搭載していますので。) ミツキ(正に宇宙戦艦ヤマトわぅ!) ミスターT(警護戦艦でいいんじゃないか・・・。) 確かにこれで空を飛んだら、間違いなく宇宙戦艦ヤマト化する。しかし劇中の船体は宇宙船に 近い様相なため、レプリカ大和には荷が重すぎるものだが。 船外を見て気付いたが、既に艦は動き出している。東京湾外に向かっている様子だ。今も 攻撃を加えられているレプリカ大和だが、バリアのお陰で全くの無傷である。しかしいくら バリアに守られていても、周りに被害が及ぶのは言うまでもない。 と言うか、確信した事がある。特殊部隊の出所だ。忽然と姿を現して攻撃を加える様相は、 ギガンテス一族の転送装置の類が使われている証拠だ。でなければ平和国家の日本とは言え、 武装勢力が出現した事に気付く筈である。 これ、俺達は国内に居られないかも知れないな。国内にいたらそこが戦場となり、周りに 多大な迷惑を掛けてしまう。エリシェはそれを見越して、このガンシップたるレプリカ大和を 建造したのだろう。 ・・・あの時、3姉妹と共に動くと思ったのは間違いだったか。いや、生き様推奨派の俺と しては絶対に断れなかった。彼女達の決意を無解にはできない。当時の経緯から結果がどう あっても、今後をどうするかで決めていくしかない。道はまだまだ半ばだ。 後半へと続く。 |
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