フリーダムハート 自由なる勇将ヴィアラシュア  暗黒皇帝ディーラの野望
    〜第2話 ルッド港襲撃4〜
イザルス「何だこれは?!」
アルビス「船体が爆発しだしましたよ!」
ゼラン「とにかく脱出だっ!!!」
   ゼラン達は一足先に氷の海面を走り、桟橋へと避難する。直後擬似流氷は砕け、氷の海面は
   細かい氷の塊になっていく。
メイ「カシスさんは?!」
   桟橋に着いたゼラン達はカシスがいない事に気がつく。まだ海賊船に乗っていると全員が直感
   した。
   ゼランとアシリアは近くにあるボートに乗り込み、カシスを助けに行こうとする。だが大音響
   と共に海賊船は木っ端微塵に爆発、甲板に残っていたモンスター達を巻き込んで海の藻屑と
   消えていった。
アシリア「そ・・そんな・・・。」
ゼラン「カシスーっ!!!」
   炎上する海賊船の破片を見つめ、2人はただ呆然と海を眺めていた。
   だが直後ボートが軽く揺れ、手すりに何者かの手が掴まる。2人は一瞬驚いたが、覗かせた顔
   を見て安堵の笑みを浮かべた。
カシス「俺はしっかり生きているぜ。」
   苦笑いを浮かべながらボートに這い上がろうとする。2人は手を差し伸べ、カシスをボートへ
   乗せた。
アシリア「もう・・・心配したんですよ・・・。」
   涙ぐむアシリアにカシスは肩に手を置き話しだす。ゼランは桟橋へボートを漕ぎだした。
カシス「すまない、心配かけた。」
アシリア「でも・・・無事でよかった・・・。」
ゼラン「まったくだぜ、心配かけやがって。」
カシス「だがおかげで黒幕が分かった。後で皆に話すよ。」
   ボートを桟橋へ着けると、3人はイザルスの元へ歩み寄った。イザルス達もカシス達の元へ
   向かってくる。
イザルス「大丈夫ですかカシスさん?!」
カシス「心配かけたな、この通りだ。」
メイ「無事でよかったぁ〜・・・。」
   イザルス達もアシリア・ゼラン同様、しっかり心配していた。それを見て嬉しくなるカシスで
   ある。
カシス「黒幕が分かった、海上の後始末をしたら作戦会議を開こう。」
イザルス「分かりました。さあみんな、後始末を済ませよう。」
   イザルスの発言に自警団員は大声で答え、ボート等を使い海賊船の残骸を回収していった。
   カシスはイザルスの計らいで宿屋に向かい、着替えを済ませてから手伝いをする。
   カシスの心中では次の目標が決まっていた、北にある軍事国家グリーエである。そこに今後の
   目標があると実感しつつあった。
   そして・・・ここからが自分達の長く厳しい旅のターニングポイントとなる事を、カシスは
   薄々感じ取っているのであった。

   それから3時間後の午前9時過ぎ、カシス達は攻めてきたモンスター達の後始末を終える。
   一行は自警団事務所内の休憩室で体を休めていた。そこでイザルスの計らいにより朝食を
   ご馳走になるカシス達。当然ゼランは朝食を3人分しっかり平らげる。それを目の当たりに
   したイザルス達は、当然の如く驚きの表情を浮かべていた。
メイ「す・・凄いですね・・・。」
アシリア「これが彼の基本食事だそうよ。」
グレス「俺でさえここまでは食べれませんよ。」
   この中で一番身体が大きいグレスがそう話すのだから、ゼランがどれほど凄いかが窺える。
カシス「大食いならゼランは誰にも負ける気がしないな。」
   カシスが苦笑いを浮かべながら話す。イザルス達もそれに納得した。
イザルス「ところで先程、今回の襲撃の黒幕が分かったと言っていましたが。」
   イザルスがコーヒーを口にしながら、先程カシスが話した事に触れる。
カシス「ああ。さっきの襲撃の際、海賊船上の後方にモンスターを統括していた魔術師がいたんだ。
    俺が仲間になると嘘を言い、そいつから色々と聞きだした。ここを襲撃した理由は、北の
    軍事国家グリーエに攻める前線基地として使うつもりだったらしい。ボスの名を聞いた所、
    ディーラがそうだと言っていた。」
イザルス「ディーラ・・・、どこかで聞いた名前ですね・・・。」
ゼラン「荷馬車や客馬車のディーラーと間違えたんじゃないのか?」
   ゼランがコーヒーを啜りながら冗談雑じりに話す。それを聞いた一同は苦笑した。
カシス「フフッ、そうであればいいがな。」
   カシスが本気雑じりにそう話した。無用な争いはしたくない、カシスは心底そう思う。
アシリア「とにかく、今後はどうしますか?」
   皆を代表してアシリアが行き先を聞いてきた。カシスは迷わず語りだす。
カシス「進むべき道は決まっている。次はグリーエに行き、ディーラという者達が攻めて来る事を
    伝えよう。それが最善策だ。」
イザルス「今度は私達が手を貸す番ですね、一緒にグリーエまで行きましょう。」
   イザルス達が今後の決意新たにそう告げる。カシスは今後大変になる事を念を押した。
カシス「構わないが、これから大変になるぞ。」
グレス「分かってまさ!」
アルビス「これも自身を鍛える戦いです。」
メイ「私も行きます。エルフと人間の蟠りを解く為には、私自身が進んで戦わないと。」
カシス「すまない、恩にきる。」
   アシリア・ゼランの時と同様、イザルス達に頭を下げて礼を述べた。イザルスは構わないと
   いったジェスチャーをカシスにする。
   その後イザルスは部下達に自警団事務所の事を任せると旅支度をはじめる。その間カシス達は
   港町を自由に見て回り、束の間の一時を過ごした。
   2・30分経った後、イザルス達と合流。一路一行は北の軍事国家グリーエに向かいだした。
                               第3話へ続く

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