レイヴンの交戦記・飛翔 〜信念と執念と〜
 登場人物 平西幸也 アリッシュ=ミルフィールア リンル=シューヴァンドゥ 赤石輝
      ネイラ=シューヴァンドゥ 赤石エンリェム エリヒナ=マクアレスウィート
      グライドルク ヴィルグラーガ シェンヴェルン
      リターン・トゥ・ザ・ロストナンバーレイヴンズ面々
 登場AC ウインドブレイド エアーフェアリー ブレイブロード キャリュックフェンサー
      レッドシューギュール パープルストリーム ブラックストライカー
      デヴィル・キャット シャドウ・ドッグ デストロイアハンド
      リターン・トゥ・ザ・ロストナンバーレイヴンズ面々AC

    〜第1話 作戦会議〜
    シェンヴェルンとの最終決戦が終えていない今、いつ決戦が起きてもおかしくなかった。
   手駒のみで済ませた所を見ると、向こうさんは主力陣作成に躍起になっている様子。
    特にクローン軍団を製造しているとなると、再びデヴィル達が出現するかも知れない。ある
   意味STAIを相手にするより厄介になる。

ガーヴェルス「残骸の撤去作業、終了しました。」
    流石に2000体を超える機体の残骸は骨を折ったようで、トータル4時間を費やした。
   まあ人間でない人工知能故に、彼女達は疲れを知らない。オーバーヒートのみ注意すれば、
   ほぼ永久に活動は可能である。
シェガーヴァ「お疲れ様、少し休憩してくれ。」
マルデュリア「了解です。」
   そう答えると3姉妹はガレージの端のメンテナンスブースに待機する。既にレイシェムが待機
   しており、妹達を調整していった。
    活動からまだ1日が経過していない3人。人工生命体として転生したが、テスト動作も兼ね
   ている。意思は本調子でも身体の方はまだ本調子ではなさそうだ。それ故のメンテナンスで
   ある。

アリッシュ「兄貴、あの人達は一体?」
    一服中の俺に話し掛けてくるアリッシュ。6姉妹の中で一番大人びいている彼女だが、先方
   の決戦では流石に疲れの色を隠せない。
   だが明るさは6人の最大の武器であり、息抜きをしている一同を陰ながら牽引しているのは
   言うまでもない。
ユキヤ「以前の決戦でな、人工知能を作ったんだ。それが意志を持ち、殆ど人間と変わらない生命体
    となった。先方の決戦前にコアを筐体へと移し替えた。それが彼女達だ。」
アリッシュ「つまり親父さんやレイ姉さんと同じと言う事ですね。」
ユキヤ「知識や年代からすると、今のお前達より年上。だが人として生きた年代はお前達の方が先輩
    だよ。」
アリッシュ「妹かぁ〜。」
   自分達より背丈が大きい妹。何とも言い難い現実だ。

    述べた通り、戦闘経験や戦術戦略技術は3姉妹の方が高い。だが人間としての経験は6姉妹
   の方が高い。
    この9人がタッグを組んだら、おそらく無敗を誇るであろう。ただでさえ高い戦闘力が凄み
   を増し、仲間内で追随を許さないぐらい強くなる。
    目下成長中の6姉妹、そして経験取得中の3姉妹。生まれた時こそ違えど、この9人は別の
   意味で姉妹なのだろうな。

    またこちらはこちらで物凄い事になっている。

    先方の決戦が終わり、地下から6人の幼子が戻ってきた。その後ターリュとミュックは両親
   を急かし、何とACシミュレーターを動かしだす。
    まだ2歳半ばだというのに違和感なくシミュレーターを動かす様は異様極まりない。両親は
   疎か周りのレイヴンを驚かせている。
ユキヤ「こっちはまた・・・。」
アリッシュ「下手したら負けちゃうかもね。」
   当の本人達は半ば無茶苦茶で遊んでいるのだろうが、直感が優れている2人故に動作に無駄が
   ない。バーチャルの目標であるMTたちを次々と薙ぎ倒し、2人してシミュレーションを満喫
   しているようだ。
ユキヤ「あいつらは必ずレイヴンになりたがる筈だ。その時はお前さん達に修行を任せるよ。」
アリッシュ「追い抜かされないよう努力するわ。」
   苦笑いを浮かべるアリッシュ。彼女のまだ幼き対抗心からか、どこか悔しそうでもあった。
    自分達より幼い頃から戦闘を体験しシミュレーションを行う。これを続けていれば、自分達
   以上の力を身に付けるのは言うまでもない。
ユキヤ「言っておくが彼女は彼女、お前はお前だ。無理に対抗する必要もない。自分なりの進むべき
    道を見定めな。」
アリッシュ「うん、そうする。でもさ・・・何か悔しいのよ。」
ユキヤ「・・・実力云々ではなく、両親に相手にされている2人に対してか。」
   俺の発言でアリッシュは言葉を失う、大凡正論だろう。
    幼くして祖父母や両親を失った彼女。幼少世話してもらったうる憶えはあるものの、今現在
   存在していない家族に甘える事は不可能だ。
   彼女の対抗心は両親に構ってもらっている2人に対しての念だ。戦術要素などは十分巻き返し
   可能である。
ユキヤ「ごめんな。もっと早くに気付いていれば、お前達の家族を助けられたのに。」
アリッシュ「あ・・ごめんなさい・・・。決して兄貴を責めている訳では・・・。」
   自己の嫉妬心で俺を傷付けたと反省するアリッシュ。だがそれは傷付けではない。むしろ今の
   彼女にはそれが出て当たり前な年代だ。
    俺は亡き家族の代わりにその役を演じているに過ぎない。愚父な俺の事、彼女の期待に応え
   られない。その苛立ちも俺の中にはある。
ユキヤ「少し出かけるか。」
    わいわい騒いでいるウィンに他の5人の世話を頼むと、俺はアリッシュを連れて財閥から
   外出した。
   ACの移動だと単独修行かとヤキモチを焼かれる恐れがあるため、今回は財閥に待機中の送迎
   車両での移動だった。

    当てもないままに車両を走らせ、気付いた頃にはネオ・アイザック近郊まで来ていた。

    普段はACでの移動により、その後アリーナのガレージに待機させられる。しかし今回は
   送迎車両だ。一般人と同じ扱いになり、観戦者用の駐車場に止める事となった。
アリッシュ「レイヴンとしてじゃないと扱いが雑ですねぇ。」
ユキヤ「ここが今の世界の差別でもあるだろう。企業の駒として動くレイヴン。なおかつアリーナに
    至っては観客を呼びよせる餌でしかない。俺らも世界に飛び出れば、厳しい現実が待ち構え
    ているさ。」
   これも厳しい現実だとアリッシュに語る。この差がレイヴンを一種の大富豪のように一般人と
   大きな格差を広げている。

    その後ネオ・アイザックシティの市場などを見て回る。
   幼少の頃から暴漢に襲われぬよう、墓堀人として過ごしてきた。大都市の活気に触れ、驚きの
   表情を隠せない。
ユキヤ「何か買うか?」
アリッシュ「あ、気にしないで。」
   俺を気遣うが、行動はそれを隠せない。面白そうな物などを見つけては目移りしている様子。
   11歳では本当は遊び盛りで不思議なものに興味津々な年頃だろう。この現実は彼女には非常
   に辛いと思う。

    以前シェガーヴァから聞いた過去話。

    産まれたばかりのウィンとラフィナを連れて、メアリスと一緒に市場などに赴いたそうだ。
   家族水入らずという瞬間、これ以上の幸せはないと語っていた。

    俺にはその役が出来るのだろうか。幼少の頃の思い出は何一つとしてない。あるのは孤児
   シェルターでの生への絶望をする毎日の記憶。
    俺なんかより、アリッシュが一番可哀想だ。普通の女の子として生活できたはずが、物心が
   付く頃は墓堀人という現実。俺の幼少など取るに足らないだろう。
ユキヤ「・・・フフッ、俺もまだまだガキだな。」
アリッシュ「え、どうしたのいきなり。」
ユキヤ「今も過去に対して苛立ちを抱えている自分がいる。お前さんの方がよっぽど苦しい現実を
    過ごしてきたのに。バカ極まりないよな。」
アリッシュ「そ、そんな事ないよ。兄貴は兄貴で苦労してきたんじゃない。それも誰の力を借りず、
      自分の力だけで。私なんかみんながいたから今を生きられる。1人だったらそんな事は
      無理よ。」
   この美丈夫には脱帽だ。俺よりしっかり物事を見定めている。確かに彼女の言う通りだ。
   
    生きる事に絶望はしていたが、希望も抱いていた。それに自分の事だけしか考えられないと
   いう孤児シェルター内部。己だけで精一杯が現実だった。
    だが俺は自分の事よりも、周りの方が気になっていた。自分の食事も満足に取らず、周りに
   分け与えていた時もあった。
   監督官からはお人好しとからかわれたが、それでも俺は間違ってるとは思っていなかった。

    シェガーヴァやウィン・レイシェムにこの生き様を語ったら、案の定お人好しと言われた。
   だが同時に俺らしいとも言っていた。

    俺の執念・信念・理念、根底は人を助ける。

    全ての人を救う事など不可能だ。だが眼前に映る困っている人は、自分の力で救える筈だ。
   それに今の時代はレイヴン、ましてやACという絶大な力がある。これほど心強い味方は他に
   いないだろう。

    その人々を根絶やしにしようとする破壊神軍団。これらを排除せねば人を助ける事など到底
   不可能だ。だからこそ死に物狂いで力を身に付け、それらに打ち勝つ必要がある。

    アリッシュに再度教えられた。自分の生き様に誇りを持てと。

    そして皮肉にも同じ境涯になっていたエリシェに諭していた過去を思い出した。既に過去に
   おいて、彼女の祖母に同じ助言をしていたのだ。

    真、不思議な巡り合わせであろう・・・。

ユキヤ「フフッ、お前に教えられたな。迷ってもいいから前へ進め、と。」
アリッシュ「だ・だってさ、これは兄貴がお祖母さんに教えた事でしょ。」
ユキヤ「確かにな。」
アリッシュ「私は思い出させただけです。兄貴は既に解決策を知っている。長年生き続ければ、その
      事も一瞬忘れますよ。」
    精一杯の笑顔で応対するアリッシュ。本当にこの美丈夫には頭が上がらない。流石エリシェ
   の孫である。
ユキヤ「迷ってても埒があかないな。お前の言う通り、とにかく先に進もう。それからじっくりと
    考えればいい。」
   アリッシュにも語りつつ、自分に言い聞かせるように話す。それに力強く頷く彼女。
アリッシュ「よ〜し、何だか元気が出てきたぞぉ!」
ユキヤ「ハハッ、元気はお前の専売特許だな。」
   俺の手を引っ張り、色々と見回りだすアリッシュ。出かける前の憂鬱な気分は吹き飛んだよう
   で、かく言う俺も一瞬の悩みは少しは薄らいだ。

    アリッシュに感謝しよう。彼女が悩まなかったら、俺も原点回帰できなかった。彼女あって
   の俺であろう。人間は1人では生きてはいけないのだから。

    その後俺達は財閥に帰った。既にガレージでのどんちゃん騒ぎも終わり、ブリーフィング
   ルームに一同集まっている。俺達が帰還した時にはガレージには誰もいない状態である。
    他の面々は俺とアリッシュの帰りを待っているようで、作戦会議の代表を任されたトーマス
   はオロオロしていた。
トーマス「えーと、どうしたらいいでしょうか・・・。」
メルア「到着まで待ちましょう。」
    新たに地球と火星の平西財閥の運営総括を任されたトーマスとメルア。2人は戦闘よりも、
   専ら運営側に携わる時間が多かった。
    ライアも地球・火星双方の財閥の副社長に任命されたのは昔の話、ナイラ共々に日々雑務に
   追われる毎日だ。
アリッシュ「ごめ〜ん、待たせちゃって。」
リンル「おそ〜い、今まで何やってたのよ〜。」
ユキヤ「息抜きのデートだよ。」
    アリッシュの悩みを直接語る訳にはいかない。直ぐさま別のいい訳を思い付き、俺は感覚
   空けずに語る。
   案の定女性陣からはヤキモチめいた批難の声が挙げられたが、俺が彼女のみを連れ出した事を
   理解しておりそれ以上は責めなかった。

トーマス「では始めたいと思います。次の決戦に向けてですが・・・。」
    一応話す内容は考えていたようだが、彼だけの独断では決め難いようだ。メルアもサポート
   に回っているが、その彼女も心境は同じである。
メルア「・・・ウインド様、代理をお願いできますか?」
ユキヤ「わりぃわりぃ、作戦会議の進行は難しかったな。」
   2人に詫びをしつつ、俺が一同の前に出た。2人は肩の荷が降りたのか、安堵の表情を浮か
   べている。

ユキヤ「もう皆も気付いていると思うが、先方の決戦は本命じゃない。主要人物のシェンヴェルンが
    現れていなかった。当然新たに加わったグライドルク・ヴィルクラーガの両名もだ。」
ライディル「全て人工知能っぽい動き方しかしてなかったしな。」
サーベン「人間がいれば統率も優れるし、あれは明らかに呆気なさ過ぎた。」
    主要人物が現れなかった事が気掛かりな一同。倒すべき人物なだけに今だ健在なのは厄介
   極まりない。それに敵戦力も予測できない以上、今後の戦いをどう勝ち抜けばいいのか思い
   悩んでいる様子である。それにより室内は重苦しい雰囲気に包まれた。
チェブレ「まああれだ、俺様達の肉体美に恐れをなしたんじゃないか?」
サーベン「あ〜、いえてらぁ〜。」
ライディル「ACじゃなく生身で対戦したいものだな。」
   3人の発言で一同大笑いする。ブリーフィングルームの重苦しさが一気に消し飛ぶ。この3人
   はある意味ムードメーカーだろう。
ユキヤ「ハハッ。まあ冗談はさておきだ、敵がいつ攻めて来るか分からない。臨戦態勢はしておいた
    方がいいだろう。」
ナイラ「今回も遺産は投入されますかね?」
ユキヤ「そうだな、おそらくは・・・。だが俺の予測だと、倒した破壊神が復活する可能性もある。
    そうなるとメインはそいつらで、遺産や量産型ダークネスは完全な駒になるだろう。」
ウィン「さっきみたいにSTAIも出てきたら参るわよ。」
   ウィンの一言で一同黙り込む。それは聞かされていない事を聞いたからだ。それにSTAIの
   事は内密にとも話しておいたが、嘘が苦手なウィンの事だからふと口から出たのだろう。
マイア「ちょっと待ってよお母さん。さっきの決戦にSTAIもいたの?!」
ライア「そうすると誰が破壊したのです?!」
   やはり行き着く所はそこだ。心中しかSTAIを屠れない以上、誰かを犠牲にしなければ破壊
   は不可能だ。
    火星側に自分達が向かわされた理由を改めて理解した一同。それはSTAIから遠ざける為
   だという事だ。

    凄みな表情で問い詰める一分の面々に、ウィンは流石にしまったといった表情を浮かべて
   いる。これを言い逃れするにはかなり厳しいものがあった。
    だが何かを思っていたのか、シェガーヴァが一呼吸置き叫び出す。
シェガーヴァ「若造どもが。触れていいものといけないものと、区別が付かんのか。」
   同室内に衝撃が走った。普段激怒しないシェガーヴァは今まで聞いたことがないくらい凄みの
   ある発言をした。それには威圧・殺気などが含まれており、黙らない方がおかしいだろう。
シェガーヴァ「ユキヤの配慮だ。お前達に同じ死を与えたくないと、自ら進んで名乗りあげた。当然
       俺も娘達も止めたさ。特に痛みを知らない俺やレイシェムなら、簡単にやれる。」
   懐から煙草を取り出し、徐に吸い出すシェガーヴァ。瞬時に威圧・殺気といった雰囲気はなく
   なるが、発言の内容から今だに凄みを増している。
    特に普段から自分の事を“私”と言っていた彼が、今は“俺”と言い切っている。ここに
   一同は心中の思いを感じられずにはいられなかった。
シェガーヴァ「だがこいつは何といったと思う。“二度目の死を俺やレイシェムに与えたくない”
       とな。死ぬ事が怖くない人間などいない、ユキヤも動き出す前までは震えていた。
       それでもあえて重役を行った。いざ実際にお前達に勧めたとして、表向きには名乗り
       を挙げても実際には実行できるか?」
   シェガーヴァの悔しさの面が出始めてきた。レイシェムみたいに表立っては抗議はしなかった
   ものの、心中ではかなり苛立っていたようである。
シェガーヴァ「・・・今のお前達の決断がないと言った事は詫びよう。少し逆上せ上がっていた。
       しかし実際に行うには勇気がいる。かく言う俺やレイシェムも、実際には死にたくは
       なかったさ。あの時は痛みを感じる俺達だったのだからな。」
   一服を終えると自分を落ち着かせるのも兼ねてか、一呼吸を起き再び語りだす。
シェガーヴァ「お前達を火星へと派遣しようと勧めたのも、嘘を付き通せと勧めたのも全て俺だ。
       お前達の事を思ってな。事前に言っていたら止めに入るのは言うまでもなかろう。
       だが俺は正しい判断だったと思っている。クローン体云々、生身の人間云々の事柄
       ではない。誰一人死なせないというのが俺の執念だ。こういう形になったが、これ
       以上この事柄には感知しないで欲しい。」
   発言を終えるとシェガーヴァは黙り込む。一同誰も言い返すものはおらず、普段は反論する
   マイアも何も言えず仕舞いだった。
ユキヤ「・・・結果的には騙した形になった。だがこうも断言しておく。再びSTAIが出たら、
    俺がそれを破壊する。現実には死であるが、無駄な死ではない。俺という生命体が起爆剤と
    なって、奴等に大打撃を与えるだけだ。敵は俺の死を知り嬉しがるだろうが、逆を言い返せ
    ば油断を作る事もできる。奴等は・・・奴等にだけは、絶対に屈さないつもりだ。」
   無意識にシェガーヴァを擁護する発言をする。擁護とは言うが、ある意味これは俺の執念だ。
   既に彼やウィン・レイシェムがそれを黙認している。
    憎まれようが何を言われようが、俺は執念を曲げるつもりは全くない。それは後にも先にも
   不動のつもりだ。

    フフッ、何をムキになっているのだろう。俺もまだまだ子供だな・・・。

マイア「・・・分かりました。怒鳴ってしまってごめんなさい。でもこれだけは理解して下さい。
    その起爆剤の一念、一緒じゃなくても私も共にあります。奴等には絶対屈したくない。この
    決意は絶対揺るぎません。」
    マイアを筆頭に一同力強く頷く。現にその重役を任されても喜んで行うまでの勇気は厳しい
   ものがある。それは一同が心中に抱いていた。
    シェガーヴァの発言は彼らの勇気のなさを示すものではない。そして一同を貶しているもの
   でもない。それだけは確かだ。

    昔から不器用な彼の事、上手く言い表せなかったのが現実だっただろうな。

シェガーヴァ「・・・暴言吐いて申し訳なかった。」
ライア「気にしないきにしない。私だって野郎共の事になると前が見えなくなるよ。お祖父様のその
    言葉からも感じ取れたし。」
マイア「お祖父さんの本気を知れたから満足よ。」
    一同彼が不器用なのは承知済だ。言葉には言い表せない部分もあるが、決意漲る発言はそれ
   を実証させる。それを再認識させられた一同だった。かく言う俺もその中の1人でもあるが。
マイア「STAIが出てきたら、お父さんに任せます。私達はその他を相手にするまでです。」
ライア「お父様が重役を遂行し易いよう、私達は最大限の努力をします。」
ユキヤ「ごめんな。」
   俺は彼らに頭を下げた。これは殆ど俺の我が侭だ、どこをどう見てもそうにしか見えない。
   その我が侭を黙認してくれる彼らに感謝している。

    何度も思うが、俺もまだまだ子供だな・・・。
                               第2話へ続く

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